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2004年07月06日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay


 ブルーになったり、ピンクになったり。
 起伏が激しすぎる。

 これじゃあ駄目だから、なんとか士気を高めたいと思っても、やっぱりブルーになってしまうのだ。
 憂鬱の原因は、分かっていた。

 通勤の、車窓から見える紫陽花は、もう終わり。
 色あせた残花がそれを物語っていた。
 夾竹桃が、緑の中に、赤いルビーのような花をちりばめていた。


 今朝の憂鬱は、次女のため息だった。
「いつになったら、楽になれるのかなー」
 もらったばかりのバイト代を袋ごとよこした。
「ほんとうだね」
 受け取りながら、一緒にため息も受け取った。
 彼女は、最近彼氏とうまく行っていないのだ。
 できることなら、普通の大学生のように、キャンパスライフを楽しませてやりたいのだけれど……。

「ねぇ、彼氏と一度離れてみない?縁があるのなら、きっと元通りに収まるし、収まらないということは縁がないということなのよ」
「でも、そうしたらきっと切れてしまうもの」
「世の中には、もっともっとたくさんの男がいるんだよ。彼氏だけじゃないんだから、視野を広げなきゃだめだよ」
「分かっているんだけど、初めて好きになった人だから、決心がつかないの」

「うん」

 彼以外の人に心を奪われて、一度別れたことがあったのだ。そのことが、今も二人の間にくすぶっていて、何かの拍子に火の手があがるらしい。消しても、消してもまた嫉妬のほむらが燃え上がり、堂々巡りするのだった。

「決心がつかない?」
「うん。今更ほかの人と付き合うなんて考えられないのよ。自信がないっていうのかなぁ」


 わたしは、そっと抱きしめてやった。
 恋に自信をなくした、少女のような儚さが、腕の中で身じろぎもしなかった。

「ねぇ?旅に出ようか?」
「旅って?」
「心の旅よ。一駅でも二駅でもいいのよ。乗り物に乗って旅をするとね、気持ちが妙に落ち着くわよ」
「うん。そのうちにね」

 今朝の会話を、わたしは反芻した。
 きっと、次女の『そのうち』はないだろう。
 でもいつか、わたしは次女と旅をしようと思った。
 そう思うだけで、ブルーな気持ちが、ほんのりとピンクに染まった。







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最終更新日  2004年07月06日 16時08分56秒
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