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2011.04.27
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カテゴリ: Jリーグ観戦記
Apr.24 J1第7節@埼玉スタジアム 42,767人(70.1%)

浦和レッズ 3-0 名古屋グランパス
【得点者】
前半12分 マルシオ・リシャルデス(レッズ)
前半25分 田中達也(レッズ)
後半33分 原口元気(レッズ)


「残念ながら今日は”グランパス・サンデー”とははなりませんでした。セカンドボールどころか、ファーストボールからサードボールまで全部もっていかれましたから……」
そう自虐的に振り返ったドラガン・ストイコビッチは、力なく笑うほかなかった。「負けたのは論理的な結果だったよ」と、ユーゴ代表時代にともにプレーした敵将と試合後の握手をかわしている。
圧倒的な強さでリーグを初制覇したディフェンディング王者が、ここ数シーズン低迷する浦和レッズに、まさかの0-3である。しかも今季は他クラブとの壮絶な争奪戦のすえ、50mを5秒8で走り抜ける永井謙佑の獲得に成功した。財政難に陥った大分トリニータから移籍した金崎夢生に続き、今季は清水エスパルスからプレースキッカーの藤本淳吾を引き抜くという効果的な補強をはたしている。
「だけど、今日は私のチームじゃなかった。0-3で終わって、まだ良かったんじゃないかな。もっと最悪の結果も考えられたからね」

3月11日に直撃した未曾有の震災で国全体が喪に服してから、トレーニングマッチしか経験していない浦和レッズに対して、名古屋グランパスはガチンコ試合の連続である。どの要素を勘案しても、彼らが大差で敗れるという要因は何ひとつもなかったのである。

”2度目の開幕ゲーム”の初日となった土曜日のリーグでは、同じような事件が起きている。オズワルド・オリヴェイラ率いる手堅さが持ち味の鹿島アントラーズが、横浜F・マリノス戦で、やはり0-3で完敗したのだ。1年7ヶ月ぶりの出来事だったという。そしてこの日は、セレッソ大阪が被災クラブのモンテディオ山形戦でスコアレスドロー、日本のトップクラブのひとつであるガンバ大阪にいたっては、昨年の柏木陽介に続き、槙野智章までも他クラブに奪われたサンフレッチェ広島に1-4の大敗だ。
ACLに出場している日本の4クラブが、いずれも結果を出せずに躓いた。「ACLとリーグ戦を同時に闘わなければならないというタイトなスケジュールが、選手を疲れさせているのだ」などという言い訳は、聞きたくもない。「Jは代表の心臓部」とアルベルト・ザッケローニに言わしめた国内リーグを闘い抜けずして、アジアのナンバーワンを目指せるはずもないではないか。彼らに共通して欠けているのは、欧州チャンピオンズリーグの強豪クラブが備えている「逞しさ」だろう。

レッズは装甲車のような機動力をもつエジミウソン、一方のグランパスは194cmの”ハイタワー”ジョシュア・ケネディをワントップにすえ、両チームとも4-2-3-1のシステムで対峙した。すなわち、「剛」と「高」のワントップ対決である。ところがグランパスのプレーヤーたちは、トゥーリオから夢生にいたるまで、前半から雑なプレーが目立ち、去年のリーグ戦で17ゴールを叩き出した自慢のハイタワーや、一瞬にして相手を置き去りにする俊足のU-22代表までなかなかボールが回らない。
玉田圭司が右ヒザ打撲で戦線離脱、右足中足骨を骨折したルイス・ダニルソンの復帰は早くても5月の連休明け、もともと期待外れだったイゴル・ブルザノビッチも十字靭帯の断裂でさらに復帰は遅くなる。ケガ人続出のチーム状況はたしかに痛いが、問題は別のところにあったのではないか。中途半端なプレーからことごとくボールを奪われ、一転、守勢に立ってしまうシーンが何度も見られた。こんな有りさまでは、体力も精神力ももつはずがあるまい。ピクシーが指摘したとおり、まさに「論理的な結果」が待っていたわけだ。

逆にレッズの狙いは、極めて論理的だった。
グランパスは攻撃好きな選手を中盤に多く抱える半面、ディフェンスラインの上がりが遅れ気味で、3列目の後方にポッカリとスペースが空きやすい。トゥーリオと増川隆洋のCBコンビに、楢崎正剛という日本を代表する守護神を擁するグランパスとはいえ、彼らの前に空いたスペースをうまく利用できれば、レッズにもゴールへの道筋が見えてくるのだ。
ゼリコ・ペトロヴィッチが「本当にいろいろな所に顔を出してくれた」と賞賛を贈ったように、エジの動きに警戒を強めたグランパスの守備陣が引っ張られ、ただでさえ危険に空いていたスペースにギャップが生じた。その結果、そこへ侵入したマルシオ・リシャルデスや田中達也、そして原口元気らレッズ2列目の3人を活気づけたのである。事実、この3人ですべての得点を奪っている。運悪く観戦を逃したファンにとっても、これ以上わかりやすい展開はないだろう。

グランパスは、先制ゴールをあげた試合に強い。しかし、ナラが守るグランパスのゴールを先に突き刺したのは、やはりレッズだった。
前半12分、エジが右ウィングの達也にパスを送り、強烈なシュートを引き出す。そして名手の両手を弾いたボールに、運動量豊富なマルシオが食いついて押し込んだ。アルビレックス新潟4シーズンで絶対的な司令塔として君臨し、昨季は直接FKによる7ゴールを含め、自己最多の16ゴールでベストイレブンに初選出された男だ。アルビレックス時代の5倍にあたる、2億5000万の年俸で獲得したといわれるマルシオの値段が相応だったのかどうかは、彼自身がこれから証明してみせるだろう。
続く25分、陽介の縦パスを受けたマルシオが、ゴール前の達也に送って追加点を奪う。このときも、エジが巧みなフリーランニングによってグランパスのディフェンスラインに隙を与えていた。得点こそ奪えなかったが、彼のチームプレーに徹したパフォーマンスが、ペトロの賞賛を呼んだのである。


この日のゲームでは、テーブル付きの「WONDERシート」が数時間で完売したという。後ろ向きの話題が続くなか、サッカーを観たくても叶わなかったレッズ・サポーターのストレスは、爆発寸前だったということだ。
【その2に続く】





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最終更新日  2011.04.27 10:15:13
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