買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2008年03月14日
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村上春樹さん訳のトルーマン・カポーティの「ティファニーで朝食を」を読みました。


「「かわいそうな猫ちゃん」と彼女は猫の頭を掻きながら言った。
「かわいそうに名前だってないんだから。(中略)でも私にはこの子に名前をつける権利はない。ほんとに誰かにちゃんと飼われるまで、名前をもらうのは待ってもらうことになる。この子と私とはある日、川べりで巡り会ったの。私たちはお互い誰のものでもない、独立した人格なわけ。私もこの子も。自分といろんなものごとがひとつになれる場所をみつけたとわかるまで、私はなんにも所有したくないの。そういう場所がどこにあるのか、今のところまだわからない。でもそれがどんなところだかはちゃんとわかっている。」、彼女は微笑んで、猫を床に下ろした。「それはティファニーみたいなところなの」と彼女は言った。」

これは痛々しいような居場所探しになっています。
結局、居場所を見つけるのに失敗し、リオに旅立つに際して、ホリーはハーレムで猫を捨てます。
しかし、直後にホリーはリムジンから降り立ち猫を探しますが、すでに猫はどこかに行ってしまって見つからない。
語り手は、きっと見つけ出してあげるからと約束をします。
そして、ホリーは一人で旅立つのですが・・・。

「でもある日曜日、明るい日の差す冬の午後、ようやく僕はその猫に巡り会った。鉢植えの植物に両脇をはさまれ、清潔なレースのカーテンに体のまわりを縁取られ、いかにも温かそうな部屋の窓辺に、猫は鎮座していた。猫はどんな名前で呼ばれているのだろう、と僕は思った。今ではきっと、彼にも名前が与えられているはずだ。そしてきっと猫は落ちつき場所を見つけることができたのだ。ホリーの身にも同じようなことがおこっていればいいのだがと、僕は思う。そこがアフリカの掘っ立て小屋であれ、なんであれ。」


というわけで、ちょっと感傷的になっていますが、それを抜きにしても、このホリー・ゴライトリーというのは、まったく魅力的な人物です。
ホリーの「いかがわしいイノセンス」とでもいうべきものに触れるだけでも、充分以上の値打ちがあると思います。

ちなみに映画では、ホリーは自分で猫を見つけて、雨の中「キャット、キャット」といいながら、抱きしめてたような記憶があるのですが、あれは別の話ということで・・・。
しかも、リオに旅立ったのかどうか、そこの記憶もありません。

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Last updated  2008年03月14日 06時37分15秒
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