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2006年04月21日
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カテゴリ: Essay
 何度も欲しいと思っていたハナミズキの苗木を、鎌倉の市場で見つけたとき、それが花開いた様を想像し、わたしは嬉しくてたまらなかった。

 でも抱えて電車に乗るには、少々憚られる背丈をも持っており、やはりわたしは断念せざるをえなかった。
 それでも後に、あの時買っていたならば、と何度臍をかんだことだろう。
 それほどハナミズキは、わたしの好きな花なのであった。

 昔住んでいた家の、小さな猫の額ほどの庭は、それこそ雑多に植栽されていた。
 今様のガーデニングには程遠く、食べた柿の種から育った柿の木や、義母がところ構わず増やした沈丁花、近所の人たちと交換し合った一年草の草花、そして食用のニラなどが、にぎやかにひしめき合っていた。
 だから一体、どこにハナミズキを植える場所があったのか、と苦笑してしまうのだけれど、わたしは庭にハナミズキを植えたかったのだ。

 そこから最寄り駅まで行く途中に、ハナミズキの大木を持つ家があった。

 更に枝垂桜を持つ家や、モッコウバラを玄関先に咲かせる家もあり、わたしはその通りをひそかに花の道と呼んでいた。

 そもそもハナミズキを植えたいと思い、好きになったきっかけが、その大木にあった。
 ゆうに塀を越えたハナミズキは、堂々と枝葉を伸ばし、凛とした樹木の美しさを感じさせた。
 まさにわたしは、樹木の美しさにほれたのであった。
 ところが、そのほれた木は、花をつけたのである。
 白い、まるでつばの広い帽子のような花をつけて、悠然としていた。
 あまりに気品に満ちた花にわたしは足を止めて、じっと眺めた。
 生まれて初めて、ハナミズキに遭遇した瞬間であった。

 人間世界の、雑多なわずらわしいことなど無関係とでも言いたげに、その気品に満ちた花は咲いていた。

 なんて素敵な空間を提供してくれるのか、とその家の前を通る度に、我が家の庭にハナミズキという願望が膨らむのであった。

 (続く)





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最終更新日  2006年04月23日 13時44分24秒
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