新英語教育研究会神奈川支部HP

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01.7海外とメール交流


●実践報告(中学):「海外とのメール交換を通した学びの広がり」
日比 和子さん(大和市立引地台中学校)
◆ 昨年の沖縄サミット子ども会議に寄せられたメッセージについ海外の同世代に発信して意見交換をしました。前任校で昨年、中学3年生で約半年間かけた「メッセージ・プロジェクト」の紹介。インターネットを駆使しつつ、日比先生が丁寧に準備された実践です。

(1)前任校
●2000年6月~12月大和市立大和中での実践。3年生5クラス。
●クラスに10人程度メールやインターネットを利用してい生徒がいる。
 キーボード操作は人差し指で押すレベルの生徒が多い。
●大和市教育研究所「コンピュータ利用教育に関する調査研究部会」のメンバー(3年目) として、ある面「やらざるを得なかった」取り組み。
●大和市では、市からPC補助員が1人来る(昨年は1ヶ月全部。2学期は月水金)。 「教員にパソコンを教える」のが主な役割(生徒には直接指導しない)。
 学校では、99年12月に新コンピュータになった。

(2)お膳立て
・この日比先生の実践は「パソコン」「インターネット」があれば、即できるというもの ではない。陰に隠れた「お膳立て」を確認したい。結論としては、ホームページに関しては 技術的に無理かもしれませんが、海外とのメール交換は用意次第でできそうです。
●PC補助員の方のサポート:
 インターネットのホームページ上で
「たくさんある中で、 この作品は見せる」「不必要なサイトには接続しない」などの枠組みを整理していただいた ので、可能になった実践。スムーズに生徒たちはホームページを楽しめた。 (日比先生ご自身は、普段、メールやインターネットはされるが、ホームページの整理を するなどは技術面では一人ではできないとのこと。ということは、このホームページを
 使った追実践はPC補助員なしには無理? でも、くじけず、以下をお読み下さい。]
●海外とのメール交換の相手探し:『新英語教育』の誌上でお名前を知った福岡の白水先生に教えていただいたインターネットのサイトIECC (=International E-Mail Classroom Connections) [http://www.iecc.org]を利用。米国の大学教授が中心になって92年に発足。メール
 交換、プロジェクト共同研究、テレビ会議などの交流相手を探したい教員のためのウェブサイト。82カ国7650人以上の教員が登録。
 日比先生が登録されたIECC-PROJECTSのメーリングリスト:64カ国2906人が登録。
 ・登録者:アメリカが多く、ドイツ、カナダ、オーストラリア、日本の順。
 ・登録内容:「プロジェクト内容」「学年」「取り組み期間」「相手希望国」「使用言語」。
 ・実際の反響:配信後20通の返信がその日のうちにあった! 2週間にわたって、1日平均3通程度の返信。「是非テレビ会議をやりませんか?」もあった。オーストラリア、 カナダ、ドイツ、チェコからも来た。社会科教員、日本語教員、親日家、ホームステイで 来日した、あるいは日本人を受け入れたことがある人などもいた。 [このサイト、興味津々ですね。]

(3)授業
●沖縄サミットを前に、「沖縄サミット子ども会議」に向けたメッセージリレーVOTE[http://www.kids-space.org/VOTE]を利用。
 (1) メッセージを選ぶ:6月、ホームページを調整、教師が選んでおいた16のメッセージ 「Looking Towards the 21st century」を「環境」「平和」「人権」「子どもと大人の責任」
 「科学技術」という5テーマに分類。そこから生徒は1つ選ぶ。
 ・PCルームで、プリントアウトし、辞書を使って、和訳する。
生徒に人気の高かったメッセージ
Name: Jonna (14)
School name : Comanche Schools, Oklahoma , United States of America
Message : When I imagine how much our world has improved in the last 100 years, it amazes me. Then I realize how much improvement we still need to make.
In the future, my dream is that people will take the words "all men are created equal" into deeper consideration. I look forward to the day when I read the newspaper and see that there has not been another shooting or suicide.
I strongly believe that adults need to set good examples for the youth of our time. Everyone must realize the children of this generation are the world’s future for the next.
[ネット上で入手可能(8/9/01現在)]。http://www.kids-space.org/VOTE]


 ●生徒の感想:「外国語として英語を学習している人はやっぱり文法やスペリングミス があるけど、言いたいことは何となく通じる」「-er,-edなどが付いている語の意味調べ をするとき、どこまでを辞書で探せばよいか分かった」(?高校に行く前に分かってよかった…) 
「つい、この間授業で習ったI think that... や関係代名詞が使われている のを見つけて、
こんなふうに実際の文に出てくるんだと分かった」「辞書まで買って、 深夜まで頑張った」

 (2) 意見を日本語で:教室で感想・意見を書いたものをPCルームでパソコン入力。
 ・7月、5クラスの生徒の意見を集計、他の生徒がどうとらえたか読む。
 ●生徒の感想:「自分とはまったく違う視点から考えている人もいて参考になった」
  「友だちから聞き慣れていない言葉が出てきて驚いた」「同じクラスの友だちでも、普段 こんなテーマについてしゃべったことがないので、改めて友だちがどんな考えを持っているのかがわかった」
 ・夏休み、自分が選んだテーマに関する資料集め。
 ●生徒の感想:「死刑がどの国で行われているのか、廃止した国はどうしてそうなったか を調べていきたい」「地雷の現状について図書館で資料集めしたい」
 ・9月、「集めた資料」「他の生徒の意見」を参考に、選んだテーマについて日本語で作成。
 ●生徒への指示:5~10文程度でまとめる(メッセージが長いと返事」がもらえない ケースがあった)/(こうなるといいなーではなく、)「こういうふうにしていきたい」と主体的に書こう、とアドバイス。

 (3) 英文作成:10月、英文に直す。(来日間もない英国人女性AETが苦労しつつ手助けして くれた)。11月、38人のクラスで25~30人程度が英文を完成。一太郎でパソコン 入力。教師が海外に送信(相手はインターネットのサイトIECCで探しておいた学校。
  米国テキサスの9年生、カナダ・ケベックの9年生、オーストラリア・ブリスベンの8年 生など、1クラス当たり4校を設定。相手校にはシドニーの日本人学校の7~8年生 もいて、生徒は「えーっ、日本人?」と嫌がっていたが英語は彼らの方がうまかった!)
 ●生徒の感想:「リディア先生に添削してもらったら、赤ペンでずいぶん直されたけど、 いくつか自力で考えて合っていたところもあって、うれしかった」「超むずかしかった けど、海外に送ってもらえるので、頑張ろうと思った」
 (4) 返事が来た!:12月、返事を日本語に訳す。プロジェクトの感想をまとめる。
詩織さんに宛てたクリスティンの返信:テーマ「人権」
Hello, my name is Kristin. I am 15 years old. I live in West Salem, WI. I have a mom named Jean, a dad named John, a sister named Tanya, and a half sister named Jenny. I also have a dog. Her name is Mollie, and she is a border collie. In my spare time, I enjoy shopping, talking, hanging out with friends, sailing , and playing tennis. I am involved in many clubs here also.
I agree with your thoughts somewhat. I know that it is wrong to bully people around and discriminate against others. I also think you are right when you say that people that donユt understand human rights are also bullying and discriminating. The thing that I donユt really understand in your writing is the part where you talk about worrying. What do you mean when you say メThere are some worrying people here and there, so we have to be friends with themモ? When I first read what you said, I thought you meant people that were being discriminated against and being bullied were the worriers. Is that what you meant or was it something different? I feel this issue is wrong, and people should try to work on stopping the issues. I totally agree with your statement saying, メBrave hearts are necessary, but the efforts will make the world better.モ
There are many examples that you could use in describing this topic. One way could be discriminations against the African Americans, and the Native Americans. It used to be a big issue years ago. The issue has died down tremendously, although there are still problems with it today. Also, people bully people all the time because of their social classes. That problem still really exists here in United States and itユs a shame that people still act like that. There are still many examples that we could talk about but time is running short.
Sincerely yours,
Kristin
(1段落目の自己紹介、2段落目の論旨の確認の仕方、意見交換のモデル文としてもいい内容です)

 ●生徒の感想:「賛成と言ってくれただけじゃなくて更に深い意見が書かれていて私の考え も深まった」「自分が書いた意見がよくわからないと書かれていてちょっとショック」
  「自己紹介の中でストレートに家族関係や私的なことを書いているのにはびっくりした」
 (「両親が離婚しているの」とか「来年子供が生まれるの。名前も決まっています」なんていうものがあった。率直ですね。)
 ●日比先生から:「オーストラリアの先生は1人に1人ずつの返信をくれて、足りない分は 先生自身が返信を書いてくれた」「メールの返事の来なかった生徒は返事の来た生徒のメ ールを見ていた」「どの点について賛成か反対か焦点を絞ってコメントした方がいいか、 自分自身のコメントという書き方でいいのか事前に問い合わせてくれた丁寧な先生もいた」

■参加者から出された感想
 □ 日比さんの計画的なインターネット(メール)を利用した実践に、私の考えているものを加えて実践できるといいと思いました。
 □ PCと英語は近いはずなのに、なかなか生徒には遠い感じがしていますが、みごとに大和中では接近して興味深い授業になっていました。「授業らしくない」という生徒の感想が印象的でした。
 □ e-mailの交換を授業でやらせてしまって、すごい、すごい。生徒は友だち同士では携帯で盛んにやっていますが、世界の顔も知らない人とやりとりできたことが、生徒には大変印象的だったと思います。
□ 長期的な取り組み、ご苦労様でした。内容ある英文を中学生にどのように書かせたらよいかアイディアを出し合いたいですね。



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