2002年01月30日
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研修報告(9)
3.現地視察(その1)

午後1時から劉氏と姚・衢(じょう)州市農業局副局長、呉・柑橘研究所所長、江・主任の案内で、農業局のマツダのワゴン車で現地視察に出かける。

最初に航阜鎮へ行き、副鎮長の方氏が同行する。鎮を視察する場合、その鎮の責任者がお世話をするのが中国のシステムだそうだ。

航阜鎮は古い産地で、衢州市では最高の柑橘生産量を誇る鎮である。小さな港があったために、このような名前がついたのだそうだ。昔はここから上海や南京に向かって柑橘が出荷されていたそうだ。方氏の話では航阜鎮は43村からなり、人口は49,800人で柑橘の生産量は6~7万㌧。そのうち97%がポンカンである。温州みかんと胡柚が少しある。農産物収入の90%以上は柑橘からのもので、後は米と野菜である。農家のなかには、生産と販売をやっている農家もある。主な販売先は上海や北京だそうだ。

最初に案内された所には展望台があって、その上に登るとなだらかな丘陵と平野が広がり、見渡す限りみかん畑である。はるか向こうに衢州市の街並みが見える。そのこちら側には2階建てのきれいな家がたくさん並んで建っている。それらはアパートなのかと訪ねたら、農家の家だそうだ。この地域の農家は西安の農家よりずっと収入が良いようだ。方氏が、「ここからの眺めは、この鎮の平野部の代表的な眺めです」と説明してくれた。

平野部の生産上の一番の問題は、地下水位が高いために、「過水(過湿状態)」であるという。我々の登った展望台には「航阜鎮一品紅橙柑示範園区」と書かれており、その下には、一品紅橙柑産品基地2万畝、其中中心方2000畝、示範園500畝。主眼目標、畝産2500公斤(反当1800㎏)、大小年幅度(隔年結果)15%以内、特級・一級果率75%以上。とあった。目標が反当1.8㌧では、実際の反当たり生産量は日本より少ないようだ。また、どの程度を1級果実とみなすのかわからないが、おそらく日本ほど厳しくはないだろうから、品質に対する意識もかなり日本とは差があると思った。日本では加工品を25%も作ったのでは、採算に合わない。

ここの改良目標は、明きょ排水路を作ること、不良系統の伐採、「三蔬(粗)一改」を実行することである。「三蔬(粗)一改」とは、今年から衢州市農業局が農家に推進する技術目標のスローガンだ。中国ではよく、このように数字を使ったスローガンが使われる。その内容は
木を粗にする

実を粗にする
有機肥料に改める
である。

その後訪問した農家は、施肥作業中だったが、今年から化学肥料を使わず、有機配合肥料を使っているそうだ。しかし、日本の有機配合肥料に比べて有機配合比率は低いようだった。また、その園は密植状態になっていたので、方氏はその農家に一本おきの間伐をするように指導していた。千鳥状に間伐をするという。

次に訪れたポンカン園は、この付近で一番の優良園だそうだが、木と木の間は十分に間隔があり、枝は裾まで充分に葉をつけている。一段目の枝と二段目の枝の間も間隔があり、園内は草生栽培で柔らかな草で覆われている。この園だと反当3㌧は毎年生産するという。おそらく品質も良いだろうと思われる。十分に「三粗一改」が行われている園である。ただし、難点は樹高が極端に高いことで、おそらく4㍍はある。アメリカの柑橘が3㍍でトッピングしている事を考えれば、おそらく中国の柑橘の樹高は世界中で一番高いだろう。収穫作業は脚立を使うそうだが、平坦地はまだしも、傾斜地では作業能率が悪いだろうと思う。






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最終更新日  2002年01月30日 12時49分20秒
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