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ディサイション・パワード 3部第30話
美衣は、政府・ランド両軍を追うべく、どうやって宇宙へ上がるかを考えていた。
シャトルで行くにも機体が積めない。
機体で行くには無理がある。
ここには彼女もほぼお手上げ状態だった。
そこに、2機の機体が彼女の隠れ家の玄関付近に降り立った。
ノックもせず、そのパイロットたちが家の中に入ってくる。
そして、美衣のいる部屋の中へ入ってきた。
彼女は動ずる事無く、ディスクに向かったままだ。
「2機は難なく奪取できた。あとは奴が来るのを待つだけだ」
「信用ならん!いつもいつも、あいつは」
美衣は椅子を回転させ、2人の人間の方を向いた。
「スバル、ナセル。とりあえずは、ご苦労と云っておこう」
その2人とは彼らだった。
「すでに主力部隊は宇宙へ上がっている。奴らも馬鹿ではないと云う事だ」
美衣はそれを聞き、椅子をまた回転させて、彼らに背を向けた。
「あとは政府軍の情報と、宇宙へ上がる手段か・・・」
そこに、また玄関の戸が開き、閉じる音が聞こえた。
そして、その人物もすぐに美衣の部屋へ入って来た。
「みなさん、お揃いで」
「貴様が遅いのだ」
ナセルが嫌味を云った相手は、ライだった。
「まず報告を。彼らも宇宙へ上がる事は確実です。3日後の16:00。これ以上の情報は入手できませんで」
ライは、ディフェンスにいた時とは違い、背筋が伸びて姿勢がいい。
だが、舌を出す癖は治っていなかった。
「ライ、舌をしまえ。・・・ん、お前いつからヘアバンドなんて」
スバルが聞いた。
「気にしないで下さい。どうするんです?これから。全員が揃っても、これじゃあ」
美衣を含めた4人。
これが、美衣の集めた優秀な部下だった。
仲間などではない。
酷く云えば、彼らを手駒としか考えていないかもしれない。
だが、息はぴったりだった。
「手詰まり・・・。何か方法があるはずだ」
部屋の中に静寂な時間が流れていたその時、外から轟音が聞こえてきた。
大型の機体か何かの音だった。
仲間の全員はここにいるはずなのに。
誰かにバレたのか?
4人は気になり、外に出た。
すると、そこには意外な人物と、その機体があった。
幟唯たちも、宇宙へ上がる準備をしていた。
「どうやって宇宙へ上がるのだ。打ち上げ施設も、艦もない」
ネアンが素朴な疑問を訊いた。
彼らは宇宙戦艦を持っていなかった。
「なぁに、古巣へちょっと戻るのさ。強引にプレゼントも貰っていく」
天が冗談を云うように云った。
「古巣?」
「今向かってる所よ」
幟唯が進行方向を指差した。
そこは、日本だった。
「日本、だと?」
すると、天が云った。
「よーし、この艦はここでお別れだ。早く移るぞ」
そう云って、脱出用のボートに乗る様指示された。
「お、おい。機体は?」
渉流が焦って云った。
「あっ・・・。潜って持って来い」
冗談なのか、本気なのか。
だが、それしか手段がなかったので、パイロットたちは自分の機体に急いだ。
天は最後まで何か機械をいじり、そして、ボートへ急いだ。
日本軍は、脱走した2隻の艦を発見した。
「大変です!あの2隻が戻って来ました」
「何だと!?」
基地内が慌しくなった。
「チッ。アドバンスの打ち上げの準備を急がせろ。ここで邪魔をされる訳にはいかん」
兵士たちは急いで指示通り動いた。
「ランドに討たれるわけにはいかないのだ。討たれるわけには・・・」
日本軍はランド軍に脅迫を受けていた。
『本国の考えを否定する勢力は全て敵と見なし、攻撃をする。意思を示す為に我が軍に強力しろ』と。
そして、日本軍はアドバンスを宇宙に派遣する事を決意していた。
日本軍はBM部隊を、2隻の捕獲の為に出撃させた。
その頃天たちボートで艦から出た者たちが、アドバンスが収容してあるドックへ急いだ、
途中、日本軍の兵士に攻撃を受けたが、持ち前の戦闘能力で、天が全員伸していた。
そして、アドバンスに乗り込み、ブリッジに入った。
すると、そこには以前共に戦場を駆けた者たちが集っていた。
「お待ちしておりました、艦長」
「すまん。少々遅れてしまって」
天は艦長席に腰を据えた。
「よーし、打ち上げだ。途中で乗客を乗せんといかんがね」
アドバンスは打ち上げカウントダウンに入った。
そして、凄い勢いで滑走路の上を走り抜けていく。
海中から飛び出した4機は、そのスピードに焦った。
「お、おい・・・、聞いてねぇぞ!こんな速ぇなんて!!」
「愚痴を云う暇があったら追いつく様努力しろ!!」
「チィッ」
4機は全速力で追いつこうとし、まずケント機とネアン機が艦体に取り付けた。
そして、残りの2機を引き上げようと手を伸ばした。
「掴まれぇ・・・」
「お前の手ってのがしゃくに触るがな」
渉流がネアン機に、幟唯がケント機に掴まり、どうにか艦の中へ入る事に成功した。
アドバンスは、再び宇宙へと舞い戻って行った。
美衣たちの目の前に現れたのは、ジミュートだった。
「宇宙へ上がる手段に困っているだろ。手ならあるぜ?強引だがな」
突然の彼の出現に、美衣は唖然とした。
「お前、何のつもりだ」
「軍を抜けた。俺は俺の道を行こうと思ってな。それでお前の所に来た。しかし、また会うとはな、ライ」
ライは一礼をした。
美衣はまだ気掛かりな事を訊いた。
「何故ここが分かった」
「ナガハラ艦長だよ。そこしかないだろう?」
そう云って、本題に入った。
「政府軍の打ち上げ部隊が3日後の16:00に打ち上げられる。艦5隻だ」
「それをどうしろと云うのだ」
「最後に打ち上げられるのが新型艦だ。それを強奪する。お前たちにお似合いだろ?」
美衣はしばし黙り込み、そして、重大な決断を下すかのように云った。
「それしか我々には手段がない。乗らせてもらう」
今後の彼らの動きが決まった。
3日後、政府軍の打ち上げ部隊の打ち上げが開始した。
1隻目は、春たちの乗る艦だった。
修理されたレボリューションに搭乗していた。
そして、無事に打ち上げられた。
さらに、2隻・3隻と無事に打ち上げられて行った。
4隻目の打ち上げが開始し始めた頃、美衣たちが行動を起こした。
ライが、単身基地へ侵入し、新型艦までの道を駆けた。
当然銃を装備した兵士たちが彼の邪魔をしてきた。
「無駄ですよ。やらせてもらいます」
持参して来たマシンガン2丁を乱射し、兵士を次々と倒していく。
そして、彼にとっては容易に艦へ侵入した。
艦の中に入っても、すぐに見つかった。
「う、動くな!」
銃を向けて威嚇する兵士を、残忍にまでも撃ち殺して行った。
そして、ブリッジに侵入した。
「なっ、誰だ!」
抵抗しようとした兵士たちを銃で脅し、こう云った。
「さぁ、発進してください。そうすればあなたたちに危害は加えません」
恐怖に怯えた兵士たちは、彼の云う事を聞き、艦発進させた。
打ち上げカタパルトによって最大速度まで加速し、滑走路を走った。
そこに美衣たち4人が合流し、艦に無理矢理掴まった。
政府軍の新型艦は、強奪され、宇宙へ飛び立った。
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