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Jan 19, 2007
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カテゴリ: 小説 上杉景勝
 謙信は意識不明のままに、天正六年(一五七八年)三月十三日に波乱の生涯

を閉じた。ついに一言も口を開かず跡目の名もあかさずに没した。

 謙信の没後、枕の下から、つぎのような辞世の一偈(いちげ)がでた。

『一期の栄一盃酒 四十数年一酔の間 生を知らずまた死を知らず 歳月ただ

夢中の如し』「生不知死亦不知」生まれた時を知らず、どうして死の時を知ろう

か。謙信の人生観をみる思いがする。享年四十九歳、諡号(しごう)は不識院殿

真光謙信法印大阿闍梨(だいあじゃり)。

 謙信の最後を看取り、兼続の行動は素早いものであった。城内の主だった者

を集め、若年の身で衆目の前に座した。



の名跡を継いで頂くのが上策と思います。方々のご意見を拝聴いたしたい」

 不退転の気迫で迫った。誰も異論をはさむ重臣はいなかった、兼続の威に圧

倒されたのだ。御中城にいる喜平次景勝は、養父謙信を上回る器量の持ち主と

して知られていた。風貌は青味をおび謙信に似た小男であるが、知勇と胆力は

衆を抜きんでていた。平素は笑いを見せず無口をとうしているが、それ自体が

景勝を神秘で寡黙(かもく)の将として印象づけていたのだ。

 上条政繁が密使として御中城(二ノ丸)に向かった。

「何と義父上がお亡くなりになったと申すか」  「御意に」

 景勝は平素のままの、青味をおびた顔で立ちすくんでいる。信じられないことで

あった。城外には数万の軍勢がひしめき、お屋形さまの下知を待っているのだ。

「この上は、速やかに亡きお屋形さまの亡骸(なきがら)の側に侍りませ」



の傍らに侍り、後継者の地位をえたのだ。これはすべて樋口与六兼続の大胆な

作戦の賜物であった。

 重臣連は幻惑にかかったように、若年の兼続の指示に従い行動した。

 すかさず、本庄繁長と長尾権四郎景路の二将が兵士を引具して、本丸の諸門

を固めた。これも兼続の指示であった。



 お屋形さまの死が知れたら、三ノ丸の影虎さまに加勢し、功名手柄を期待する

武将の現われることを恐れた処置であった。これも兼続の策であった。

 まさに鮮やかな手並みを兼続はみせたのだ。

 軍団の撤退するありさまを見て三ノ丸の三郎影虎が、養父の病を知り、家来を

引きつれ本丸に入ろうとしたが、本庄、長尾の二将の手勢に遮られ三ノ丸に引き

返した。

 景勝は兼続と相談し、三月十五日。春日山城の金蔵と武器庫を占拠し、内外

に上杉家の名跡を継いだと宣言した。

 月があけた四月、直江津(なおえつ)の御館(おたて)に住まう、前関東管領の

上杉憲政(のりまさ)より、「上杉家は三郎影虎に継がせて欲しい」との申しいれが

あっが、これの回答をも兼続一存で上杉憲政に送りつけたのだ。

「不識院さまのご遺言により、景勝さまに決してござる」と、要求をはねつけた。

 それを聞き激怒した影虎一派は、三ノ丸に籠城し実家の北条家と、北条氏政

の妹婿である、甲斐の武田勝頼に救援の使者を走らせ、防備を固めはじめた。

            (内乱勃発)

 本丸の大広間に景勝方の諸将連が参集しておるなか、景勝は不識院の座所

の脇に脇息を置き腰を据えていた。

 小男ながら頬が豊かで青味をおびた肌と、濃い髭跡をみせ剽悍な眼差しで

一同を鋭く眺めている。一段さがった重臣連の横に、樋口兼続が座り白皙の面

をあげて口を開いた。

「お屋形さま、三ノ丸の影虎さまの勢いは日毎に強まるものと思われます。

早晩、甲斐、関東から救援軍が越後に押寄せて参りましよう」

 景勝は無言で肯き、重臣筆頭の直江信綱に視線を移した。

「兵の解散を命じましたが、帰国いたさず日和見を続ける不届き者が居ります

る。もし万一、救援軍が襲いくれば三ノ丸殿に味方するものと心得ます。我等

は一時も早く三ノ丸を攻略することが肝要かと思います」

「兼続、三ノ丸に加担いたす者供の名は分ったか?」

 景勝が低くぼそっと尋ねた、養父の謙信どうように青竹を手にし、まったく

表情に変化をみせない。

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Last updated  Jan 19, 2007 09:25:19 AM
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