長編時代小説コーナ

長編時代小説コーナ

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

龍5777

龍5777

Favorite Blog

除菌アルコールとブ… New! Pearunさん

Mちゃんママから長… New! flamenco22さん

^-^◆ 学びの宝庫・… New! 和活喜さん

Wリーグトヨタ紡織チ… クラッチハニーさん

風に向かって クリス… 千菊丸2151さん

Comments

人間辛抱 @ Re:何故、安保法制が必要なのか。 (08/09) どうもお久しぶりです。 新型コロナウイル…
http://buycialisky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) cialis muscle paincialis daily use side…
http://buycialisky.com/@ Re:改定  上杉景勝(12/11) cialis 5 mg prezzo in farmaciaanti cial…
http://buycialisky.com/@ Re:騒乱江戸湊(04/28) cialis in spanien kaufenavoid counterfe…
http://buycialisky.com/@ Re:「改訂  上杉景勝」(04/21) what happens if a woman takes viagra or…
http://viagraky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) offshore viagra &lt;a href=&quot; <sma…

Calendar

May 20, 2014
XML
にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


大永六年(一五二六年)に制定された「今川仮名目録」には、三浦氏満と並ぶ

重臣として記され、今川家における外交文書などには、太原雪斎とともに名を

連ねている。遠江の要衝で知られる掛川城を居城とし、義元の西方の遠江、三河

への戦略を常に助ける働きを示した。その一環とし今年の三月の小豆坂の戦いで

は、総大将の太原雪斎を補佐し副将として出陣した。

 この時、織田は安祥城の守備を織田信広は任せていた。今川、松平連合軍二万

の猛攻を受け追い詰められた信広は、深入りした松平の先鋒本多忠高を討ち取り、

浮き足たった今川勢に対し、城内より打って出て撃退に成功したのだ。

 そうした意味でも今川家にとり、朝比奈泰能は有能な武将で知られていた。

「朝比奈殿のご質問には答えずば成りませぬな。三河の岡崎衆を手の内にいれ、

今川勢の先鋒として活用せねばなりませんな」

 信虎が魁偉な容貌をみせ質問に答えた。

「我等今川家は先年より岡崎城に将兵を送り込んでおりますぞ」

 三浦成常が今更何をというと顔つきをしている。

「お味方と先鋒は違いますぞ、先鋒は烈しい戦いで損害も大きうござる」

「成程」

 義元が納得顔をしている。

「信虎さま、ここは駿河にござる。駿河には駿河の方法もございますぞ」

 三浦成常が小馬鹿にしたような言葉を懸けた。

「この戦国乱世、何が起こっても不思議ではござらん。内応という手もござるぞ」

 信虎が三浦の言葉に反発した。

「岡崎衆が内応いたすと申されますか?」  

 三浦成常も声を荒げた。

「わしは何が起こっても可笑しくないと申したまでじゃ」

 信虎の巨眼が細まり、戦場往来の武将の迫力が身内から湧き揚がった。

「そうじゃな、田原の戸田康光の裏切りの件もござればな」  

 太原雪斎と信虎の視線が絡みあった。

 この男、戸田康光の謀反の元がわしと疑っておるなと、瞬時に悟った。

「わしなれば再度、安祥城を攻めますな」  

 信虎が義元に視線を移し断言した。

「織田の最前線、我等は三月に完膚なく敗れましたぞ」

 義元が顔をしかめ、雪斎と朝比奈泰能が顔を固くした。

「わしの策は城を奪うことではござらん。信広を捕虜といたすにあります」

「なんとー」

 義元と二人の宿老が顔を見つめあった。

「信広と織田に人質となっておる松平竹千代と交換いたしますか?」

 太原雪斎が信虎の真意を読み、小さく呟きみずから肯いた。 

「雪斎、竹千代の交換が叶うならば駿府の人質といたせるの。そうなれば岡崎

の者共は、我家に反抗する事は出来ぬな」

 義元の眼がきらりと光った。  

「拙僧もそう考えておりましたが、なかなか織田勢は頑強にござる」

「舅殿は隅におけませぬな、だが内応者が居なくては事はなりませんぞ」

 義元の疑問に三人の重臣が、一斉に信虎に視線を向けた。   

「この信虎にお任せ下さるか?」

 信虎の言葉に四人が顔を見合わせた。  

「甲斐の古狸がお礼を致す。今こそ老骨を今川家のお役にたてましょう」 

 信虎が背筋を伸ばし、野太い声を発した。

「何か策がございますか?」  

 雪斎の問いに信虎が破顔で応じた。

「昔日の事にござる。わしがご当家と敵対関係にあった時期、岡崎城に忍びを

入れておきました、それが役立ちましょう」

「なんとー、忍び者を」

「左様」   

「雪斎、直ちに大軍で押し出せ」

 流石は今川義元、凡庸の器ではない決断が早い。

「信虎さま、忍び者との連絡方法はいかに?」

「城を包囲し城兵の命と交換で信広を虜囚となされるか、忍び者を使うかは、

雪斎殿のお考え次第。もし忍び者を使われるならば、武田家の軍勢の来援が

近いと城内にお知らせなされ、必ず内応いたす者が出る筈にござる」

「舅殿を駿府にお招きいたし助かったの、晴信殿ではこうはゆくまい」

 義元の言葉に信虎が苦い顔をした。

「ところで舅殿、晴信殿一向に動こうとはされませんな」

「倅の奴、女色に溺れ合戦を忘れた模様にござる。面目もござらん」

「子作りも兵事じゃ、そこのところが余には恐い」

 義元の眸子の奥に、疑惑の色が浮かんでいる。

「信濃平定まであと一歩で足踏みを致してござる」

「いやいや、国内の地盤を固めて居ると余のもとに知らせがござる。すえ恐ろ

しい武将と成られましょう」

 義元が歯牙にも掛けずいう態度で信虎を慰めた。

 駿河は山深い甲斐なんぞとは違う、そう義元は思っていた。

 今川勢が三河に大軍を向けたのは十月半ばの時期であった。藤枝から大井川

を渡河し、掛川(かけがわ)城に着いたのが翌日の夕刻である。

 総勢一万五千名、総大将は太原雪斎、副将は朝比奈泰能である。

 更に軍勢を進め天龍川を越え引馬城で一泊し、浜名湖を右手に見て吉田城に

軍勢を止め将兵の士気を鼓舞した。

 翌日、一気に豊川を渡り矢作川の手前の岡崎城に着陣したのは四日後である。

 この岡崎城の大広間に今川家、松平家の武将を集め部署割りを行った。

 岡崎城からは安祥城は目と鼻の先である、早朝に総攻撃と決した。

 軍議が終り太原雪斎と朝比奈泰能が、酒を酌み交わし戦術を練っている。

「雪斎殿、古狸の申したとおりの戦を為さいますか?」

「いや、我等は大軍じゃ。秘かに軍勢を発し安祥城を十重二十重に包囲いたす。

城内に乱れが見えれば、将兵の命と引きかえに信広の身柄を拘束いたす」

 雪斎が自信を示し、ぐびっと杯を干した。

 翌日、今川、松平勢二万が足音を忍ばせ、矢作(やはぎ)川を通過し夜明け前

に城を包囲した。

 だが城方は今川勢の攻撃を察知していたのだ、ここにも信虎の謀略が施され

ていたのだ。小十郎は城に忍びこみ今川勢進攻の情報を城内に洩らしたのだ。

 夜が明け染め今川勢、松平勢が息を飲み込んだ。城には旗指物がへんぽんと

風に靡き、どっと嘲笑うような喚声が沸きあがったのだ。

改訂・武田源氏の野望(1)へ

ブログランキング・にほんブログ村へ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  May 20, 2014 01:25:10 PM
コメント(51) | コメントを書く
[武田信玄上洛の道。] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: