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気分転換になった 浄土の世界
原発事故以来、草が生えるに任せていたら庭の夏草は背丈ほどになり廃屋然として、ちょっと見た感じでは人が住んでいないような趣だ。これはこれで粗末な家に似合っているし、また見えぬ放射線の汚れに似つかわしいような気がしていた。何よりも此処に棲み心がうらぶれてしまった家の主に相応しいものだった。
ところが、先週、連れ合いがやって来て、見るに見かねて三日かけて庭やアプローチの草刈りをしてくれた。草に隠れていた花が顔を見せ、一見すると普通に戻ったようは感じがしないでもない。だが、線量計をおけばあの機械音が鳴りっぱなしだし、荒んだ気持ちに変わりはない。
そういえば、あれ以来ずーと放射線量を気に掛ける毎日だった。此処に居ること事態が心にストレスをかけ、知らず知らずのうちに気が滅入ってしまっていたようだ。
テレビで世界文化遺産の話題が上っていた。 「 地上の浄土かぁ どんな処なんだろう 行ってみたいねぇ。」 どうしてもというよりも、何気なしに出た言葉だった。 「 一度行ったことがあるわよ そうねぇ 明日 行こうよ!」 こういうときの 阿吽の呼吸はありがたい。
中尊寺
木陰から見る金色堂
藤原清衡は仏教による平和な理想郷をづくりに着手して、その理念は三代にわたって引き継がれたが、毛越寺をはじめ無量光院、その他数多の寺塔や御堂は度重なる火災や戦で失われてしまった。創建当初の建物で残っているのは鉄筋コンクリートで守られた金色堂のみと言われている。これとていつかは失われるのだろう。
でも考えてみれば、この世にあるものすべてが千変万化し、諸行無常なんだという仏教の教えそのものの体現した姿なのかもしれない。
僕にとっては 里山の自然の中での生活は理想の姿で、ある意味で浄土の世界の筈だった。その想いは脆くも簡単に打ち砕かれてしまった。 芭蕉の真筆と言われる句碑 夏草や 兵どもが 夢の跡 がとても身近に感じられた。
今朝また大きな地震があった。震度5弱と言う。ここでも震度4で大きく揺れた。
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