ハジマリノ歌 23話「終焉の場所へ」


「じゃあ、私もう戻るから」
彼女はレオンたちと合流する為、元の場所へ戻ろうとした。
「君・・・」
「何?」
「本気で彼らと行く気なのか?」
リカードが心配そうに言った。
「レオンも言ってたでしょ。私も彼らと同じ気持ち。それに・・・」
マリはそこで話すのを止めた。
リカードももう何も話しかけない。
「戻るね。期待してて、私たちが勝つから。じゃあ」
マリはそう言い残し、その場から去った。
その時、彼は後ろから叫ばれた。
「リカード!」
リカードは振り返る。
「バルドル?」
バルドルは彼の前まで来て、立ち止まった。
「何でお前俺がここにいるって」
「・・・ノヴァから俺に通信が入ったんだよ。貴様を返すから取りに来いとな」
彼はその後もブツブツ愚痴を言っていた。
リカードはその姿を見て、微笑んだ。
「何を笑っている!馬鹿にしているのか?」
「いや、何か懐かしい気がして。・・・話があるんだけど。パレにも」
バルドルは何の話か分からず、とりあえず二人は基地にいるパレの所へ向かった。

マリも合流し、レオンたちは商業都市に来ていた。
「カディスへは転移すればいい。二週間ギリギリまで準備が出来る」
「しっかし便利だよな、空間転移。瞬間移動みたいでよ?」
「しかも、俺たち六人の中に三人もそれを持っている。カディスでもそうそう持っている兵士には出会わないぞ」
DSバリアの存在が、彼らの強みの一つにもなっていた。
「金なら刀を売ればどうにでもなる。最高の装備を手に入れて来い」
ノヴァが刀使いから奪い取った刀十本を取り出した。
そして、六人は自分の装備を買いに行った。

それから十三日が過ぎた。
決戦前夜、六人は各々それぞれの場所で時間を過ごしていた。
レオンとトールは宿屋の屋上で寝転がり、星空を見上げながら話していた。
「明日だな」
「あぁ」
「まさか父上と国を敵に回すような事になるなんて、想像もした事なかった」
「俺も同じだ。でも母国を敵に回してまでも戦わないと、この世界に明日はない」
「独裁者が現れる、か・・・」
トールは自分の父親がその独裁者になろうとしている人物かもしれないという状況に、正直動揺していた。
「お前の友達とは会いたくないな」
「敵として、か。敵・・・。世界と俺の私情を天秤にかけろって?」
レオンもマリアやアロウの事を割り切れたわけではなかった、
「まぁ、一気に首謀者を討つだけだ」
「簡単に言うなよ」
二人は最後の夜を笑顔で送った。

白龍は街の時計台のてっぺんで街を見下ろしていた。
すると、下の方で騒がしい所があった。
数人の人が一人の人物を追っている。
目を凝らして見てみると、それはレイジだった。
「何をやっているんだ、あいつは」
白龍は翼を広げ、レイジの方へ飛んで行く。
逃げているレイジは彼の姿を見つけた。
「つかまれ」
「おぉっ!サンキュー」
白龍はレイジの手をつかみ、上空へ上昇していった。
「何をした?」
「余った金でカジノ行ったんだよ。で、大負けしてよ、金借りてやってたんだけどそれでも負けてさ」
「逃げたのか・・・。呆れた奴だな」
「ヘヘヘッ、死ぬ前に楽しめる事は楽しんでないとな」
「生き残ろうとしろ。お前は強い、大丈夫だ」
白龍が優しい言葉を投げかけた。
レイジは意外そうな顔をしている。
「へぇ、お前も気の利いた事言えるんだな」
「どういう意味だ」
「そういう意味。てかよぉ、手ぇ疲れてきた。どっか降ろしてくれ・・・」
「嫌だ」
そう言って白龍が笑った。
レイジはまた意外そうな顔をして、彼も笑った。

ノヴァは一人宿屋の部屋の中にいた。
そこにノックの音がした。
彼がドアを開けると、そこにはマリが立っていた。
「いい?」
「入れ」
ノヴァは彼女を部屋に入れた。
彼は別に部屋の中で何かをしていたわけではなかった。
「何か用か」
「ううん。ただ、ノヴァのそばにいたくて」
ノヴァは不思議そうな顔をした。
「いてもいい?」
「別に構わんが・・・、なぜ俺だ?」
マリは少し黙り込んだ。
そしてノヴァに抱きついた。
彼女はハッとし、すぐに彼から離れようとした。
が、彼女の体をノヴァが強く抱き締めていて、離れなれなかった。
「前もあったな、こんな事」
「う、うん・・・」
自分から抱きついておきながら、動揺しているのはマリの方だった。
「これ以上はどうすれないいのか分からない。俺はどうすればいい?」
ノヴァが純粋に訊いた。
「このままでいいよ。ずっと、このままで・・・」
二人はしばらく抱き合ったままでいた。

夜が明け、朝が来た。
六人は完全武装で宿屋の外にいた。
「最終決戦だ。未だ確証はないが、とにかく王宮のロンドのいる場所を目指せ。時のがロンドでなくてもその人物はロンドを殺しに来るはずだ。そこで奴に出会える」
ノヴァが言い、他の五人が了解の言葉を出す。
「この中の誰かがそこに辿り着けばいい。この中の誰が討たれても、それを越えていけ。躊躇うな、止まるな」
彼らにはそういう方法しかなかった。
誰か一人が辿り着けばいい。
「しゃーっ!絶対勝とうぜ」
「一人の人間の勝手にはさせない」
「うん!私も頑張る!」
「俺もあの国の王子だ。国を守る」
「王子が戦死しちゃいけねぇな。絶対生き残ろうぜ」
「よし、行くぞ」
六人の最後の戦いが始まろうとしていた。

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