新英語教育研究会神奈川支部HP

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2009.9 会報162:定期テストづくり


●ワークショップ(高校):「7月からの定期テストづくりが変わる!」
萩原 一郎さん(県立城郷高校)
高校2年の教科書を使って、皆さんとテスト問題づくりをしました。
(事務局より:当日、急遽、高校レポーターが変更になりました。申し訳ありませんでした。)

(1)ワークショップ
・ ワークショップの課題:高校教科書「Power On II」を題材にし
て、試験問題を作る。英問英答、リスニングなどのさまざまな形式にする。
・ 英文資料:Lesson 3 のPart 2 
沖縄の文化はどの地域から影響を受けてきたのでしょうか。
・ Since it is close to China and Southeast Asia, Okinawa has had a long trading history with those regions for centuries. The commercial ties have brought great cultural influences to Okinawa as well. Some typical examples can be found in traditional dancing, music, martial arts, agriculture, and so on. For example, Shuri Castle is very much like an old Chinese castle.
The Okinawan culture has developed under the influence of China, Southeast Asia, and Japan. That is why the culture of Okinawa is called “champuruu bunka,” or mixed culture. The most popular home cooking is thus called “champuruu” because it is a mix of many kinds of food.
If Okinawa were not a part of Japan, Japanese culture would be less diverse. (p. 30)
和訳:中国、東南アジアに近いので、沖縄はこの地域と数世紀間、ながい貿易の歴史がある。商業的なつながりは沖縄に文化的な影響を大いにもたらしてもいる。典型的な例は伝統舞踊、音楽、武術、農業などに見られる。例として、首里城は中国の故宮にとても似ている。
 沖縄文化は中国、東南アジア、日本の影響の下で発展している。そういうわけで、沖縄の文化は「チャンプルー文化」、すなわち「混ざった文化」だと呼ばれている。したがって最も人気のある家庭料理は「チャンプルー」と呼ばれているが、チャンプルーはさまざまな種類の食べ物が混じっているものだからだ。もしも沖縄が日本の一部でなかったら、日本文化は(今のようには)多様でないだろう。
この英文の文法項目:仮定法過去
・ 参加者はペアになって試験問題作りに取り組みました。
Aチーム:前置詞について出題。to, for, as,in, for, like, of, fromを穴埋めにする。参加者から「on,は副詞」という指摘があった。
Bチーム:英問英答で「何が中国の城に似ているか?」、tieの意味を4択で問う。mixの意味を問う。
Cチーム:接続詞のsince, because, ifを穴埋め。mix,cultureなどのキーワードを書かせる。あらかじめ単語100語のうち20語を出題すると予告しておく。
Dチーム:本文の前半を引用し「commercial ties / typical examples / martial artsの3つで穴埋めにする」「The Okinawan culture has developed under the influence of China, Southeast Asia, and Japan. を和訳しなさい。」「チャンプルー文化とは何か具体例を本文から探して説明しなさい」(答え:チャンプルー料理と同じようにさまざまな国や地域の文化がミックスされたもの。首里城は中国の城のようである。)
・ 実際の萩原さんの授業では…:The most popular home cooking is thus called ~のthisがわかりにくかった。ALTがthereforeとパラフレイズしてくれた。
オーラル・イントロダクションでは東アジアの地図を用いた。国名を英語であげさせた。Thailandやthe Phillipinesを確認。また沖縄と中国の貿易は絹織物・陶磁器を送り、牛や硫黄を輸入。首里城・姫路城・中国の城を比較(インターネットで調べた)。「those regionsはどこを指すか?」「centuriesは1世紀ではなく、数世紀」「commercial=trading」という発問をした。「as wellはディスコースマーカー」「現在完了の使い方が3つ出てくる」「that is whyの論理性」「lessの使い方」を確認。

(2)テスト作りのポイント
・ 波及効果を考えよう!:テストに出題したことで学習者が次回からどう学習するかを波及効果として考えて出題することが求められる。例えば安易に「和訳しなさい」という出題をすると「和訳を暗記する生徒」を作ってしまうことになる場合がある。
・ 総合問題はやめましょう:いわゆる「総合問題」[1つの文章の中で「穴埋め」「動詞の形を変える」「和訳」「並べ替え」などを問う問題形式]はここ数十年、伝統的スタイルになっている。しかしこの形式ではどこが理解できていて、どこが弱いのかということが判定できない。ゆえに観点別で問題作成する必要がある。
意見交換
・ Iさん:共通テストで英文和訳・アクセント・下線部と同じものを書きなさい、などでリスニングはない。私としてはリスニングを入れたい。英文和訳は嫌いだが、生徒が試験で不利になるのでしなくてはならず、つらい。テストを見ると悲しくなる。生徒を授業で裏切りたくない。高校は古風ゆかしく、中学は学ぶところが多い。
・ Kさん:私の学校も習熟度別。学期毎に入れ替えが大変だったので少人数クラスにすればよいのにと思う。
・ Sさん:英I、英IIもリスニングを入れている。
・ 萩原:城郷高校は習熟度別で共通テスト。9月に入れ替えあり。参考文献を見てください。中学の方は『コミュニカティヴ・テスティングへの挑戦』。若林俊輔先生がご存命の頃は、語研で発表するとテスト問題を切り刻まれたものです!

(3)参考文献
・ 若林俊輔・根岸雅史『無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る』大修館書店1993
・ 根岸雅史『英語教師の四十八手2 テストの作り方』研究社1993
・ 靜哲人『英語テスト作成の達人マニュアル』大修館書店2002
・ 根岸雅史・東京都中学校英語教育研究会『コミュニカティヴ・テスティングへの挑戦』三省堂2007
・ 今井裕之・吉田達弘『HOPE 中高生のための英語スピーキングテスト』教育出版2007


■参加者の感想
? テストのつくり方はいつも悩みの種
? 共通であるならば、打ち合わせ時間をもって設問の種類(何をテストしているか)を全員で確認すべきだと思う。
? 「高校でもリスニングを」は賛成。うちでは、英I、IIでも10分入れている(ここだけ高得点の生徒もいる)。
? 中2の夏に南アの黒人居住区ソウェトにスタディー・ツアーしてきた生徒がいるということに力を得て、途上国支援(井戸掘りとか絵本を送る)の問題(特に長文は)に凝っている。作問が毎回楽しい。楽しいから2、3週間前には仕上がっている。
? 興味深い発表だった。試験問題をペアで作るのは難しい。今後もテスト問題をもちよって、例会で検討するのもよいのではないか。
? テストの作り方は、もっと担当教師どうしで話し合って、共通テストを作っていく必要があると思いました。テスト作りももっと勉強しなければ…と思います。まずは静先生の御本でも買おうと思います。
? 高校は勉強することが学生の仕事と考えますので、少なくとも英語においては家庭学習においてしっかり勉強するようにさせ、できない生徒に対しては、もっと厳しい態度で接するべきである。
? ピンチヒッター、ごくろう様でした。Testing について見直すいい機会でした。テスト問題を持ち寄って、お互いに検討し合うような例会を、今後企画してもおもしろいかなと思いました。
? 遅れてきたので、レポートが聞けませんでした。資料を読ませて頂きたいと思います。テスト作りについてのレポートは、またシリーズ化してやって頂きたいと思います(あまりないので…)。



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