フライブルク日記

2009/06/09
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ベランダのズッキーニ
ベランダのズッキーニ (C)solar08

近頃はズッキーニが日本でもよく見られるようになったようですね。

ズッキーニにはじめて出あったのは、二十五年前、ドイツに来る前にまず、オーストリアのウイーン大学が毎年開催するドイツ語夏期講座を受けるために、ウイーンに一ヶ月滞在したときのことです。

この夏期講座は世界の70カ国以上から、何千人もの生徒、学生、おとなが受講する、まさにマンモス講座でした。今から考えると、オーストリア弁を習ってしまう危険もあったわけですが、私が受けたクラスの先生は、大学生だったようで、あまり激しい方言はありませんでした。

講座参加者で目立ったのは、イタリア人の17,18歳ぐらいの生徒たち。卒業試験にドイツ語を選択課目にしている生徒たちが、ドイツ語能力を上げるために来ていたようです。
かれらは、学校でもどこでもしょっちゅう抱き合ったり、「アモーレ、アモーレ」をくりかえして、その熱いこと、夏なので参りましたよ、暑くて。
おかげでイタリア語の片言も覚えられたけれど、アモーレだけじゃね、いくらなんでも、役に立ちませんが。

わたしのクラスには、レナーテというミラノ出身の、まるで少女漫画の主人公のような可愛い十七歳の女の子がいました。髪が漆黒、黒い眼は完ぺきな大きさと形、長いまつげをパチパチさせて、お化粧もしていないのに、それはそれは美少女。
気が良くて、美貌(可愛いだけだから、ヨーロッパでもてるかどうかはわかりませんが)を意識する風もなく、まだあどけない少女といった感じ。



レナーテは恋人とそのご両親が住む家に泊って、講座に通ってきていました。
あるときレナーテが、同じクラスのポルトガル人とスペイン人の若い女性とともに私も、この彼氏の家に夕食にご招待してくれました。

ウイーンというのは、観光客や外国人(当時はトルコ人、イラン人などの学生が多かった)ばかり目だって、本物のウイーン人にはなかなか知り合えません。
やっとウイーンの家庭が見られると喜んだ私は、招待をお受けしました。

レナーテの彼氏は豊かなお家の出のようで、お家も広く、豪華。
レナーテは、まだ十七というのに、もう結婚を考えているようで、トロンとした夢見る目つきで、彼氏のノロケ話ばっかり。こちらはお腹が空いているのに。

やっと食堂に案内され、出てきたものは。
ズッキーニをラザーニア代りにしたような料理。
これは後に、フライブルクの家庭でもよくお目にかかりました。

ズッキーニをたてにスライスして、ラザーニアのように並べ、その上に生トマトと牛のひき肉でつくったソース(生トマトをたっぷり使うとおいしい)を塗り、またズッキーニを並べ、ソースを塗り、というのをくりかえし、最後におろしたパルメジャーノ(ドイツではパルメザンと言っています)でおおって、オーブンで焼いたもの。

これはこれでとてもおいしかったです。

その後、ドイツで暮らすようになって、この程度で(それでも主菜食のほかに前菜としてサラダとかがある場合は多いですが)みんな楽しくお話しながら夕食をする、という気軽なお呼ばれがふつうにあることを知りましたが、なにしろそのときはまだこちらに来たばかりなので、ちょっと驚きましたね。裕福そうな家庭だっただけに。

しかも量も少なくて・・・、遠慮しつつおいしくいただき、キャセロールに最後の一区画が残って(遠慮のかたまり)、レナーテの彼氏のお母さんがお客を見回しました。積極的なスペイン女性が「それ、いただきます」と率直に申し出たので、彼女の手(口)に遠慮のかたまりは消えることに。
すると、レナーテは涙を浮かんばかりにして彼氏の肩に手をかけ、
「ミ・アモーレ、あなたが食べられなくて可哀想」と言うではないですか!
彼氏は一応、お客を呼ぶ側の人なんだから、遠慮するのは当たりまえ、そんなことにも気がつかないほど、レナーテは恋に盲目になっていたのかも。



レナーテがその後どうなったかは知る由もありません。
もうずいぶんとおばさんになっているかも。

話はズッキーニに戻りますが、ズッキーニとトマトソースはとても相性がよいと思います。
そのほかにズッキーニで好きなのは、薄く切ってディルをかけてバターで焼いて、同じくバター焼きした牛肉の薄切り肉とあわせること。これは、フライブルクに来てから、当時学生だった女性が作ったのを食べて、おかわりしたいくらいおいしいと思いました。ディルというのが秘訣みたいです。

ナスもそうですが、粉チーズを振ってオーブンで焼くのもいいし、天ぷらもいいですね。

もう一つ、ズッキーニを短い千切りのようにしたサラダもおいしいですね、キュウリよりも味があるからでしょうか。

夏にはズッキーニを裏ごしして、生クリームといっしょにしてつくった冷やしスープ。これはレストランの前菜などに出てくることがありますが、まだ自分では作ったことがありません。

おもしろいのはね。十年以上前、東京の阿佐ヶ谷の路上で珍しくもズッキーニを見かけたのですが、売っていたおじさんが「漬物にして食べるとうまいよー」と言っていたこと。まだ実験していませんが、意外とおいしいかもしれませんね。

私のベランダの鉢に、一株だけズッキーニが植わっています。
ベビーズッキーニを毎日ながめて、「早く育っておくれ」と念じています。花はひとつだけ食べてしまいました。念が通じてくれるとよいのですが。





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Last updated  2009/06/10 05:12:50 AM
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