ハジマリノ歌 Nova10「生ジル歪ミ」


自分の計画通りカディス軍の施設が爆破される。
リカードたちは上手い具合にやってくれているようだ。
ノヴァはある場所を目指して走った。
刑務所。
そこに今レイジが収容されている。
前もこんな風に戦乱に紛れてレイジを連れ去った。
刑務所、レイジが収容されているのは軍総帥のいる建物の地下深くにある。
前よりもスムーズに事を進めるように心がけようとした。
そして、彼は目的地の建物の前に着いた。
「コマンディングタワー。邪魔が入らねばいいが」
この建物の名前は『コマンディングタワー』。
カディス全地域の治安を守る為の施設だ。
そこの総指揮官は他でもない、ミハルド・オドアケル総帥だった。
ノヴァは堂々と玄関から入る。
地上にいる連中は騒ぎに気付いて外へ出て行ったらしい。
これも前と同じ。
ノヴァはそういう点では落ち着いていた。
迷わずエレベーターの所へ向かい、乗り込む。
そして、刑務所のある最下層まで一気に降りた。

数分後、エレベーターが止まった。
最下層に着いたのだ。
扉が開いた瞬間、ノヴァはいきなり無数の銃弾を撃たれた。
しかし、彼はこれも計算の内とも言いた気な表情でDSバリアでそれを防いでいた。
エレベーターが動いている事を不審に思い、兵士たちが待ち構えていたのだ。
「不意打ちをしても敵を倒せんとは、無力だな」
ノヴァは銃を抜き、兵士を一人残らず撃ち殺した。
今彼はなんの防具も装備していない。
いつもと同じ感覚で戦っていてはいつかボロが出る。
そのところも承知だった。
エレベーターを降り、監獄のある部屋へとつながる長い道を歩いていった。
ノヴァは空間転移を使っていない。
それは空間転移システムが使用できる範囲は今までに装置を持って来た事のある場所でないと転移できないからだ。
ノヴァはこの作戦の後DSバリアを手に入れた。
だからだ。
そこがこの装置の不便なところだった。
素早く壁に背をつけ、曲がり角の先を見る。
一人の兵士がこっちへ向かって来ている途中だった。
その兵士が自分の目の前に出てきた瞬間、ノヴァは兵士の首を腕で思い切り絞め、窒息死させた。
「悪く思うなよ。お前の運が無かっただけだ」
ノヴァは兵士の胸ポケットからIDカードを取った。
そしてさらに奥へと進んでいった。

監獄の連なる部屋に入る扉の前に見張りの兵士が二人立っていた。
ノヴァは事を隠密に済ませたかった。
しかしこの期に及んでそんな事を言っていられない。
銃を抜き、一気に突っ込んだ。
通路中に銃声が鳴り響く。
兵士二人は壁に寄りかかって座るように血を流しながら死んでいる。
さっきの銃声を聞き、監獄の見回りをしていた兵士たちが出てきた。
「ぞろぞろと」
構わず全員撃ち殺し、監獄のロック解除用のカードキーを手に入れた。
扉を潜り、レイジのいる牢屋を探す。
その途中に気付いた事があった。
さっき殺した兵士の中に騒ぎを報告した奴がいる。
連絡用の電話の受話器が落ちていた。
「早急に終わらせよう」
一人呟き、レイジを探す。
そして、一番奥から三番目の牢屋でレイジを見つけた。
「レイジだな」
レイジは彼に気付き、睨みつけるようにノヴァを見る。
「誰だよ、お前。カディスの兵士じゃねぇな」
「お前に選択肢をやる。一生俺の下につく変わりにここを出るか、ここで死ぬか。どちらがいい」
レイジの言う事を無視して話を進めた。
「お前の下につく?寝言は寝て言え。俺はもう誰の下にもつく気はねぇ」
「いや、お前は俺の下につく。お前こそ冗談は他で言え。もうすぐ状況を知った連中がここに来るぞ」
そう言った瞬間、扉の開く音が聞こえた。
「動くな!貴様だな、わが国で不穏な動きをしていた者は。ようやくお目にかかれた」
「あの声、オドアケルか!お前、まずいぜ」
ノヴァは気にせずカードキーを差し込み、牢屋の中へ入った。
そこでさらに彼は気付く。
前とは違う状況になっていた。
レイジの他にもう一人この牢屋の中にいた。
薄汚い布で顔全体を覆い、目と鼻以外が隠れている。
服も同じ様な感じで汚れたダイビングスーツの様なひとつなぎの服だ。
「逃がさんぞ!!」
オドアケルが駆けて来るピッチの速い足音が近付いてくる。
「お前も来い」
ノヴァはその顔を隠した囚人の手を引っ張った。
そして空間転移を始める。
オドアケルが追いつき銃を抜き、ノヴァが空間転移をしようとしているのを見て驚いた。
「空間転移だと!?貴様っ、どこでDSバリアを!!」
オドアケルが銃を構える。
「未来。また会おう」
ノヴァはそう言い残し、まだ返事もしていないレイジと偶然居合わせた囚人を連れてその場から姿を消した。

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