「ミナコの思考回廊」

「アセチレンランプ」



「アセチレンランプ」


アセチレンランプの匂いが懐かしい。

それ以上に鼻腔をくすぐる、焼きそばの匂い。たこ焼き、いか焼きの匂い。
人々の喧騒の間から、取れないことは分かっているのにどうしてもやりたくなる、射的の音が聞こえる。

お小遣いを持って友達と行くときは、子供なりに知恵を絞って、ほんのささやかな贅沢をして。

親と一緒に行くときは、気が大きくなっているから次から次へとねだって、意外と親も寛大で。

視界の端で、アセチレンランプの灯りが、ゆらゆら揺れた。
そのやわらかな赤い灯りとともに、ゆらゆらと思い出までもがよみがえる。


楽しかったなあ、と思う。
数少ない夏の思い出は、少ないがゆえに大切だから、涙がにじむほど懐かしい。



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