ＲＯＬＬＩＮＧ　ＧＹＭ

タイのカラオケ

　かつて私はタイに住んでいる時、ジムのボクサー連中に「おまえはカラオケに行ったことがあるか」と聞かれたことがあります。　「あるかだと。オレはサラリーマン時代は『カラオケチャンピオン』と呼ばれていたのだぞ」と私が答えると、「オォッ！」と嘆息とも喚声とも何ともいえない声が上がり、どういうわけか皆が尊敬の眼差しで私を見るのです。　「カラオケぐらいで大げさだな」と私は思いましたが、なんだか私の株が上がっているようなので、それならまあよろしい。　日本でカラオケといえば通常「カラオケBOX」の事ですが、タイの「KARAOKE」とは自分が歌うのではなく、歌手が歌うのを聴きながらホステス相手に酒を飲んでヤニさがる、怪しからん場所だったのです。　もっともサラリーマン当時の私は、同時に錦糸町のフィリピンパブで給料を全部使ってましたから、タイ人が想像する「カラオケチャンピオン」というのもあながち間違っていなかったのであります。