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ディサイション・パワード 3部第24話
サンティアゴ基地で戦闘が行われている今、ネアンは幟唯たちの艦に来ていた。
突然の来客に、メインクルーのメンバーが格納庫に集まっていた。
「なんだぁ?これ」
渉流が機体を見上げて云った。
すると、コックピットが開き、中からパイロットが出てきた。
そして、こちらへ向かってくるネアンを幟唯たちは出迎えた。
「ネアン・デルタールだ。ミイという女の紹介でこの艦に来たのだが」
幟唯と渉流は顔を見合わせた。
「誰?」
「さぁ・・・」
それを見ていたネアンは不思議そうな顔をした。
そして2人にこう云った。
「とりあえずこの艦の指揮官に会わせてくれ」
「あっ、そうだな」
2人はネアンを引きつれ、天のいる部屋へと向かった。
リオンは、ヴュルムの機体を抱えて艦に戻っていた。
そして、3人が機体から降りてきた。
『どうにか無事だったようだな。これから艦は出撃するぞ』
春が3人に艦内放送で伝えた。
ヴュルムは車椅子がないので、ミリに抱えられてどうにか立っていた。
その姿を見て、リオンがヴュルムの腕を首にまわして抱えた。
「あとは親父たちがやってくれる。部屋に戻ろう」
自分も怪我が完治していないはずなのに、何事もないかのようにそのまま歩いて行った。
ミリは2人の後を追って、ヴュルムのもう片方の肩を支えて部屋へ戻った。
ネアンは、幟唯たちに連れられ、天の部屋に来ていた。
ネアンの素性を色々と聞いた後、天が云った。
「なるほどね。事情は判った。協力をしてくれるのなら歓迎する」
その後にネアンが云った。
「1つ訊く。ミリという女を知らないか?仮面をつけた女だ」
天は今までに会った人間にその様な人物がいたか、思い出そうとした。
しかし、思い出すことは出来なかった。
「知らんな。覚えがない」
それを聞いて、ネアンが礼を云った。
「彼を空いている部屋に案内してあげてくれ」
天に云われ、幟唯たちはネアンを連れて部屋を出た。
ライはノゥと戦闘を繰り広げていた。
「少々手荒になるが」
ノゥは斬艦刀を振り、ライに斬りかかった。
ライはそれを避け、攻撃に移ろうとした。
しかし、その時にはすでにノゥの斬艦刀が目の前に迫ってきていた。
咄嗟に鉄球でそれを受けた。
「手を抜いているのか?この機体も手に入れたいと云う事か」
ライは距離を置くようにして、そのまま後退して行った。
ノゥは深追いしようとはせず、敵機の背中を見送った。
そこに通信が入ってきた。
『アンノーク少将。2機の収容が完了しました』
「了解した。さて、そろそろ終わりにするぞ」
そう云うと通信を切り、彼も艦隊の方へ戻って行った。
スバルが着艦した艦の格納庫で整備士と会話をしていた。
その時、ナセルの機体が艦に着陸してきた。
スバルが強奪した機体の横に並べる様に収容された。
ナセルがコックピットから降りてきて、整備士たちが出迎えた。
しかし、彼はそれを振り払うようにして格納庫の出口へと歩いて行った。
それを見て、スバルが整備士たちに少し笑みを浮かべて云った。
「今は放っておいてやってくれ。何かあったんだろう」
全てを見透かした、というような言葉だった。
2人は訓練所に通っている頃からずっと一緒だった。
何かの縁だったのだろう。
クラス変えがあっても、毎回同じクラスになった。
しかし、ナセルはスバルに妙なライバル心を抱き、何かあるたびに突っかかってくる。
それが2人の微妙なバランスを保つ軸となっているのだろう。
スバルは彼を気にする事無く、再び整備士たちと話し始めた。
ノゥは撤退しつつ、艦長に命令を下した。
「バン・アレン機に搭載されているビックバンシステムを作動させろ。全軍撤退だ」
それを聞いた艦長が聞き返した。
『システムがまだ生きていると?撃墜されたんですよ』
「やる価値はあると思うがね。当初の目的はすでに達成できたのだ」
艦長は了解し、部下に命令を伝えた。
「さよならだ、バン・アレン」
ノゥは帰艦した。
その通信をライが盗聴していた。
「ビックバン・・・オーストラリアの時の物か?」
とにかく危険が迫ってきている事は感じられた。
彼はすぐに本部にこの事を伝えた。
撤退して行く敵軍を見て、おかしいとは思っていた。
なので、それを聞いた指揮官は、基地全体に退避警告を下した。
「総員退避!地下シェルターへ急げ!!」
通信を切っていなかったので、その声はライにも聞こえた。
「そんなのでは無理なのに。仕方がない」
彼は新型を受け渡す為に1隻の艦が来ると聞いていた。
「そこだけは守らないと」
彼はディフェンスの入港したと思われる港へ急いだ。
ディフェンスは支援の為に戦闘海域へ来ていた。
そこに、1機の向かってくる味方機を確認した。
そしてその機体から突然、通信が入ってきた。
『聞こえますか?この海域から全速で離脱してください』
春はそれを聞いて訊き返した。
「どういう意味だ?本艦はこれから支援に」
『敵はオーストラリアで使った兵器を作動させる気です』
春は驚愕した。
クルーたちが不安そうに春を見やる。
そこで彼は決断を下した。
「・・・本艦はこれより戦闘海域を離脱する。今後、もしもこの行為に対し何かを問われるような事があれば、私が全責任を取る」
クルーたちの間に一瞬沈黙が流れたが、すぐに行動に移った。
ライもディフェンスの後について離脱していた。
ランド軍はある程度の距離まで撤退し、ノゥが最後の指示を下した。
「システム作動。向かってくる敵艦隊も丸呑みにしてやれ」
指示通りに兵士がシステムを作動させた。
強大なエネルギーを発し、アレンの機体を中心に大規模な爆発が起こった。
追撃をしていた政府軍艦隊はその爆発に巻き込まれ、跡形もなくなった。
その爆発の範囲は基地にまで及び、地下シェルターも意味を成す事無く消し飛んだ。
そして、そこには大きなクレーター型の穴があいていた。
どうにか爆発から逃れたディフェンスのブリッジから、春は2度目の光景を唖然として見ていた。
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