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2009.05.07
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カテゴリ: Jリーグ観戦記
5月5日 J1第10節@国立競技場 32,854人(61%)

柏レイソル 2-3 浦和レッズ
【得点者】
前半11分 エジミウソン(レッズ)
前半24分 北嶋秀明(レイソル)
前半38分 石川直樹(レイソル)
後半39分 OWN GOAL(レッズ)
後半42分 セルヒオ・エスクデロ(レッズ)



「サッカーではさまざまなことが起こります。たとえばレフェリーのミスジャッジやオウンゴールなど、意図的には望んでいないことが起こるものです。だけど私たちは、幸運を必要とすべきではありません。幸運よりも、チームのクォリティを上げることが必要なんですから」
 フォルカー・フィンケ監督が「幸運」を繰り返したのも無理はあるまい。3日前のアルビレックス新潟戦を、ロスタイムのゴールで逃げ切ったばかりだった。そしてこの日も、ハンドに見えたエジミウソンの先制に柏レイソルの猛抗議は一切受け入れられず、セルヒオ・エスクデロの決勝点も偶然によって生まれた。サッカーでは、様ざまなことが起こる。クォリティの面で上回ったチームが、最終的には敗れたのだった。


 02年7月、田中達也らの活躍で浦和レッズが2-1でレイソルを下したゲームから順を追っていこう。3年後の夏、逆にレイソルが3-0でレッズを完封、この年の年間順位16位のチームが、格上である2位のチームに雪辱した試合だった。だが07年4月、今度はレッズがワシントンと小野伸二のゴールでレイソルをゼロ封する。そして最も直近の例が、昨年6月の国立だ。李忠成の先制などでレイソルがレッズを2-1で倒す。Jのお荷物クラブから強豪の仲間入りをはたした近年のレッズにとって、レイソルは決してラクな相手ではなかったというわけだ。しかし今季、彼らはまだ1勝しかあげていない。「1勝2敗6分」というあと一歩及ばぬ成績が、レイソルが抱える苦痛を物語っていた。

 序盤のレイソルは激しいプレッシングをかけながらも、アプローチとフィニッシュのちぐはぐさでたびたびチャンスを逸していた。そんな矢先の11分に生まれたのが、エジミウソンのヘディングシュートである。出鼻をくじかれたレイソルが、どう反撃していくかに注目が集まった。なぜなら問題を抱えていたのは、むしろレッズの側にあると思えたからだ。
 レイソルのシステムは市船出身・北嶋秀明を頂点とする4-2ー3-1である。トゥーリオと坪井慶介が交互に北嶋をケアしていたが、キーとなったのがレイソル2列目の「3」だった。右サイドのワイドポジションに忠成、トップ下に習志野高出身の栗澤僚一、そして左サイドにはレイソル生え抜きのプレースキッカー・菅沼実が並ぶ。この3人に対して細貝萌が忠成を、ボランチの阿部勇樹が栗澤を、山田暢久が菅沼をチェックするという役割分担が行なわれた。ところが細貝と山田の守備の負担が重くなり、レッズは効果的なサイド攻撃がほとんどできないでいた。

 逆にレイソルは、2列目の両サイドがフッと中に入る動きを見せたときに巧妙なチャンスシーンを作り出していた。
 その典型例が、試合を振り出しに戻したキタジのダイビングヘッドだろう。インへ潜り込んだ忠成の動きに細貝が惑わされ、後方からオーバーラップを仕掛けた小林祐三のケアに一瞬遅れた。両者ともにセカンドボールに触れたが、最後にモノにしたのが小林だった。レイソル右サイドバックのクロスに、182cmのキタジが躍動した。
 同じようなシーンは左サイドの菅沼と石川直樹の関係でも見られ、サイドの攻防という点では完全にレッズが後手に回っていた。38分には菅沼のフリーキックのこぼれ球を石川が左足で突き刺し、前半2-1でレイソルがリード、後半はフィンケ監督がどう修正してくるのか、その手腕に期待がかかった。
 ところがこのドイツ人指揮官の策は、攻撃の駒を入れ替えるだけに留まる。メディアからのプレッシャーに潰れかけているという原口元気を高原直泰に代え、それでも追加点を奪えないと見るや、24分にセルヒオ・エスクデロを中盤に投入し、ロブソン・ポンテの攻撃参加をより多く促した。
 後半のレイソルは、レッズが警戒する2列目がやや引き気味になってしまったのが悔やまれる。11分には「カウンターに強い」という理由で話題の大津祐樹を北嶋と交替させ、19歳とは思えぬフィジカルの強さとスピードでレッズの坪井を脅かせもした。ただ大津をターゲットにしたパワープレーの数が増え、中盤の展開が甘くなってしまったことは否めない。それでも22分には、センターバック・近藤直也のヘッドがボール1個分ポストを外れる。あるいは31分の菅沼のフリーキックがポストを叩くなど、確実な勝利を手繰り寄せようとしていた。

 トゥーリオが前線に顔を出す回数が増えた39分、集中力を切らせたとしか思えないレイソルにミスが出る。今年になってからようやくチームにフィットし始めたエジミウソンは、セットプレーで最も気をつけなければならない男だ。記録はオウンゴールとなったが、左コーナーキックを183cmの頭でねじりこみ、土壇場で同点としたのである。さらに42分、そのエジミウソンのシュートをGK菅野孝憲が弾き、たまたまそこにあったのがエスクデロの躰だったというわけだ。
 レイソルはこの気の毒な敗戦で「1勝3敗6分」となった。ろくな補強もせず、中盤のキーマンであるホベルトを負傷で失った最下位・大分トリニータとの差は「5」である。「不運」だけでは片付けられない泥沼状態に陥ったといってよいだろう。
 そしてこの勝利で単独首位に立ったレッズも、気を緩めるわけにはいかない。ACL出場中の2位鹿島アントラーズ、3位名古屋グランパスエイトの第10節は7月にズラされており、現時点ではあくあでも暫定順位だ。そのうえ10日には川崎フロンターレ、16日にはガンバ大阪とのホームゲームが控える。1点を守りきる魅力薄のサッカーから、ショートパスをつなぐチームへと変貌を遂げつつあるが、この日のゴールは2点がセットプレー、決勝点はフィンケが嫌う「幸運」である。中央突破に偏りがちなサッカーにアレンジを加える必要があるはずだ。



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最終更新日  2009.05.07 10:38:41
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