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2009.01.02
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カテゴリ: Jリーグ観戦記
09年1月1日 天皇杯決勝@国立競技場 44,066人(83%)

ガンバ大阪 1-0 柏レイソル
【得点者】
延長後半11分 播戸竜二(ガンバ)


「もし今季ACLの出場権が獲れていれば、天皇杯でここまで来れたかどうか、それはクェスチョンですね。CWCでやり尽くしたあと、一番バーンアウト状態になってたのは自分だったかもしれません。”あの舞台にもう一度”という感覚を、選手たち全員が失ってなかったおかげです。CWC後の3試合は、そんな選手たちの強い気持ちに自分も引っ張られたんじゃないかと思います」
 横文字好きの西野朗監督は、よほど感激していたにちがいない。笑いを押し殺した表情で席につくなり、みるみると言葉が溢れ出してきた。選手たちを誇りに想う気持ちが、そうさせていた。筆者は、とりたててガンバ大阪を応援する立場にはない。しかしこの日のゲームから得た感動は、大不況に突入した新しい年を吹き飛ばすほど魅力に満ちたものだった。
 考えてもみよう。「世界3位」の座を手に入れたのが12月21日である。中4日で天皇杯の準決勝に臨み、神戸でのグランパス戦をまずクリアした。再び中4日で横浜F・マリノスとの準決勝を闘い、山崎雅人の決勝ゴールが生まれたのは延長後半11分のことだった。120分にわたる闘いだ。ただでさえケガ人を抱えるガンバを満身創痍としたのも当然だろう。だが、決勝で柏レイソルを倒さなければ、昨季ACL王者がACLに出場できないという、じつに理に合わぬ事態を招いてしまう。CWCで「バーンアウト」したはずのガンバの面々には、メンタル面での切り替えが求められていた。

 今度は中2日で迎えた、元旦の決勝である。まったく同じタイムの延長後半11分、決勝ゴールを決めたのは、CWC以来フィニッシュを外しまくった播戸竜二だった。10日間でパチューカ、グランパス、マリノス、柏レイソルと闘い抜いた総時間は、420分にものぼる。精神力が肉体を超えた結果だった。
 ハーフタイムでの遠藤保仁の話が興味深い。遠藤をいつベンチに下げるか逡巡する監督に、彼はこう報告したのだ。「ヘンにアドレナリンンが出ちゃって、痛みがどこかへいっちゃいましたよ」。


 この日のゲームで勇退する、レイソルの石崎信弘監督が頭を垂れる。
 「ガンバの疲労を計算に入れて、前半で勝負を決めようと思ってました。そのチャンスを逃したのが痛かったですね。だけどガンバは、優勝に値するチームだと思いますよ。あれだけ疲れていても、あれだけ正確にプレーができるんですから。今日の口惜しさを糧に、レイソルもガンバのようなチームになれるよう願ってます」
 前半6分、村上佑介のクロスに反応したポポのシュートが藤ケ谷陽介に止められた。21分にも、アレックスのクロスを菅沼実が頭で角度を変えたが、やはり藤ケ谷に抑えられた。とにかく点が欲しい石崎監督は後半、右アタッカーの太田圭輔を下げてフランサを投入したが、この一策は采配ミスだったように筆者には思えた。
 フランサは、ひじょうにトリッキーなプレーヤーである。事実、何度もスタンドを沸かせた。だが彼は、まるでピッチの王様でもあるかのように走ることを無視する。自分のミスでボールを奪われても、決して追おうとはしない。そんな男の尻拭いをするのは、周囲の味方たちだ。11人対10人で闘ってるようなものなのだから、体力的に有利であるはずのレイソルが疲労困憊に陥るのももっともな話だろう。プレッシングサッカーを仕掛けていたレイソルが、後半からその表情を変えたのは、フランサ投入に一因があったように筆者には見えた。
 事実、石崎監督はこう告白している。
 「フランサをトップに入れたら、追い越していく選手がいなくなってしまいました。そこで忠成を2枚目のカードとして入れたんです」
 李忠成がポポと交替したのは、後半13分だ。22分にはボランチの山根巌が負傷し、早くも3枚目のカードを切らざるをえなくなる。後半30分も過ぎると、レイソルのスピードはますます落ち、ほとんどのプレーがレイソル陣内で行なわれるようになった。「勝負どころは、どこかで必ずある」。西野はそう言ってハーフタイムで選手を送り出したが、レイソルの失点は時間の問題だった。

 こうして延長後半11分、シュート体勢に入った倉田秋をディフェンスがブロック、そのこぼれ球を播戸兄貴が決めたのである。ペナルティエリア内で倉田にパスを回したのは誰か。そう、ヤットである。やはり、彼こそがガンバの心臓部ななのだった。
 このようなチームがアジアの王者になったことを、我われは率直に喜ぶべきだろう。27日のJユースカップでも、ガンバが大阪勢対決を制して優勝した。安田理大、橋本英郎、寺田紳一、下平匠、倉田、平井将生……、いずれもガンバのユース育ちという自前のプロ選手たちである。正しいクラブとしてのあり方を、彼らは示してくれている。次に彼らが挑戦するのは、2月28日のスーパーカップだ。同じACL制覇を狙うクラブ同士として、宿敵・鹿島アントラーズと闘う。優勝賞金は3000万円だ。「世界3位」で得た約2億のファイトマネーと合わせて、今季のガンバの重要な補強費となっていくはずだ。

 試合前の選手紹介で、明神智和と西野朗の名がコールされたとき、まっ黄色に染まったレイソル側サポーター席からブーイングと拍手という複雑な反応が一斉に起きた。日本を代表するボランチと、名将となりつつある指揮官を数年前に失ったレイソルは、その過去を反省し、新たな目標をもつべきだろう。それが、石崎監督の”遺言”でもあるのだ。


【了】

2008Jリーグチームエディションガンバ大阪ジャージーカード/JC1遠藤保仁(2色)





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最終更新日  2009.01.02 19:01:14
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