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自分が悪性癌かも知れないと医師より伝えられたとき、そのときは冷静でいられたがクリニックをでて自転車で道路を走っていると無性に泣きたくなった。広い駐車場のある和食のレストランに入った。誰も知らない店の隅でしみじみと泣いた。入院期間は半年かそれ以上かもしれないということだった。自分をどうするかの前に職場にどう話せばよいか、家族にどう話せばよいか迷った。疑い病名についての病識もなく、手持ちの本にもなく、医学・看護学の本を置いてある書店に一日立ち読みして何とか自分の疑われてる病気についての知識を得た。
癌になると高くなるという腫瘍マーカーが正常値の10倍以上という値であった。転移癌を否定するために自分の病院で受けられる検査を急いで受けるように言われた。職場から去ることの準備をしながら体のチェックもしなければならない。卵巣がんの疑いであったので手術をしなければ悪性か良性かも分からない。悪性であったら手術も場合によっては何回も受けなければならない。化学療法もなかなか治療成績がよろしくなかった。
職場を去るためにはその意味をメンバーに説明しなければならない。プライバシーもあったものではないと思った。想定されることを念頭に置きながら楽観的でもなく、悲観的でもなく他者に説明するのは難しい。書店でのにわか学習の成果もあり職場の理解を得ることができた。私が休むために職場に応援をもらわなくてはならない。個人の問題を超えていた。
そんなこんなで大変な状況なのに、文書で支援要請を書けという上司もいた。又ある人からまだ何も分かっていないのに病気だと言いふらすのはどうかという意見も聞こえてきた。休みたいために休むのではない。休まざるを得ないから休むしかないのに。周囲の人間の無理解こそ患者本人を傷つけるののは無いと思った。
病院に入院するためには一人では入院できない。インフォームドコンセントが重視されればされるほど患者本人だけではなく家族の同意も必要とされる。家族にも話したくないということは許されないのだ。そのうえ解剖生理や疾病や治療内容、手術方法など分からないことだらけなのに、医師は最後の決定を患者に委ねる。数時間の学習で数十年の学習暦のある医師と対話しなければならない。悪性かもしれないと言われつつ冷静な判断を医師から求められるのだ。
柳原和子氏のがん患者学という本があるが、患者は自分に起こりうることについて学ばなければならない。家族にも周りの他者にも説明しなければならない。
ここまでの話は前置きだが、訪問看護の仕事についてから癌患者様の家族と接することが続いた。夫である男性が癌で、妻が看護を自宅でされている。今日接したKさんもそんな状況に置かれていた。診断を受けた医療機関の意思からは結構厳しい説明を受けている様子だった。
ご本人には認知症もあり同居している家族は妻一人。食事も、入浴もまだ一人でできている。でも余命は半年も無い。訪問看護の場面では患者様がおられるので家族としてはじっと耐えている様子なのだ。残されている時間をどのように過ごしていかれるか。ご家族がどんなことを考え思い悩んでおられるのか、伺っておかなければならないような気持ちになった。
看護師としては病状を観察、判断して、その結果を患者様とご家族に説明し今日のケァについて了解を得てケァをする。認知症という話だったが、会話は成立し意思疎通もできた。血圧など観察した結果をお伝理解を得ることもでき、早速爪切りと足浴を行い、足の爪に水虫がありそうなこともお話した。ご家族も協力的でバケツにお湯を用意してくださったり新しい靴下を出してくださった。体温を測定したら38.1℃あり頓服薬のお薬も用意してくださった。
夜間に落ち着きが無いこともありご家族の負担も大変そうに思えた。何をお手伝いしていけばよいのか、もっとはっきりご家族とお話し、お気持ちに沿ってケァをしていきたいと思うのだがその道筋がいまひとつつかめない。そうそう時間があるわけではないと思うと結論を急ぎたくなってしまう。
この間、接してきた方々は最後までご本人やご家族が思うように過ごせたのだろうかと思う。結局ご自宅での生活を諦め病院で最後を迎える方が多かった。病院、特に一般病院は生活空間は極めて狭い。ベッドだけの空間で快適な生活ができるとは思えない。もし許されるならご自宅で最後を迎えてほしい。そのために必要なことがあればご家族に要求を出してほしい。大変な思いをしてらっしゃるならそのことも思いっきり話してほしい。
今日の仕事をして、思うことはこんなことかなぁ。
私の場合は手術前目一杯驚かされて、手術後は良性とわかるや否や主治医の緊張も解けリラックスされていた。抜糸前にベッド調整が必要といわれ退院した。10日間の間に地獄と天国があったわけだが。
根治が困難でいずれは死を迎えなければならない方との接し方に、私が迷っているのだと思う。明日、職場で今日感じたことを話してみようと思う。
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