Alive 新月さんプレゼント★




コロン。


私の口の中に広がる、甘い味。


一粒のアメは、またひとつの幸せをうむ・・・・。



Love happiness candy carries ~キャンディーが運ぶ幸せ~



「あ、今日は当たりアメだっ!」

朝。私こと新月 麻梨乃(しんげつ まりの)が教室の中で叫ぶと、雫(しずく)があきれた口調で私に話しかけた。

「アメなんて当たりも外れも無いでしょうが。自分で選んだあめなら、全部おいしいんじゃないの?」

「そんなこと無いよー。 気分にあったやつを食べれたら当たりなんだ!」

そんなに説得されても・・と、雫はちょっとあせっていたが、私はそんなことお構いなし。

「悲しいときは、ちょっとすっぱめのアメでー、怒っているときはスーッとした感じのアメでー」

あと、うれしいときは甘いアメを食べると、幸せな気分になる。

「ふぅ~ん。 で?今食べているのは」

「甘いアメっ。 ちなみに、幸せが来ますようにってに祈ったよ!」

祈るっていうか、願懸けみたいな感じだけどね。

「祈るって・・・。 まぁ、来るといいね、幸せが。」

「うんっ!!応援してね。 あ、はいはいー。 じゃ!呼ばれてるから。」

「ちょ、麻梨乃!」

「え?    んっ!?」

廊下へ向けて歩き出そうとしたそのとき、私は誰かにぶつかった。

ぶつかった瞬間、どさっという音と同時に、二人でしりもちをつく。

「いたた・・・ 大丈夫!?」

「あ、あぁ・・・」

先に起き上がったのは私。 ちなみにアメは・・・。

「 あー!!!  噛んじゃった・・・。」

見事に口の中で粉々に・・・。

「あっ、舌噛んだとか! 大丈夫!?」

「えと・・そういう意味じゃないんだけど・・・」

そこまで大げさなことじゃないんだけれど、真面目に心配してくれている彼に、どう説明していいか解らない。

(そういえば、この人、同じクラスだっけ? けど、教室にいたよね・・?)

「お詫びに、これあげるからっ! 許してくれない?」

もらったのは、初めて見る、不思議なアメだった・・。



「で? どーすんのよ、このアメ。」雫の第一声。

用事を済ませてすぐ雫のところへ戻ろうかと思ったが、授業が始まり、結局昼休みになってしまった。

「どうしよう・・食べるわけにもいかないし・・。」

彼からもらったアメは、キラキラ、宝石のように輝くアメだった。

そんなアメをもらったときに、そのアメに見とれていて、彼の名前を聞きのがしてしまっていた。

「いいんじゃない? だって、お詫びってことでアメをくれたんだし。

 それに、アメフェチの麻梨乃のために・・!って言ってるみたいじゃない、このアメ。」

「そうなんだよね・・」

本当に、彼からもらったものは、興味をそそるアメだった。見た目もそうだけれど、何味かわからないのが、逆にそそる。

「よしっ、新月麻梨乃、食べます!」

そう意気込んで、パクッと口の中に宝石アメ(命名)をいれた。

「・・・んっ!?」

「どうした、麻梨乃?」

雫が心配しているが、私はそれどころではなかった。

「このアメ、一度だけ食べたことある・・。」

「それじゃ、それは市販のものなのね?」

「そうじゃないの。」

このアメは・・・幼い頃に近所のお兄ちゃんが作ってくれたアメの味そのものだった。

「私が小さかった頃にね。そのお兄ちゃんが・・」


『この世で俺だけしか作れないアメだ。だって、お前らのために作ったアメだからな。』

そう笑いかけながら、私に渡してくれた。

過去のことはそれくらいしか知らないのに・・これだけは、今でも鮮明に思い出す。

その後、その人は引越ししていったから、行方は分からない。

「じゃぁ、その人が他の人にもアメを渡したってこと?・・麻梨乃を裏切って。」

「そうなのかな? けど、それ以外の人には絶対渡さないって約束してくれたし。」

だから、尚更なんであの人が持っていたのかってことになる。

私が5歳の頃に、そのお兄ちゃんは高校生くらいだったはずだ。

どう考えても、私と同級生のはずがない。 だったらどうして――?

「聞いてみよう。」

「さっきの男子に? 名前も知らないのに?」

「うん。」

何か知っているはずだ、彼は。

きっと、あのアメをしっているってことは、私にとっても大事な人。そう確信しているから。

それに、素直にあのアメの存在理由を知りたいから。

「多分、この学年の中に入るだろうし。頑張って探すよっ。」

「そう。・・分かったわ。 じゃ、私から情報公開してあげる。」

「え?」

「彼の名前は坂下慧(さかもと けい)。クラスは隣のD組。――いってらっしゃい。」

「ありがとうっ、雫!」

何故そんなことを知っているのかなんて、あえて聞かなかった。

でも、それだけのことを私に教えてくれる雫は、やっぱり親友だと当たり前のことを再認識した。



「あ、麻梨乃。 どうしたの?」

「坂下慧って人、いる??」

フルネームを呼ばなくても、苗字だけで分かると思うけれど・・。私にはそんなことを考えている暇がなかった。

「いるよー。呼んでくるね。」

分かれて10秒後、友達は坂下くんを連れてきてくれた。

「あ・・朝の。」

「お久しぶりです。・・って、そんなに時間はたっていないけどねっ。」

そんな挨拶を交わしている間に、友達は教室に戻っていった。

「どうして、僕を?」

「朝のことで、聞きたいことがあってきたの。」

「・・・・え?」

坂下くんは、ちょっと驚いた顔をしている。

そりゃぁ、誰だって初対面(今回はそれにちかい近い)人から急に質問されるのは驚くだろうけど。

「朝、もらったアメ・・・どこでもらったのか、知らない?」

「あれのこと?うーん・・。」

「どうしたの?」

明らかに困惑顔。事実を知らないのか、はたまた事実を隠したいのか。
「それより・・その前に、コレだけ言わせて」

「何?」

彼は一息ついて、静かに私に言い放った。


「俺は、麻梨乃が好きだよ。」


「・・・は?」

あまりにも唐突過ぎて、私が発した言葉も間抜けなものになってしまった。

「で、質問の答えは。 僕の兄貴からもらったもの。いま、28歳なんだけど。」

28歳。ちょうど、あのときのお兄ちゃんと重なる―――。

「でも、あれは私にっ。」

「あ・・やっぱり忘れてる。 もう一度、よーく思い出してみて。」

お兄ちゃんが言った、あの一言。

『この世で俺だけしか作れないアメだ。だって、お前らのために作ったアメだからな。』

「お前・・・ら?」

「そう。あのアメは、“俺”と“麻梨乃”にだけ作ってくれたアメ。・・どうしてか、分かる?」

ニコッと笑い、私に聞いてくる。

「あの時―」

あのアメをもらったとき、私には恋人がいた。・・幼い年だったから、そんなに深い意味で付き合ってはいなかったけれど。

それでも、引っ越していっても忘れなかった、お兄ちゃんと――そう。あれは

「慧くん、だったんだね。」

鮮明に思い出す記憶は、なにもお兄ちゃんがくれたアメのせいだけではなかった。

そこにいた、お兄ちゃんと、慧がいてくれたおかげだった。


「まだ、僕は麻梨乃のことが好き。・・・麻梨乃は?」

「うん。 私も・・今でも慧がすきだよ。」


何年たっても忘れられない、この思い出を。


頭の隅から引き出してくれたのは、キャンディーが運ぶ幸せだった・・・・。


end















*あとがき*

「ねぇ、慧って、いつ転校してきたの?」

「えと・・1年前。 まさか、昔いたところにかえってきたとは思わなかったけどね。」

だから、私がいることも知らなかったわけか・・。

「そういえば・・・あの時ぶつかったのって、わざとだったの?」

「・・・・」

私の問いかけに、慧は一向に口を開かない。

「まさか・・・!?」

「いやっ、ぶつかったときは気づいていなかったんだけど!アメあげた瞬間に顔を見て・・」

そう答える慧は超焦り気味だった。。。


私信:超お待たせしてスミマセンでした・・・。アメがキーポーンとだったお話、どうでしたか?

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