子供の年代別つきあい方

■　「いい成長」をうながすつきあい方　■　

～ここでは、ママが実際に参考にしている本をチョット抜粋して、みなさんに紹介します。～

★わが子に愛情をかけるということ★
　親がわが子に愛情をかけるということは当たり前のようですが、愛情には子供を受け入れて優しく温かく育てる愛情もあれば、子供をとらえて離さず、のみこんでしまうようなような愛情もあり、そのかけ方によっては子供の可能性を活かしたりも、つぶしたりもするのです。
日常の生活において、愛するがゆえに相手に接近しすぎて嫌がられたり、逆に相手を尊重するがゆえに距離をおきすぎて「冷たい」と非難されたりすることがあります。
　一般に人と人とが上手く付きあおうをするとき、互いに相手がいることですから、すべて自分の思いどおりにはいきません。ふだんは何気なくつきあっていても、少しでも不調和やぶつかりあいが起こると、人は戸惑ったり、悩んだりします。相手は自分に対して何を考え、感じているのか、自分に何を求めているのか、自分は相手にどのように考え、どのようになりたいのか、つき合い方を変えようとするのです。
　相手が他人の場合は、相性が悪ければ、縁を切って一切会わないこともできるでしょうが、親子となるとそうはいきません。親と子は生まれた時から運命的な出会いをし、一生親と子であり続けるわけです。子供は親の思いどおりにはなかなかなりませんが、親は子の成長に対して責任を持たなければならないところに親の大変さがあるのでしょう。
　子供は一般的に親、特に母親との一体感を十分に感じながら依存する時期から、徐々に母親とは違う自分を探し、発見して、自立する時期へと成長していきます。成長するためには、さまざまなつまずきを経験しながらも、親から離れていかなければなりません。自立していくことが必要です。
　子供は、そもそも自立していく可能性を秘めた存在ですが、親が上手くかかわることによってその可能性が発揮されていきます。そのためには、親は子供と離れすぎず、そして、密着しすぎず、各年代における成長に応じたかかわりをしていく必要があります。
　ここでは、子供の年代別の特徴に応じた親子のつき合い方についてかんがえてみましょう。

●乳児期●
頬をすり寄せ密着してすごしましょう
　子供が０歳代の時期は、親、特に母親との一体感を十分に感じながら、安定した愛情関係や基本的信頼感がつくられる時期です。
　基本的信頼感とは、「不安になればすぐに解消してくれる」「大丈夫だ」という安心感を言います。空腹になったり、オムツがぬれたりして泣けばすぐに取り替えてくれる母親を通して「安心」を幾度となく経験していきます。
　親が子を心から大切に思って抱く時、子供にも親にも快感が生じ、そこに親子の一体感が生まれます。
　子供のすべての泣きのサインにすぐに応じることはできないにしろ、この時期は母子が密着していくら愛情をかけてもかけすぎることはないでしょう。赤ちゃんを抱き、頬をすり寄せ、母親の時間が許す限り、密着して過ごせばいいと思います。
　この時期に基本的信頼感がつくられることはとても大切なことで、後の親子の関係や子供の発達にも影響してくると言われます。

●幼児期●
子供の歩みを温かく見守りましょう
　この時期は自分で歩けるようになったり、言葉も発達して、自分の思いを短い言葉で表現できるようになります。自我の芽生えから、自分の思いを一方的に主張したり、思いどおりにならないとかんしゃくを起こしたりして、母親にとっては少々やっかいな時期です。僕はお母さんとは違うんだと言わんばかりに「イヤイヤ」を連発したりします。お母さんが説得しようとしても、この時期の子供は相手の気持ちのありのように気づかないばかりか、説得内容もしっかりとは理解できません。自分の考えを整理したり、感情をコントロールしたりすることもできない段階なので、自分自身でも混乱した状態になってしまいます。こうした自我の芽生えの時期は母親との分離の第一歩で、親子のかかわり方がとても重要です。
　２歳くらいから、子供は「ブンデ（自分で）」「ブンデ」と何でも自分でやりたがるようになります。親はうまく援助しながら、子供自身が達成感を感じられるようにすることが大切です。
　また、この時期は、これまでの家庭中心から、公園や児童館でのプレイグループなどへと生活・遊び空間が広がる時期です。子供は母親以外の同年代の子供に興味や関心を示し、かかわりを求めるようになります。子供が離乳すると、一抹の寂しさを覚えるお母さんもいますしが、この時期、子供は外の世界へと歩み始めます。お母さんは子供を抱えこんで密着しすぎないようにしましょう。
　もちろん、温かい関心を持って見守り、子供が望めばいつでも抱きつける安全基地でいることが必要です。

●園児期●
園生活での楽しさや不安な気持ちを理解してあげて
　幼稚園に入園する時期というのは母子の関係が大きく変化します。
以前に他の子供とかかわる時期があったにせよ、その場にお母さんが一緒にいたのですが、この時期になるとお母さんと「バイバイ」をし、初めて一時の別離を経験します。
　多くの幼稚園では、最初の登園日に、数人の園児がお母さんと「バイバイ」ができなくて泣いている光景が見られます。子供は自立していく可能性を秘めた存在なので、数日から数週間で幼稚園環境に慣れていってしまうのですが、最初は子供だけでなく、お母さんも後ろ髪を引かれるような思いで別れを経験し、不安になったりします。
　園の環境に慣れてきて、友達と遊んだり、生活をともにできるようになると今度は友達同士で欲求がぶつかりあい、いざこざが生じます。
　同年代の子供同士の世界で楽しさや学びを経験する一方で、トラブルやつまずきも乗り越えながら、身近な生活面で自立するだけでなく、友達とのかかわり方や自己コントロール（自分の思いを関係性のなかで主張したり、抑制したりするちから）の基礎を学んでいきます。
　子供は園生活や人間関係で不安に揺れ動くことがありますが、お母さんは園の先生とよくコミュニケーションをはかりながら、子供を安心して園に送りだし、家庭では、スキンシップなどを多くとりながら、不安が低減されるようにかかわっていく必要があります。

●小学校　低学年期●
まだまだ丁寧な援助と愛情が必要です
　この時期、遊びや生活面では親の手を借りなくても一人でできることが増えてきます。また、自己コントロールの力も育ってきます。
　小学校入学時は環境に、とても大きな変化が生じるときです。幼稚園での自由遊び中心の生活であったのに、小学校では椅子に座って机で教科に基づく学習をするようになるし、教科書やノートなどたくさんの教材を自分で取り扱わなければならなくなります。
また、今までの友達関係がなくなり、クラスで多くの子供たちと出会い、新たな関係を築いていきます。
　子供が小学校にあがった途端に手が離れたと思って手をかけなくなってしまうお母さんや、逆にまだまだ自立できない園児扱いで何でも手伝ってしまうお母さんもいますが、低学年期は次のように親が子供の状態に応じて丁寧な援助をする時期から、徐々に援助の手を引いていくことが重要です。
　最初は、学校で必要なものを母子で買いにいったり時間割を一緒に揃えたり、子供が望めば宿題も一緒に考えてやる必要があります。そして、次第に見守るようにして、子供が自分でできるようにしていきます。
　このような過程で子供に「自分でできる」という有能感の芽生えが生じるのです。
　宿題をお母さんが見える食卓でする児童などはまだ多く、身辺自立はある程度確立されても、心理的にはまだまだお母さんの愛情を肌で感じでいたい時期です。

●小学校　高学年期●
もはや「子供扱い」はしないように
　自分についていろいろと気づいたり、自分の秘密の世界を持ち始める時期です。子供たち同士の関係が強くなり、親の言うことはきかないが友達との約束は絶対に守ろうとします。
　また、背伸びをして大人のマネをしたがる時期です。幼児が大人のやることをめずらしく思ってマネをするのとは違って、大人という存在や大人がすることを少しずつ理解し始めてマネしようとします。
　この時期は、子供は親の「子供扱い」したようなかかわりをうっとうしく思うことがあるので、少し距離をおいて見守りながら、子供が話しかけたときには、「いつでもしっかり聞くよ」と応じられるような構えをとることが、子供の安心感につながるでしょう。
　ですから、実質的な援助をするよりも、いつでも援助できる状態で温かい関心を向けておくのがよいでしょう。
　一方、親子で観劇や旅行などの楽しい経験をたくさんしておくのがいいと思います。まもなくやってくる思春期には、子供の思考は内側へ向けられ、親から距離をおいたり、反抗したりしますので。

●中学生期●
子供が話しかけてきたら、本音で語り合いましょう
　思春期に入ると第二次性微といって、身体的に男の子は男性らしく、女の子は女性らしく急激に変化していきます。
　異性への性的関心や欲求も急激に高まり、自分自身の大きな変化によって心理的にはとても不安定な時期に入ります。
　幼児期の離乳とは違った母との分離、つまり心理的離乳とよばれる時期に入り、母親に反抗したり、異なる意味を主張したりしてきます。母親とは異なる自分を確認しつつ、新たな自分を自分で受容するために、今までの母子関係を壊し、また、新たに築いてきます。
　この時期は、大人になる第一歩。子供の世界にあまり踏み込まず、そっと見守ってやります。　
　ただし、子供が親と話したい時はいつでも話を聞くからという姿勢を示し、反抗なり、主張なり、とにかく子供がかかわりのサインを出してきた時には、とことん本音で語りあうことが必要です。

●高校生期●
親の生き方、信念を子供に本気で示しましょう
　母親と子の会話がなく、断絶し、子供が理解できなくなったと感じることがあります。親とはまったく異なる考え方・価値観などをぶつけてきます。
　この時期、母親は子供に温かい関心を向けながら、そっと見守りますが、子供が反抗してきた時には、逃げたりごまかしたりしないで、対面してとことん話し合い、自分の生き方・考え方を子供にぶつけて対決する覚悟が必要です。「生意気な」とか「一人前の顔して」などと言って子供の叫び声に対して聞く耳をもたなければ、子供はさらに反抗したり、親を完全に無視したりするようになります。お互いの歩み寄りがない場合、信頼の関係性は危険にさらされるでしょう。
　この時期は、逃げたり、そらしたりせずに、必要があれば子供は行く手を阻む壁となってぶつかることを避けてはなりません。それが愛情をかけるということになるのです。　
　思春期や青年期の子供たちは、親に反抗したり、親を批判したりして、親と子の関係を壊したり、再生したりしながら、大人へと成長していくのです。