ハジマリノ歌 28話「結末の果てに」


しかしそれは避けられ、空を斬った。
オドアケルがレオンに攻撃を繰り出そうとした時、レオンの後ろからノヴァが飛び出してきた。
オドアケルは咄嗟に回避行動に移る。
「知っているのか?君たちは!」
「何のことだ」
ノヴァが連続して次の攻撃を出した。
「私を倒した行く末を!!」
レオンもノヴァに続けて攻撃をする。
「君たちが私を倒したところで無駄だ!時はまた遡り、再び同じ事を繰り返す!!」
オドアケルがレオンと鍔迫り合いになった。
「負けはせんがね」
そう言うと彼はレオンを突き放した。
「どういう事だ!」
レオンがまた攻撃を仕掛けようと駆け出しながら言った。
「この時を創ったのは私だ。その創造主がただで死ぬはずあるまい?」
「道連れにする気か」
オドアケルは斬りかかってきたレオンをDSバリアで防いだ。
レオンはそれで吹き飛ばされる。
そこにノヴァが攻撃を繰り出してくる。
「そうすればまた私は一からやり直せる。失敗してもその繰り返しをすればいい」
オドアケルはさっきと違う方の手を突き出し、そこからもDSバリアを展開した。
「ある女から頼まれてな。お前を止めろと」
ノヴァは右手を突き出し、DSバリアを展開する。
すると両者のバリアは中和されていった。
「ソフィアか・・・。余計な事を」
バリアが中和された瞬間、ノヴァが一気に詰め寄った。
「どの道最後は自分で手を下さねばならんのだな!!」
ノヴァの攻撃はもう片方のDSバリアによって防がれ、彼は吹き飛ばされた。
「クロ。お前の出番はなさそうだ」
オドアケルがそう言い、クロはさっきと同じ場所で動かずに立っているだけだった。
「DSバリアが二つか・・・。厄介な」
「レオン、落ち着け。何か策はあるはずだ」
オドアケルの圧倒的な強さに二人は苦戦を強いられていた。

トールたちは王宮の中に着いた。
「バレンシア組は東塔、レイジ・マリ・アロウは西塔。俺とマリア、そしてリカードは正面から侵攻する」
トールの指示で全員が散開した。
「これでどの方面から来られても大丈夫だろう」
「しかしお前の魂胆が丸見えだ。わざわざ一番危険なルートを選ぶなんて、レオンたちに追いつくためだろう?」
リカードが走りながら言った。
「それもある。だが一番の理由は、俺たちにもしもの事があった時の為だ。あいつらは優秀だからな」
「死なせないさ。お前も、マリアも。俺が」
三人は一気に王室を目指して行く。
そして、とうとう王室の正面に着いた。
そこには白龍が倒れていた。
「白龍!」「隊長!!」
トールとマリアが同時に叫んだ。
白龍は苦しそうに行きを荒げながら彼らの存在に気付き、そちらを向いた。
「安静にしていてください!」
マリアがすぐに近寄り、白龍に応急処置を施し始めた。
「トール」
「あぁ。見えてるさ・・・。オドアケル・・・」
トールとリカードは王室の中でレオンとノヴァを相手に戦うオドアケルの姿を見た。
「奴が黒幕だったのか」
「まさかカディス軍の総帥が・・・」
トールは顔を歪ませながら歯をギリギリと言わせている。
「マリア、白龍を頼むぞ」
「は、はい!」
「行こうか、トール」
「当然だ」
そう言い、二人は王室の中へ駆け込んだ。

オドアケルは二人の姿に気付いた。
「とんだ邪魔だな」
レオンとノヴァもそちらを向く。
「トール!リカード!」
名前を呼ばれた二人はレオンたちの所へ来た。
「親父・・・」
「まさか奴が黒幕だったとは・・・。ボルドーの話を聞いた後ではそう驚きもしないが」
オドアケルは現れた介入者たちを鬱陶しく思った。
「予期せぬ展開だな。クロ、出番が出来た」
「了解しました」
部屋の隅に立っていたクロが動き出した。
「君たちの相手はこいつだ、王子」
「それはそれは。なら側近を倒してお前の所に行ってやるよ!」
トールはクロ目掛けて突進した。
剣を抜き、尋常でない速さで斬り下ろした。
クロはそれを寸前で回避する。
「トール!」
彼の後ろからリカードが飛び道具を投げた。
クロはそれを次々と回避していく。
その飛び道具は短刀だった。
それは壁に円を描くように突き刺さる。
「これで終わりと思うなよ!」
リカードは続けて印を結び始めた。
「土竜!!」
短刀で描かれた円の中から巨大な土人形が姿を現した。
土の中で住んでいるような、何か生物の形をしていた。
それがクロを強烈な拳を喰らわせた。
クロの体が宙に浮かされる。
「終わりだ」
トールは飛び上がり、剣を構えた。
「斬空剣っ!」
彼が剣を振り下ろすと、そこからカマイタチが起こり、次々とクロの体を切り裂いていった。
トールが着地すると同時にクロの体が地面に叩きつけられる。
「終わったぞ。次はお前の番だ」
するとレオンとノヴァと戦闘をしていたオドアケルが振り向き、微笑した。
「すばらしいな、王子」
そう言うと、彼は両手を床にやり、次の瞬間大爆発と共にトールとリカードは王室の外に飛ばされた。
「グラウンド・ゼロ」
オドアケルを中心に、円を描くように周りの物が消し飛んでいた。
しかし、彼はもちろん、レオンとノヴァはDSバリアで耐え、その場に残ることが出来ていた。
「えらく奇怪な空間を造ったものだな」
彼ら三人の足場は空中に浮いていた。
「レオン!!」
向こうのほうでトールが叫んでいた。
リカードもいる。
無事でよかったと、ひとまず安心した。
しかし、彼らはこちらを確認することは出来ても、入ってくることは出来ないらしい。
「逃げ場はないって事か」
「逃げる気でもあったのか?」
「冗談。ねぇよ」
そう言うや否や、レオンは走りだした。
「うおおぉぉぉ!!」
「無駄だと言うに」
オドアケルはDSバリアを展開する。
「かかったな!」
レオンもDSバリアを展開し、中和させた。
そしてすぐに片手で剣を突いた。
「何っ!?」
それがオドアケルの右手とDSバリアを貫いた。
「ぐっ・・・」
右手を庇いながら間を置く。
「ふざけるなよ!!」
オドアケルが左手を突き出し、するとそこから衝撃波が放たれた。
それがレオンに直撃する。
「がぁっ・・・」
彼は吹き飛ばされ、床を滑って行った。
それと入れ替わりにノヴァが突進する。
「学ばないな」
オドアケルがノヴァに向けて衝撃波を放った。
しかしそれはノヴァのバリアによって阻まれる。
「あとはあいつに任せればいい」
ノヴァは剣を思い切り投げた。
オドアケルはバリアでそれを防いだ。
だが、ノヴァがバリアを中和してきた。
「あの女と同じ末路を辿れ」
ノヴァの右手から巨大なエネルギーが感じられた。
「貴様っ・・・!!」
「グラウンド・ゼロ」
同時に大爆発が起こる。
「うおおぉぉぉ!!」
レオンはいつの間にか起き上がり、一直線にオドアケルを目掛けていた。
回避しきれないオドアケルは、レオンの攻撃を腹部に直撃した。
「ぐはっ・・・」
「終わりだ、オドアケル総帥・・・」
するとオドアケルはフフッと笑った。
「グングニルも・・・完遂した・・・。兵隊も・・・そろった・・・。世界は変わり・・・俺の役目も終わる・・・」
「何を・・・」
レオンは彼が発した最期の言葉の意味が解せなかった。
次の瞬間、オドアケルによって保たれていた足場が崩れ始めた。
レオンは何かにグイッと引っ張られた。
引っ張ったのはノヴァだった。
「じゃあな。時の流れが戻れば、また敵だ」
「ノヴァ!」
ノヴァはレオンをトールたちの方へ投げ飛ばした。
トールは飛んできたレオンを受け止める。
「ノヴァッ!!」
彼の叫びも虚しく、ノヴァは瓦礫と共に王宮の地下へと消えていった。
そこに、東西の塔から渡ってきたメンバーとマリアと彼女に肩を借りている白龍が合流した。
「大丈夫か!」
「あぁ、俺は問題ない・・・」
すると、突然空間が歪み始め、全てが揺れ、崩れ始めた。
「時間が戻る・・・」
「時間?」
マリアがレオンに聞き返した。
「そうか、あいつが死んだからか?」
「あぁ」
「じゃあ、またバラバラだな、俺たちも」
外の方で叫び声が聞こえてくる。
空間の歪みに吸い込まれているのだろう。
そろそろ自分たちもか、と覚悟を決めた時、揺れが止まった。
予想と違う状況にレオンはキョトンとしていた。
「揺れが・・・」
「止まった・・・?」
レオンはハッとノヴァの落ちていった穴を見た。
しかし、彼の姿はそこにあるはずもなかった。
「ノヴァ・・・」
レオンは肩を叩かれ、振り返る。
そこには、自分の仲間たちが大勢いた。
「レオン」
「終わったんだ、みんな」
それぞれが彼に声をかける。
「レオーン!!」
白龍をアロウに任せ、マリアがレオンに飛びついた。
「バカバカァ!心配したんだから・・・」
「ごめん・・・、ごめんな」
彼女は彼の胸の中でなき続ける。
「みんな、宮殿が崩れるかもしれない。脱出するぞ」
トールがそう言った。
「レオン、行くよ?」
「あ、あぁ」
レオンは最後にあの穴を見た。
そして、何も言わず彼らの後を追って行った。

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