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himekyonさん
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午後6時半、携帯電話が鳴った。
「お父さんが食事中にゼロゼロしてきて、食事を食べなくなってしまった。来てくださいますか?」と。
「横にして右を上にして様子をみていてください、急いで行きます」と返事。
自転車でご自宅に向かいながら、呼吸が止まっていたらどうしようと不安になる。踏切で足止めされて、大急ぎで階段を駆け上がりドアを開けると、お母さんがすぐに出ていらした。
「呼吸はしています?」と思わず聞いてしまった。帽子を被りレインウエアを着たままだったので、きょとんとされたが、看護師と分かりホッとした様子。
レインウエアを脱ぐ時間も惜しかったが、チャッチャと脱いでお部屋に上がると、しっかり呼吸をしている。
まずは呼吸音の確認。背中から呼吸音をきくと、右肺全体にブツブツとした呼吸音。口を固く閉ざしているのでお鼻から吸引。量はそれほどでもなく少量引ける。脈拍は80回/分。体温は36.7度。痰がたまっている右の肺を上にして、前傾側臥位になっていただき5分ほどで大きな咳をして痰がでた。
もう一度呼吸音を聴くと、もうきれいな音になっている。
脈拍も70回、酸素飽和度も99%に軽快。
再度吸引すると少量の痰。
肺の音を、ご家族にも聴いていただき普通の呼吸音に戻ったことを確認していただく。
妻(お母さん)は、目薬を差したことで痰が詰まったのではないかと心配している。全く関係ないことを説明。
食事中むせ始めた時に無理をしないで、食事を中止し横にならせたことが賢明な判断だったことを伝える。
夜中などむせた時、ご自分でも痰の吸引ができるようになりたいとおっしゃる。吸引方法を簡単に説明すると、「やっぱ、自分では無理」としり込みされる。
お気持ちは分かるので、週2回の訪問のときに少しずつ練習をすることを約束する。「資格がなくってもできるんですか?」と質問がある。
在宅看護は家族がする分には資格がなくっても大丈夫なんですよ、それが在宅医療なんですよ、少しずつ勉強して行きましょう。色々なことができるようになったお母さんですからきっとできるようになります。
次に来るときには、吸引のパンフレットを持ってきますから。
この家族は、病棟では介護力が低いと決めつけられ、吸引の方法については指導をされてこなかった。退院して3週間が立ち、おむつ交換、体位変換、摂食介助と次々と自宅介護の方法をマスターしてきた妻だから、きっと吸引もできるようになるはず。
一番確信を持ったのは、夫に対する声掛けの優しさ。通常の訪問看護のときケアをし終わると「お父さん気持ちよくなって良かったね」ととっても喜んでくださる。介護が大変とも一度も言わない。ベッド回りがとっても几帳面に片付けられていて、仕事がしやすいことなど。
不安げな顔をまだされているので、「普段のお父さんの様子をみているお母さんが、いつもと違うと感じることが大事なんですよ、対処に困ったときは遠慮なく私たちを読んでください。そのために私たちがいるんですから大丈夫ですよ。」と伝えると、「いいんですか?」と。「いいんですよ、そのために訪問看護があるんですから、心配な時は連絡ください」ともう一度念を押す。
「そうですか?!、よろしくお願いします」と笑顔になった。
事務所に戻ると20時10分。その後に連絡はないのできっとあのまま呼吸状態は安定してきたに違いない。
何としてでも元気なってほしい、と思う家族の愛の力は強いものだ。
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