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2009.07.08
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7月5日 J1第16節@等々力競技場 22,185人(88.0%)

川崎フロンターレ 1-1 鹿島アントラーズ
【得点者】
前半33分 ジュニーニョ(フロンターレ/PK←内田篤人)
後半19分 興梠慎三(鹿島アントラーズ)

 寺田周平の代表への再招集は、このゲームで消滅したのかもしれない。岡田武史監督の眼前で、決して犯してはならぬミスを犯してしまったからだ。
 センターバックの周平がボランチにコンバートされたのは第9節、日産スタジアムでの後半からだった。彼は中盤でのルーズボールを、空中戦で制することができる。ここで奪ったボールを両サイドへ振り、中村憲剛や山岸智を起点にフィニッシュへと繋げる。それが関塚隆監督の狙いなのだろう。つまりスタミナが要求される夏のフロンターレの、新たなオプションを経験者に託したのだ。くしくも試合後、指揮官は言った。 「守備のベースはできてきたが、そこからどう攻撃の形を作っていくのかが現在の課題です」 。

 鹿島アントラーズは前半、エリア内での内田篤人のプレーに不可解なジャッジングが下され、PKで1点を奪われたうえ、10人での闘いも強いられていた。前線にマルキーニョスと興梠慎三の二人を残しつつも、ボール供給源の一人である本山雅志が内田のポジションに下がるという緊急シフトだ。

 だが後半19分、そんなアントラーズに最大のチャンスが訪れる。周平はゴール前の敵を引き出し、中盤のアタッカーたちにスペースを与えてやりたかったのだろう。が、それにしても、あまりにも軽率すぎるプレーだった。集中力を欠いたとしか思えない不用意なバックパスを、マルキに奪われてしまったのだ。汗かき役のマルキでなくともインターセプトできるような、ひどく力の弱いボールだった。ほぼ満員のスタンドからアズーロ・ネロ(=青黒)の悲鳴が上がった。
 マルキの背後から、興梠がクロスするように前線へ飛び出し、あたかも予定調和でもあるかのようなパスがマルキから若者の足もとへと送られる。センターバックの菊池光将が、興梠のスピードに身体を置いていかれ、GK川島永嗣との1対1から慎三が流し込んだ。
 西ではガンバ大阪が、GK松代直樹のミスによって名古屋グランパスに壊された。そしてフロンターレも、目前まで手繰り寄せたはずの勝ち試合を、プロとは思えぬミスによって取りこぼしてしまうのだった。
 この敗戦で、フロンターレはアルビレックス新潟にも得失点差で抜かれ、3位に転落した。結果、この2チームと同じ勝点で並ぶ、浦和レッズとの2位争いという展開が濃厚になってきたようだ。首位アントラーズの勝点「39」の背中に追いつくには、勝点差「8」の壁はあまりにも大きいからだ。

 後半、フロンターレは何度も決定的チャンスを外した。
 わずか開始40秒過ぎには、ジュニーニョの右クロスに鄭大世が頭をピタリと合わせるも、強烈に叩かれたボールがポストをわずかにそれる。貴重な駒を1枚欠いたアントラーズの体勢が整う前にできた、それは一瞬の隙だった。5分にもジュニーニョの個人技から村上和弘が左足一閃したが、これも追加点を奪うには至らない。15分には憲剛がゴール右隅に放ったシュートが、曽ヶ端準にぎりぎりでセーブされる。アントラーズに同点とされたのは、その4分後の出来事だった。
 その後も、アントラーズは一人少ないことを忘れてしまうほどバランスのとれたゲームを進めている。決してベタ引きではなく、中盤が手薄なわけでもない。フロンターレに起こるかもしれない次のミスを窺いながら、危険な2トップがハイエナのように、そして献身的に動き回った。そんなアントラーズとフロンターレとの違いは、自分たちが何をすべきかを、選手個々が客観的に判断できるか否かだろう。アントラーズのイレブンは、互いの共通理解ができているのだ。けっきょくフロンターレは、「リーグ随一の得点能力」という相変わらずの凶器を備えながら、10人になった相手のゴールさえも割ることができなかった。レフェリーの判断によって得た、タナボタの1点だけに終わったのである。

 ハーフタイムでロッカールームへと戻る西村雄一レフェリーの背中に向って、オズワルド・オリヴェイラがひどい訛りの英語で訴えかけていた。「あなたがたがJリーグを守るべきなんだ!」と。
 「このままアントラーズに独走されたら、Jリーグがおもしろくなくなるからね」。まるでレフェリーに何か特別な意図でもあったかのように訝った記者もいたが、オリヴェイラ監督の主張は揺るがなかった。

 フロンターレは勝点「3」をみすみす逃して壊れたが、アントラーズはこれだけの圧力を受けながらも試合を壊すことはなかった。いわゆる、「勝ちに等しい引き分け」というやつだ。今のアントラーズを、いったいどのクラブが引きずり降ろせるのだろうか。18節の清水エスパルスか、それとも20節のサンフレッチェ広島か。すくなくとも彼らには、ほとんど死角が窺えない。まだサマーバケーションにも入ってないというのに、過去最速スピードでの「リーグ3連覇」、そしてBack to the Antlers' eraも見えてきた。


【了】


2009 Jリーグチームメモラビリア 鹿島アントラーズレギュラーカード内田篤人






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最終更新日  2009.07.08 11:44:59
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