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白き瓶
藤沢周平の『白き瓶』を読んだ。
サブタイトルに「小説 長塚節」とあるように歌人であり、小説家でもある長塚節の鎮魂
賦です。
僕にとっては、文学史といえば高校時代の、ただただ暗記するための教科に過ぎなかっ
たんだけど、これを読んでとても興味を持ちました。
この本を読んで登場する明治の文豪達の結びつきが垣間見え、生き生きとつながってき
たんですよ。
正岡子規の弟子である伊藤左千夫と長塚節の関係も、また伊藤左千夫その人の自己主
張の強い破壊的な性格(我を強く、同人や弟子達が離反して孤独な、薄幸な人物)と、小
説「野菊の墓」の清廉さとのギャップというか、相反する感情が同時に存在する小説家の
いかがわしさも面白かった(素敵な小説でも、手放しでは信用おけんなぁという感じかな)。
長塚節の小説『土』が、当時、朝日新聞に勤めていた夏目漱石の推薦で、新聞小説とし
て連載されたんですねぇ。このつながりも面白い。
独身で37歳の若さで結核で亡くなった(一説では童貞だったという)彼が、ただ一つの恋
に破れ、ともすれば崩れそうになる自分の気持ちを、寒い冬のさなかに、ひっそりと咲き
続ける山茶花に託して歌った。
山茶花のわびしき花よ 人われも生きの限りは思い嘆かむ
打ちしなえ我にも似たる山茶花の 凍れる花は見る人もなし
雪舞う森
僕はニューミュージックも好きだけど演歌も大好きです。
雪を見ると新沼謙治の「津軽恋女」が浮かびます。
「降り積もる雪雪雪また雪よ~津軽には七つの雪が降るとか~♪
こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪 ざらめ雪 こおり雪♪」
犬の散歩をしながら、今日のこの雪は何雪なんだろう、なんて思いながら口ずさみます。
そこで今一つ、こんな雪もあってもいいかもと一句
杉木立 すさぶ寒風 けぶる雪