2022年09月10日
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カテゴリ: OPERA


東京二期会オペラ劇場
蝶々夫人
オペラ全3幕
日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
DAY3

台本:ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
原案:デイヴィッド・ベラスコ『マダム・バタフライ』
作曲:ジャコモ・プッチーニ

2022年 9月10日(土) 14:00


指揮:アンドレア・バッティストーニ
演出:栗山昌良

舞台美術:石黒紀夫
衣裳:岸井克己
照明:沢田祐二
舞台設計:荒田 良

合唱指揮:佐藤 宏
演出助手:奥野浩子

Aキャスト 9月8日(木)/10日(土)
蝶々夫人 大村博美
スズキ 山下牧子

ピンカートン 宮里直樹
シャープレス 今井俊輔
ゴロー 大川信之(連日出演)
ヤマドリ 畠山 茂
ボンゾ 斉木健詞


二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
東京フィルハーモニー交響楽団

主催: 公益財団法人東京二期会
共催: 公益財団法人新国立劇場運営財団 公益財団法人日本オペラ振興会
***

もう号泣!
バッティやっぱり神でした。
大村さんが18歳にしか見えない完璧憑依演技!

全員がもうすごいレヴェルの演技力で
何度も見ている演出だが
新鮮に味わえた。
ゴローとヤマドリの芝居がもう関西の喜劇レヴェルでワロタ
バッティストーニは第1幕鳴らしすぎワロタ
第二幕から歌が聴こえるようになった

第二幕のシャープレスが瞠目したあたりから最後まで涙止まらず。
カーテンコールもロングで熱かったです。

プリマドンナオペラをプリマドンナオペラとして締めくくることができるってさすがDIVA!

シャープレスは本当に今井俊輔さんの十八番ですね。
またもや実感した。
シャープレスの冷たい炎のような怒りが伝わってきました。

ピンカートンも宮里直樹さんの十八番
甘くサステインな高音が罪深くpenetrating で
なぜか宮里直樹さんが出てるとバッティが鳴らしまくるという。

スズキも超十八番でもう
表情見ているだけで涙々

山下牧子さんの上等なノーブルな美声と
ドラマテッィクソプラノの大村さんの絡む二重唱は昇天もの

後ろ姿で演技できる子役がまたすごい!
ゴローが外国人とのハーフである彼を揶揄した時子役は背中を向けてしっかり聴いていた。

大川さんのゴローがもう最高のキャラでした。

BONZOの眉毛が濃すぎましたw でも斉木さんの声は1幕のバッティの棒でも問題なく聴こえました。

まったく同じ舞台でも新国立劇場と東京文化会館では聴こえ方が違います。
東京文化会館はまさに奇跡のホールで左右の壁の模様が反響板となって歌手の声がよく聴こえます。
しかし新国立劇場はオケピからダイレクトに上がってくる音は聴こえるものの舞台の奥にいる歌手の声は飛んできにくくなります。
奥行きのあるセットであればあるほどハンデが大きくなります。

2幕以降そういうことを感じなくなったのはセット位置が変わったからかもしれません。

青木エマさんのケイト、美しすぎるケイト!まさに役にぴったりでした。ピンカートンはこんなに美しい女性とアメリカに戻ってちゃっちゃと結婚したのかと思うと(美人なら誰でもいいのか!ちょっと許せな~い)…と思ってしまいます。

***
※中身にふれますのでご注意下さい。

作品の原設定は日露戦争勃発後の1904年(明治37年)の長崎。
しかしモデルとなったとも言われる史実の現地妻は1885年(明治18年)にフランス人と結婚しているのでこの演出はその頃を意識しているのかもしれない。

第1幕

序曲。速い~~~

造作された日本庭園のしだれ桜の下を歩いてくるピンカートン。ピンカートンは初めて見る美しいしだれ桜をさわって楽しんでる。

Benjamin Pinkerton
Fach : spinto

ピンケルトン:
E soffitto... e pareti

ゴローが家について説明し、使用人も紹介する。

膝をつくスズキと握手するピンカートン

ピンカートンは蝶々さんが婚礼で着る、金色の蝶の模様が入った色打掛を広げて美しさに見惚れる。

ピンカートンはゴローにチップを渡す。
しかしアメリカの小銭だったので
ゴローは受け取ったものの
は?
ナニコレおいしいの
状態w

シャープレスがやってくる。
坂の上までピンカートンが迎えに行く。シャープレスは帽子と上着とステッキをピンカートンに渡す。
ピンカートンはシャープレスよりだいぶ年下なのだ。
シャープレスは背がぴしっとまっすぐで紳士然としている。もしかしたら元軍人だったのかもしれない。

シャープレス:
Nagasaki, il mare, il porto

ピンカートン:
Dovunque al mondo lo Yankee vagabondo

America forever

ゴローがシャープレスにも日本人妻を薦めだす。

シャープレスは振り切るようにしもてにいく。

ピンカートンは五月蠅いゴローを追っ払おうと、ゴローを花嫁の迎えにやる。

シャープレス:
どんな娘(こ)なんだね?

ピンカートン:
qual farfalletta svolazza e posa

シャープレス:
Sarebbe gran peccato le lievi ali strappar
e desolar forse un credulo cuor

ピンカートン:
E al giorno in cui mi sposerò
con vere nozze a una vera sposa americana

ピンカートンとシャープレスは乾杯をするが、
ピンカートンが「アメリカの本当の妻に乾杯」と言うので
シャープレスは怖い顔になり乾杯をやめグラスをピンカートンに押し付ける。

こいつは何もわかってない。

ピンカートンはきょとんとしている。

蝶々さんの嫁入り行列。

蝶々さんは若々しい華やかな柄の着物。

Cio-Cio-San
Fach : lyric soprano|spinto

蝶々さん:
io son venuta al richiamo d'amor

蝶々さんは元々は武士の娘だったが、生活のために芸者になったことを説明する。父親は死んだとそっけなく告げる。

シャープレス:
お年はいくつですか?

蝶々:
当ててみて

シャープレス
10歳?

蝶々:
15歳ですわ。もうおばあちゃん。

シャープレスだけでなくピンカートンもその若さに驚く。「15歳?」まだねんねだ。ピンカートンはこの時まで花嫁の正確な年齢も把握していなかったのだ。
ますます心配になるシャープレス
昨夜領事館で聴いた蝶々さんのまっすぐな真剣な声が印象的だったので、蝶々さんの初々しい若さと美しさに夢中になっているだけのピンカートンとは気持ちの齟齬を感じて、嫌な胸騒ぎを覚えるシャープレス。

親類縁者がうるさく世間話をする中、蝶々さんはピンカートンに大切な身の回りの物を説明する。婚家に持ち込むものは、夫の許しを得る必要があるのだ。

神官は大井哲也さん。美声のバリトン。

式が無事に終わったので帰宅しようとする神官とシャープレス

役人がピンカートンにご子孫の繁栄をとありきたりの言葉をかける。

ピンカートンは「おまかせください(子作り、がんばりま~す)」とお茶目に応じる。

その言葉を聞いて、さっきの胸騒ぎが裏打ちされ、きっと振り返るシャープレス
ピンカートンにくぎを刺す

シャープレス:
Giudizio!
良識を持って行動しなさいよ!

つかの間のアヴァンチュールを楽しむ現地妻との間に子供ができたら面倒くさいことになると領事は思っている。

そして帰っていく

ピンカートンはやれやれといった表情
ようやくお目付け役がいなくなってせいせいした。
晴れやかに

Hip!
かんぱ~い!

O kami, o kami---

いわば式のあとの披露宴が始まるがそこにボンゾが乱入。
蝶々さんが勝手にキリスト教に改宗したことがばれて、親戚の坊主が激怒してどなりこんできたのだ。蝶々さんにパワハラするボンゾ。

Basta!

ピンカートンは怒る

ここは俺の家だ。出ていけ!

人々がいなくなりピンカートンは蝶々さんを慰める

ピンカートン:
Viene la sera

蝶々さんは着替えるために母屋に入っていく

ピンカートンは少しあけた間から中を見て

着物の帯を解くさまを想像している

あんな子が僕の妻だなんて!

蝶々さんが白い着物で現れる

袖は、長い袖いわゆる振袖になっている

ピンカートン:
Bimba dagli occhi pieni di malìa

振袖を蝶々の羽に見立てている

ピンカートンは蝶々さんに触れようとするがひらひらと何度も逃げられる

マジックにかかったように魅せられているピンカートン

蝶々さん:
Vogliatemi bene
可愛がってくださいね
小さな幸せで十分です

あなたの国では蝶々はピンで留められてしまうの?

それは逃がさないためさ

ピンカートンは蝶々さんを抱きしめようとする

満点の星空の下

すり抜けて母屋に近づき振り返る蝶々さん

ピンカートンは立ち止まってじっと見つめ、おもむろに数歩近づいていく。

幕。

第2幕

蝶々さんの家は日本家屋に見えるが、実は座敷は畳ではなく、床張り、フローリングである。
そして庭にもそうなのだが、草花の模様が美しく入っている。
この屋敷は外国人が和のテイストを感じて住むために拵えられた和洋折衷の家なのだ。いわばグラバー邸に近いものがある。
外国人は靴のまま入ってくることができるのだ。

華道で美しく飾られた花器
棚の上にピンカートンの写真。

座敷の中央に椅子とその横に台

縁側には無数の鳥かごが置かれている

しもて側の廊下から奥の寝屋に通じている。

奥の障子を開け放つと港が見え、玄関がしもて側にある(ようだ)

入ってくる人は玄関から庭を回って座敷のタタキに来る

***

お経をあげているスズキ

蝶々さんはピンクの着物。若い娘の着る色だ。蝶々さんの若さを強調している。

もうお金がない
ピンカートンに見捨てられた家。
家賃は領事が立て替えてくれているがもう生活費がない。

そんな中まだ蝶々さんはピンカートンが帰ってくると思っている。

現実を受け入れられない蝶々さんに言葉がないスズキ。
スズキは蝶々さんの親の代から仕えているので武家のしきたりを知っている
蝶々さんはピンカートンが戻ってきた日を妄想して歌う

Un bel dì vedremo
ある晴れた日

e un po' per non morire al primo incontro

io consicura fede l'aspetto

スズキは泣いてしまうが
蝶々さんになぜ泣くのと言われて奥に引っ込む

庭を回ってやってきたシャープレスはステッキでタタキを3回突く
ノックの代わりだ

領事のしばらくぶりの訪問に喜ぶ蝶々さん。シャープレスはピンカートンについて知らせをもたらしてくれるからだ。

家に上げる。シャープレスは中央の椅子に座る。
煙草を薦める蝶々さん

アメリカの煙草がよろしいのね?

蝶々さんは台の上に取りに行く
紙煙草を渡すが
シャープレスはそれをそっとスズキに渡す。
あうんの呼吸だ。

コマドリはいつ巣を作るの?

庭で様子を見ていたゴローがあざける様に笑いだす

捨てられたくせにまーだあんなこと言ってら

嫌な人
私にダンナを紹介するのよ
私はもう結婚しているのに。

ゴローが障子を開け放つ

蝶々さんの家に押しかけてきて勝手に家に上がり込むヤマドリとゴロー。

これを見てホメロスの「オデュッセウス」で出てくる話を思い出した。
トロイア戦争が終わり、故国の島に帰ろうとするオデュッセウスが苦難に遭い帰国できない
その間留守を守っていた妻の家には次々と求婚者が上がり込み、身代を食いつぶそうとしていた。
それはなぜなのか?
「ホメロスを楽しむために」の著者、阿刀田高さんは分析する。
それは当時の女性の立場が弱かったからと。
家に女子供しかいず、主人がいなければ、勝手に上がり込んで我が物にふるまっても仕方ない
という時代であったと。
蝶々さんもそういう立場であったのだ。
「主人」のいない蝶々さんは自分の「家」と主張しようにも立場が弱い
家とは男性が家長として仕切るものだからだ

ヤマドリは勝手に入ってきて中央の椅子に座る
シャープレスは庭に下りてその椅子を譲る形になる

ここで男たちは三人で会話を始める

やはり女は男たちの会話に加わるような立場ではないのである

ピンカートンの載った軍艦がまもなく入港するが、ピンカートンは蝶々さんに会う気がないことをシャープレスは知っている。
ピンカートンにその処理を「シクヨロ!」と言われて内心迷惑している。

お茶を持ってきた蝶々さんはヤマドリの前を急カーブしてシャープレスのところにいく。
メンツをつぶされ怒るヤマドリ。

蝶々さんに肘鉄を食わされ、ヤマドリは怒りをゴローにぶつける
ここの芝居が面白過ぎます!
ここは我慢、もうちょっととヤマドリを押しとどめるゴローだが、ヤマドリはさっさと人力車に乗って帰ってしまう。

ようやく静かになり、シャープレスは手紙を読もうとする。

「もう三年経ちました」

「蝶々さんはもう私のことを覚えていないでしょう」

蝶々さん:
愛していないですって?言ってやってスズキ!

スズキは廊下の端でじっと聞いていたがたまらず奥に引っ込む。

「でももし覚えていたら、そしてまだ愛していたら」

「心の準備を…」

はしゃぎまくる蝶々さん

お帰りになるのね!

「(別れの)衝撃に…」

先が読めなくなりシャープレスは立ち上がる

もうこれ以上無理だ
ピンカートンの奴め!

語気を強め、

もう彼が帰ってこなかったらあなたはどうするんですか?

ストレートに切り込まれて蝶々さんは凍り付く

蝶々さんとてバカではない。現実は知っている。でもそれを言われたらもう彼女には逃げ場がない。

芸者に戻るか…

ヤマドリさんと結婚なさったらいかがですか?

唯一の味方と思っていたシャープレスに他のものと同じことを言われ心底落胆する蝶々さん。

シャープレス:
Santo Dio, come si fa?
くそっ、どうしたらいいんだ?

蝶々さんは冷たくシャープレスに辞去を促す。

蝶々:
Ah! m'ha scordata?

彼女は秘密をシャープレスに明かすことにする

奥に行って子供を抱いてくる。

シャープレスは驚く。

なんと!

蝶々さんはシャープレスがそこにいないかのように子供と会話をし始める

シャープレスは台の上のピンカートンの写真を伏せる

このおじちゃまが意地悪を言うのよ

そしたら私はもう死ぬしかないのに

もう芸者に戻るのは嫌!
人の前で踊るなんて嫌!

いっそ死ぬわ!

シャープレス:
Quanta pietà!

シャープレスは瞠目する。蝶々さんは武士の娘だ。男に捨てられたら恥。恥をそそぐには死しかない。
いかん!
シャープレスはこの女性の気高い精神をようやく理解した。
父親のように名誉の死を選ばせるわけにはいかない。
とにかく子供をピンカートンに引き取ってもらって蝶々さんに新たな人生を始めてもらいたい。
そう考えたのか…
しかしこの判断は最悪の結果を招くことになる

シャープレスは軽々と子供を抱き上げ、高い高い~をする。
子どもに言う

お父さんに必ず伝えるからね。

シャープレスはこれを境に蝶々さんへの態度が一変した。
深く一礼するようになったのだ。
誰もこの女性を蔑むのは許さない。たとえケイトでも。
シャープレスは深く、蝶々さんへ人間としてのRespectの念を抱いたのだ。

シャープレスが帰り
ゴローが先ほどの腹いせで子供の悪口を言う
子どもはもう何を言っているのかを感じ取っている
自分への侮蔑と差別を感じ取っている

港に軍艦が入港する。
蝶々は望遠鏡で見る
艦名はアブラモ・リンカーン!

みんな間違ってたのよ
私だけが正しかったのよ。
あの人は帰ってくるわ

花の二重唱:
Scuoti quella fronda di ciliegio e m'innonda di fior

喜びにむせびながら花を部屋の中にまき散らす

化粧しようとして蝶々さんは手鏡を落としてしまう。

もう昔の私じゃないわ…

子どもにも化粧をして帰りを待つ

蝶々さんは婚礼の時に着た、金色の蝶が刺繍された色打掛を羽織る。

蝶々さんはふすまに穴を開けようと?
小刀を振る?腕を振る?のだがこれが音楽にぴったり合っている
他の箇所でもあったのだがスズキが障子を閉めるのも音楽にぴったり合わせている
さすがPucciniさんすべての動作が音になっているのです。

幕が閉まり
すばらしい第3幕への間奏曲

第3幕

一晩中まんじりともせず待っていた蝶々さん。

「もうお休みくださいませ」と言うスズキの言葉に振り返る

蝶々さんは泣き笑いの表情を貼り付けて奥に引っ込む

奥で子守唄を歌っている

スズキはつぶやく

可哀そうな蝶々さん…

シャープレスとピンカートン、ケイトがやってくる。

シャープレスの顔には決意がある。どうしても穏便に子供を引き取らせてもらわねば。そのために渋るピンカートンを説得して連れてきたのだ。お邪魔虫のケイトまで来てしまったのは失敗だったが…

トントン

静かに!

庭にいるアメリカの女性に狼狽するスズキ。

誰?

ピンカートンの奥さんだよ。

蝶々さんの夢はもう消えました!

嘆く

お前に頼みがあるスズキ

何をできるって言うんです

奥様にお願いしてくれ
子どもを引き取らせてくれと

一方ピンカートンはまったく変わらない家の様子に驚きつつ懐かしんでいる。

***

シャープレスは蝶々さんの紙入れ(財布?)を椅子の横の小さな台に載せる

***
僕は君に警告したろ
彼女は真剣だと
言ったのに

シャープレス:
Sorda ai consigli,
sorda ai dubbi, vilipesa
nell'ostinata attesa
raccolse il cor.

すばらしい三重唱

僕はもうここにいられないよ
もう耐えられないんだ

Andate

行くがいい。
シャープレスはピンカートンの後姿をにらみつけて激しい言葉を初めてかける。

シャープレスはついにピンカートンを卑怯者として軽蔑して切り捨てたのだ。

ピンカートン:
Addio fiorito asil

ah! son vil!

ピンカートンは走って出ていくが障子の向こうで立ち止まる。そして取り乱していると思われないよう取ってつけた威厳でゆっくり歩いていく。

ケイトとスズキが戻ってくる。

ケイトが念押しする。

そこに蝶々が目を覚ましてやってくる。

どこ?
どこなの?

物狂おしく見まわすがシャープレスを認めると行儀よく一礼する

領事様…

すると庭にケイトが出てくる。
もう隠しきれない。

蝶々さんは何かお言おうとするシャープレスを無視してスズキに問う

あの人は生きてるの?

はい。

でももう戻っていらっしゃらない。
そうなのね?

スズキはこたえない

蝶々さんは振り向いてシャープレスに向かって両掌を上に向けて差し出すようにして問いかける。

シャープレスは目をそらす

蝶々さんは振り向いて同じようにスズキに手を差し出すがスズキはなおも沈黙

ええ、忌々しい!
答えるのよ

蝶々さんはスズキをどついて押し倒す

倒れながら

(涙)はい。

あの人が怖いわ…

許してやってください。
あの人に罪はないんだ

全てを悟る蝶々さん。

あの人の奥様…
全ては終わったわ

シャープレス:
Coraggio
気を確かに持って!

(アメリカで暮らしたほうが)子どものためなんです。犠牲になってください。

ケイトは座敷に上がってくるとシャープレスに自分の日傘を持たせて言う。

ケイト
私を赦してくれますか?

蝶々:
あなたは世界一幸せな女性よ。

ケイト:
(シャープレスに)哀れな女性ね。

ケイトはシャープレスと腕を組もうとするがシャープレスは断る。シャープレスは蝶々さんを内心見下している(Respectがない)ケイトも許していないのだ。

ケイト:
それで息子さんをいただけるのかしら?

蝶々:
子どもは渡します。
でも条件があります
あの人が半時後にここに迎えに来てください

シャープレスはケイトに日傘を返す
二人は出ていく。

緊張が途切れ
蝶々さんが倒れてあえぐ

まぶしいわ

スズキは障子を閉める。音楽に合わせて。

蝶々さんはスズキに紙入れ(財布?)もしくは聖書?を渡す

スズキはお暇をいただいたのだ
同時に すべての後始末 を頼んだのだ。
それを悟る
スズキは出ていく
スズキは蝶々さんが武士の娘として切腹することを悟った

蝶々さんは小鳥のかごに覆いをする(夕方になったらそうする)

蝶々さんは首にかけていたクロス、十字架のネックレスを外す
そして叩きつけようとするがやめる。
蝶々さんは自殺はキリスト教の教えに反することを知っている
蝶々さんは武士の娘に戻ったのだ。

小刀を袋から取り出すと
子どもの声が

無邪気に走ってくる
子どもを抱きしめる


piccolo Iddio!


蝶々が自死するのは、大人になった息子が母親に捨てられたと思うことがないよう、自分の存在そのものを消すためだ。しかしもちろん根底には「恥の文化」がある。武士の娘は恥をそそぐには死ぬしかないのだ。

スズキは蝶々に深くお辞儀する
そして子供が走っていくのを追うが
立ち止まって蝶々さんを振り返る

そして…

ピンカートンの声が聴こえる

Butterfly----

全幕了。





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最終更新日  2022年09月11日 12時00分59秒


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