緑と清流

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神秘家の庵

神秘家の庵

2009.01.23
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カテゴリ: その他
写真は「冬の池」
池

ことわざ
「泳ぎ上手は川で死ぬ」
 自分が得意なことでも、過信し過ぎると逆に禍を招き、身を滅ぼすことがある。

鯉

わらしべ長者 3

 その日も暮れたので、道端の小さな家に泊めてもらった。

「本当に良い馬だ!」と思って見ていると、その馬が急に倒れて死んでしまった。
 馬の持ち主は驚いて、「これは一体どうしたことか」と、馬を助けようとしたが、どうにもならず、ただ泣くばかりだった。
 主人は仕方なく、他の馬に鞍を置き換えて乗り去り、従者が一人残されて、死んだ馬をどうしようと困っていた。
 若侍は歩み寄って、「どうしてその馬は急に死んでしまったのでしょう」と言った。
 従者は、「陸奥からこれを宝物にして京まで上って来ました、色々な人々がこの馬を欲しがって、いくらでも金を出すと言いましたが、売らずに持っていたのに、その甲斐もなく、せめて皮だけでもと思っても、旅の途中のことで・・・」と途方に暮れていた。
 若侍は、「こんなに立派な馬なのに、命とは不思議なものですね、でも死んでしまってはどうしようもないですね、
私はこの近くに住んでいますから、皮を剥いで差し上げましょう」と言って、布一段を従者に差し出した。
 従者は、「これは思わぬ得をした」と言って、若侍の気が変わらぬうちにと、逃げるように走り去った。
 若侍が死んだ馬を手に入れた理由は、「わらしべ一つがみかん三つになり、みかんが布三段になった、この馬は仮死状態で、生き返って我が馬になり、布三段がこの馬になるに違いない」と思ったのだった。
 若侍は手を清めて、口をすすぎ、長谷の方角に向かって礼拝し、「もし、私を助けてくださるのなら、この馬を生き返らしてください」と念じた。
 すると、馬が目を見開いて、頭を持ち上げ起きようとした。若侍は手を貸して馬を起こした。嬉しきこと限りなし。

 宇治で日が暮れて、もう一段の布で馬草と自分の食事と宿のかかりを済ませ、再び京を目指した。
 しかし、「この馬を京の都の町中へつれて行ったら、盗んで来たと思われるだろう、しからばここで売ってしまおう、馬を欲しがっている人は居ないかな」と思った。
 馬から降りて、「馬を買いませんか」と声をかけた人は、その馬を見て、まことに良い馬だと喜んで、「今は持ち合わせがないが、この南に持っている田と、米を少しと取り替えてくれませんか」と言った。
 若侍は、「仰る通りにいたしましょう」と承知し、九条の田一町と米を手に入れた。
 若侍は、土地所有の権利書を持って、京の知り合いの家へ行き、米を糧とした。

 家も買って、楽しく暮らせたのも、長谷の観音様のお助けということを忘れず、常にお参りを欠かさなかった。
おわり

現代語「源氏物語・須磨」はこの前にあります。





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最終更新日  2009.01.23 11:25:32


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