おうさまの浦和レッズ的サッカー生活！

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スポーツ

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　ちなみにJリーグと欧州を中心とした海外ではシステムは全く異なります。

　まずはJリーグ。選手の保有権を完全に譲渡する際に年齢に応じて平均基本報酬に移籍係数の数字をかけた金額を移籍先チームから元所属チームに対して支払うことになっており、以下の式で導き出される。

移籍金=平均基本報酬×移籍係数

　ここで、平均基本報酬=（X+Y+Z)/3
X：移籍元クラブにおける今期の基本報酬（年額）
Y：移籍元クラブが申し出た来期の基本報酬（年額）
Z：移籍先クラブが申し出た来期の基本報酬（年額）

　移籍係数はJ1カテゴリへの移籍もしくはJ1内移籍、J2 or JFL内移籍もしくはJFLからJ2への移籍、下位リーグへの移籍の3種類のパターンがあるが、馴染みの深いJ1内（J1への）移籍で言えば、
16～22歳未満：10
22～25歳未満：8
25～28歳未満：6
28～30歳未満：3
30歳以上：0

　となる。すなわち、Jリーグでは若くて年間報酬が多い選手ほど移籍金が高くなることになる。

　対して欧州になりますが、1995年12月に欧州司法裁判所で出された「ボスマン判決」以来、

「ヨーロッパ連合（EU）に加盟する国（2004年5月1日現在で25カ国）の国籍を持つプロサッカー選手が以前所属したクラブとの契約を完了した場合、EU域内の他クラブチームへの移籍を自由化（つまり契約が完了した後はクラブが選手の所有権を主張できない）したもの。また、EU域内のクラブチームは、EU加盟国籍を持つ選手を外国籍扱いにできない」

　とされた。元来Ｊリーグのような面倒な計算もなく、選手個人にクラブが値段をつけ、交渉を行う。したがって、若くても才能豊かな選手が破格の移籍金で移籍することもあれば、絶対に移籍してほしくない選手には所属クラブが（移籍金200億など）法外な移籍金をかけることもある。そして「ボスマン判決」の影響もあり、クラブにとっては移籍金でビジネスを行う事は実質的に難しくなった。現在では5年や6年という長期間の契約を結んで、残った契約を買い取ってもらう方法で実質的な移籍金を得ている。逆に選手側では、移籍のハードルを低くするために長期の契約を結ばない者もいる。

　つまり、移籍してほしくない選手に対しては複数年契約を結び、いざというときには残った契約年数を移籍先のクラブに買い取ってもらう形で移籍金というものが存在している。

　Jリーグの常識のみを頼りに、移籍金0で欧州クラブに自チームの選手を取られた鹿島アントラーズ（中田浩二の移籍）が記憶に新しいところであり、クラブがそれを承知でいたとはいえ、浦和レッズの長谷部誠も契約満了に伴いドイツのブンデスリーガに移籍したので移籍金は0である。

　前置きが長いが、実はここからが本題。

　浦和レッズの鈴木啓太が「年俸１億円」との話がスポーツ報知に書かれているが、これこそ浦和レッズというクラブチームの鈴木啓太の引き留め工作であり、彼のチーム内における役割を考えれば当然のことである。

　はっきり言えば、国内移籍を見込んで年俸を釣り上げたわけではない。というかむしろ国内移籍はありないだろう。だとすると考えられることは、複数年契約を結ぶためである。

　当然安い年俸で複数年契約を結ぶ馬鹿な選手はいない。かといって単年契約では、契約満了とともに海外リーグへ移籍金0で移籍される恐れもある。

　だから大幅年俸アップさせてでも複数年契約を鈴木啓太と結びたいわけである。そうすればチーム内に引き留めておくこともできるし、いざ海外に移籍するときには移籍金をしっかりともらう事もできるからだ。

　浦和レッズにも闘莉王、阿部ら海外志向の強い選手も多くなり、リーグ全体として海外に移籍したがる選手も増えてきている事は事実。クラブ側も選手との契約内容を見直すべき時期に来ているのかもしれない。

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