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黒雪姫


昔々、あるところに黒雪姫というそれはそれは美しい娘がいました。

その娘の性格は、とても意地が悪く、母もとても困っていました。

黒雪姫が住む大きな城には、とても大きな鏡がありました。

そして、黒雪姫は、毎日、鏡に向かってある事をします。

そのあることとは、

「鏡よ、鏡。この世の中で1番美しいのは誰?」

と言い、腹話術で、あることを言います。

「それは、あなたです。黒雪姫。」

そして、黒雪姫が悪魔のような笑みを見せながら、鏡の前からいなくなると、今度は母がやってきて、鏡に向かってこう言いました。

「鏡よ、鏡。この世の中で1番、強情で、性悪で、親を困らせるのは誰?」

そうすると、今度は腹話術ではなく、鏡が自分で、

「それは、黒雪姫です。奥様も大変ですね。あのように意地の悪い娘をお持ちで。」

(奥様も若い頃はすごかったみたいですけどね)

と言いました。

心の声は気にしないように。

「そうなのよ。あのこったらこのごろ、町で店の人を脅して、タダで店のものを貰ってきたりしてるのよ。1度、店の人が警察を呼んだことがあるんだけど、黒雪姫が警官をにらみつけて、それで、警官が恐がって逃げてしまったのよね。」

「大変ですね。奥様、ここは1つだまして、あの帰らずの森へ行かせてみましょう。」

「でもねー、一応娘ですし。殺すわけには。」

「その点は大丈夫です。森には、親切な7人の小人がいます。」

「そうね。でも、あの悪賢い黒雪姫がひっかかるかしら?」

「大丈夫です。黒雪姫は、金欲まみれです。そこを利用すればいいのです。」

「その手があったわ。」



「黒雪姫、黒雪姫。」

「あ゛ぁ゛?黒雪姫様だろ。黒さんでもいいぜ。」

(変よ、この子。あぁ、どこで間違えたんでしょう。たっぷりと愛情込めて育てたつもりなのに・・・)

「何だよ、クソババァ。」

(あ、あなた。天国であなたは黒雪姫の曲がった成長の仕方を見ているのですか?)

「あのね、黒雪姫。町の噂で聞いたんだけど、あの、帰らずの森に住む7人の小人が最近、金脈を見つけたんですって。」

「何!?」

(チャンスよ!!黒雪姫がひっかかった。)

「それは本当か?」

「えぇ。」

「よし、私は小人に所へ行ってくる。もし、嘘だったらブッ殺すからな。」

(ヤバイわ。私、絶対、墓行きよ。)

「嘘なんかじゃないわよ。」

「ほぉ。じゃぁ、行ってくるぜ。」

「行ってらっしゃい。(逝ってらっしゃい。)」



「上手くいったわ。」

「よかったですね、奥様。」

「えぇ。でも、黒雪姫ならたとえ帰らずの森でもすぐ戻ってきそうだわ。」

「そうですね。黒雪姫は、しつこさにかけては天下一品ですからね。」

「あぁ、私はまだ死にたくない・・・」

「私の鏡で黒雪姫を観察する事ができますが 。」

「頼むわ。私は、もしもの時のため用に今、開発している毒リンゴを使いましょう。もっと強力にしないと黒雪姫には効かないわ。」

「やる気満々ですね。(殺る気満々ですね。)」

(はじめは殺せないって言ってたくせに)

「当たり前よ。自分で産んだ娘だから自分で始末するのよ。」

「はぁ、がんばってくださいね。」

(やっぱり黒雪姫の母だ・・・)



「へっ。もし財宝が無かったとしても、小人共は宝石職人だからいくらでも金になるぜ。あの、うっさいばばぁも殺ってやるし。」

黒雪姫がそう言いながら大股で歩いていると、森に出てくるべきかわからない動物が3頭出てきました。

その3頭とは、クマ、トラ、ライオン。

見事な肉食獣3連コンボ。

「うぜぇ。」

そう言いながら黒雪姫は、向かってくる3頭をまるで、ストレスを発散するかのように殴り飛ばしました。

まだ、昼だというのに空には3つの星が。

そして、その3頭の仲間が黒雪姫の方を睨みつけると、黒雪姫が、

「死にてぇのか。」

と言い、動物の方を思いっきり睨みつけました。

その形相は、鬼よりも恐ろしく、見るものを全て石化してしまいそうなモノだった。

「貴様ら、小人共の家がどこにあるか知っているか?」

そう言うと、白いフクロウとリスが「知っている。」と悲鳴に近い声で言った。

「ほぉ、案内しやがれ。」

せっかく黒雪姫の母が放った肉食動物達も黒雪姫の前では意味をなさないのであった。

「奥様、肉食動物突破されました。」

「やっぱり。黒雪姫ならやると思いましたよ。そのうえ、動物脅して、小人の家までの道案内をさせているなんて。」

「あの子らしいわ。」



「ほぉ、ここが小人の家か。なんだ、鍵がかかってるじゃねぇか。」

そう言って、黒雪姫がドアノブから手を放し、ちょうど扉の真ん中あたりに蹴りをくらわせると、扉が家の中へと吹っ飛んでいった。

「よし、開いた。」

(開いたってアンタ壊してんじゃん!!)という動物の心の叫びは聞こえることはなかった。

小人は、ちょうど留守だったのだ。

黒雪姫は悪魔のようにニヤリと笑った。

するとフクロウとリスが一目散に元の場所へと逃げていった。

黒雪姫は、ズカズカと家の中に入り金目の物をあさり始めた。



「あの子、本当に私の子かしら。」

黒雪姫の母が溜息混じりに言う。

「さぁ、どうでしょう。」

(そっくりじゃないですか!!)

「これでめぼしいものが見つからなかったら私は死ぬんでしょうね。」

「大丈夫ですよ。小人の職業は、宝石職人。宝石ならあるはずですよ。それにいろいろと事情は伝えたんでしょう?」

「えぇ、一応。」

「もう、そろそろ小人達が帰ってきますよ。」



「おぅ、宝石いっぱいあるじゃん。もうけっ。」

黒雪姫がたくさんの宝石を見つけて言いました。

(売ったらいくらになるだろう?)

黒雪姫の頭の中は金のことでいっぱいです。

すると、その時、

「ややっ、扉が壊れているっ。」

小人達が帰ってきました。

(((((((ま、まさか、もう来たのか、黒雪姫は。)))))))

「よぅ、チビ共。」

(((((((き、来てるー!!)))))))

「私の名前は黒雪姫だ。帰るのがメンドイから、しばらくの間ここにいるぞ。」

「「「「「「「はぁ?」」」」」」」」

(((((((何だとコラー!!)))))))

「ついでにこの宝石頂くぜ。」

(((((((誰かー、ポリスマーン!!)))))))

「と、ゆーことで夜露死苦な。チビ共。」

「「「「「「「は、はい。」」」」」」」

(((((((イ・ヤ・ダー!!追い返してぇー!!)))))))

それから黒雪姫は、小人の家に住みつき、宝石を全て自分の物にしました。

それからというもの、黒雪姫は、母の想像通り、家事1つせず、のんのんと小人達をこき使っていました。



「あぁ、やはりこうなってしまったわね。」

「それはともかく、毒リンゴは完成しましたか?」

「当たり前田のクラッカーよ。」

(古ッッ!!)

「そろそろ、小人も危なくなってきたし、毒リンゴを試すために黒雪姫の所へ行きましょう。そのまま行ったら、殺されるでしょうから、変装して行きましょう。何の変装にしましょうか。」

「老婆はどうです?」

「ろ・う・ば・ですってー・・・」ゴゴゴゴゴゴ・・・(負のオーラ)

(ひぃ~~~!!!!)

「お美しい奥様が老婆になるなんて黒雪姫も思いつかないでしょう。」

「そうよね。」

(やっぱり黒雪姫の母です。あぁ、冥界へいかれたお父様。貴方は亡くなられて正解でした。むしろ大正解です。その前にこのお方と結婚したのが大間違いです。)

「じゃぁ、行ってくるわね。」

(変装早ッ!!)

(つーか、老婆衣装持ってたんですか!?)

「い、行ってらっしゃいませ。」

(つーか、逝ってください。《つい本音が・・・》)



「おい、おめぇ昼飯作れ。」

「は、はい!!」

「あぁ、肩こった。お前肩もめ。」

「は、はいぃ!!」

(アンタ何にもしてねぇのに何で肩こるんだよ!?)

胸がでかいからです。

「あ、あの、そろそろ仕事に行かなければいけないんですが・・・」

「さっさと行ってこい、バカが。(さっさと逝ってこい、バカッ。)」



「んが―――――!!いつ出て行くんだよ、あの暗黒姫(黒雪姫)は!!」

「うわー、目の下にでっかいクマが。」

「「「「「「「はぁ~・・・」」」」」」」

「「「「「「「いつ出てくんだよ、本当に・・・」」」」」」」

小人達が黒雪姫のパシリ行為から逃れるため仕事に出ていたころ、家の前では、怪しい老婆がリンゴのかごを持って立っていました。

「フフフフフフ・・・覚悟しなさい、黒雪姫。」

コンコンッっと老婆に変装した黒雪姫の母がドアを叩くと、家の中からけだるそうに黒雪姫が出てきた。

「んだよ。なんか用かばあさん。」

「これは、これは、美しい娘さん。おいしいリンゴはどうかね。」

「あっやしぃなー。」

「タダですよ。 タダ。」

「それならもらってやるよ。」

そう言って黒雪姫が手作り毒リンゴを老婆の籠から取り出して丸々1個を口の中に放り込んだ。

そして、器用に芯だけを吐き出した。

すると、黒雪姫が苦しそうに地面に倒れた。

「くっ・・・」

「さようなら、私の可愛い娘。」

「てめぇまさか・・・」

そう言って黒雪姫が気絶してしまった。

そして、黒雪姫の母(老婆)がその場を去った。



「あぁ、ついに殺ってしまった。自分の娘なのに。あの人はやはり殺人鬼だ。」

はて、さて、どうなる黒雪姫。

お前は毒リンゴごときでくたばる人間なのか!?


まだまだ続く、馬鹿話。黒雪姫は復活なるか!?そして、王子は現れるのか!?謎多き美女(悪女)




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