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ハジマリノ歌 13話「帰国」
そして、彼らと別れようとした時、ノヴァが言った。
「次必ず会えるのはカディスとボルドーのあの戦いだ。だがそれでは時間が開きすぎる」
「接触する時を決めるか」
「頻繁に会うのは危険だ。一度だけ。その時に全ての情報を交換する」
「いつだ」
「両国が衝突する二ヶ月前」
ギリギリ過ぎず、かといって早過ぎず。
ノヴァは妥当だと思われる日を伝えた。
「接触ポイントは?」
「白龍の巣窟の村だ。あそこはカディスもボルドーもまだ手をつけていない。ロンドもわざわざ危険を冒してまで来ないだろう」
それを聞いてレオンはため息をついた。
「お前、俺にあそこまで行けってのか?」
実際、乗り物を使っても数日かかる場所だ。
レオンが愚痴るのも無理は無い。
「受け取れ」
ノヴァが何かを投げた。
「DSバリアだ。以前同様回収しておいた。二つあっても仕方が無い。お前にやる」
レオンはそれをジッと見た。
「こちらは任せたぞ。じゃあな」
「やっと終わったか。前から思ってたんだけどよ、お前らの話、意味解んねぇ」
レイジがこの場で初めて口を開いた。
「知らなくていい。行くぞ」
ノヴァは無理矢理他の三人を連れて空間転移をした。
それを見送り、レオンは再びDSバリアを見る。
「俺の場合は易々と使えないよな」
彼はノヴァ同様グローブの中にDSバリアを忍ばせた。
そして、久しぶりにカディスへと帰国した。
城門を潜ると、すぐに門番に止められた。
「入国証をお見せください」
「あぁ、俺戦場から帰って来たんだけど・・・」
「おかしいですね。あの戦闘から数日経って、すでに全部隊の帰投を確認されているのですが」
レオンは思わぬところで壁にぶつかった。
色々と言い合っていると、そこに誰かがやって来た。
「どうしたのです?」
「あなたは―」
門番は声を詰まらせた。
金色の長髪で、黄色い瞳。
比較的長身で整った顔立ちの男。
その人物の胸には軍上層部、または国王の認めた者のみが所有している勲章が胸に光っていたのだ。
しかし門番は彼の顔を見た事が無かった。
が、ここで失礼な事を言えば自分の身に何が起こるか判らない。
緊張気味に応対した。
「この人物が戦場からの帰還と言い張るもので」
「本当なんだから仕方ないだろ」
レオンは顔を膨らませて言った。
「君は」
金髪の男がレオンに言った。
「君はレオン・クラインか」
「え、あぁ」
何故自分の名前を知っているのかという困惑と、初対面の人間に呼び捨てにされたムカつきで思わず敬語を忘れてしまった。
すると金髪の男は名乗り始めた。
「私の名前はアモン・ラー。君たち、彼は本当に戦場からの帰還だ。通してやってくれ」
アモンという男にそう言われ、門番はレオンを入国させた。
レオンはキョトンとして彼を見ている。
「お友達が待っているよ」
アモンはそう言い残し、その場を去った。
「何なんだ、あいつ」
レオンは不思議に思いながらも入国できた事には変わりないと割り切った。
一方のノヴァたちはスムーズに入国していた。
「ノヴァ・ワグナー総隊長のご帰還だーっ!!」
伝達役のような兵士が大声でそう叫びながら街中を走り出した。
すると市民たちが続々と家から外に出てきて、彼を歓迎した。
「おい、お前どうなってんだ・・・?」
「英雄?」
レイジとマリが思った事を言った。
「説明は後だ。まずは基地に向かうぞ」
ノヴァは三人を引き連れ、街の中を堂々と歩いていく。
その彼に道を作るかのように、道の脇には人がズラリと並んでいる。
レイジたちにはその光景がどうにも不思議で仕方なかった。
基地に着き、ノヴァはそのままエレベーターに乗り込み、最上階を目指した。
チン、という音と同時に扉が開く。
出るとすぐに一つの部屋があった。
ノヴァはノックをし、室内に入る。
「失礼します」
一足先に部屋に入ったノヴァが、他の三人にも中に入るよう合図した。
中には一人の女性が座っていた。
スラリとしたスタイルで、軍服を着るよりもドレスを着たほうが似合いそうだ。
桃色の髪の毛が背中の真ん中辺りまで伸びている。
「戻ったのね、ノヴァ」
「はい」
顔もかなりの美人だ。
性格は判らないが、容姿だけなら誰でも一目惚れをしてしまいそうだ。
「長期任務お疲れ様。といってもあなたの独断。どういう処分が下る事か」
「それはあなたにお任せします。『ソフィア=セロ』総統」
ソフィア=セロ、ボルドー軍総統。
クールビューティーという言葉が似合う女性指揮官。
「ふーん。後ろの方々は?」
「現地で出会った良き仲間です。もっと私の下で働いてもらいたく」
「そう。いいわ、ちょっと気になるお顔もいるけど」
それは白龍の事を指していた。
「ありがとうございます」
レイジたちもノヴァに続けて一礼した。
帰った事を伝えたかっただけなので、ノヴァは退出しようとした。
「では、失礼します」
「待って」
扉を少し開けた状態でノヴァは振り返る。
「どこで何をやっていたのか。ちゃんと話しなさい」
「えぇ、いずれ」
そう言い残し、四人は退出した。
レオンはそのまま基地へ戻ろうとしていた。
その道中、いたる所で建物が損壊している。
自分が戦った痕跡か。
そんな事を考えながら歩いていると、不意に後ろから声を掛けられた。
「レオン・・・?レオンッ!!」
彼は振り返ると同時に勢い良く抱きつかれた。
そのまま後ろへ流されて倒れる。
「ちょ、なんだぁ」
「この、バカッ!心配させて」
それはマリアだった。
「ご、ごめん」
「おいおい、一人身の男の前でイチャイチャしてくれんなよな」
マリアの背中の向こうから誰かが歩いてくる。
近付いてくるとすぐに判った。
「アロウ!」
「よう。お前、あれから色々大変だったんだぞ。まぁ、どっかでゆっくり話そうや」
アロウはそう言い、近くにあった修復作業中でも開店中だったカフェに向かった。
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