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2009年02月02日

泣いたブチャイク

(32)

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ちょいと都心から離れた場所に
今時のイケメンとはほど遠い男が住んでおりました。

歯に衣着せねば、ブチャイクと言っていい男でした。

けれど
彼女は欲しい。

「ハーイ。カノジョーッ。僕とお茶しない？」
なんて
古典的なナンパをするのですが、
だれも相手にはしてくれません。

そこへ
幼なじみのイケメンの友達がたずねてきました。

「そうか。彼女が欲しいんか。」
よし俺がなんとかしてやろう。

しかし、いくらイケメンの友達が頑張っても
ブチャイクな男の彼女になろうとする女の子はいません。
途方に暮れた
イケメン君はあるアイデアを考えました。

そして
しばらくたって、ブチャイク君は
きれいなお姉さんと知り合いました。

あまりにとんとん拍子だったので
自分の魅力だとは思えず。

「ああ、きっとイケメン君が僕のために何かしてくれたんだ。」
と考えました。

そして、
イケメン君の家に行くと
こんな貼り紙がしてありました。

「ブチャイクくん、彼女と仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、彼女が僕を好きになってしまうかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。どこまでも君の友達、イケメン。」

ブチャイク君は、だまって、それを読みました。二度も三度も読みました。戸に手をかけて顔を押し付け、しくしくと、なみだを流して泣きました。

完

ということで、
明日は節分。
給食にはなぜか
今日、節分の豆と鰯が付きました。

そして
思いついたのが
上の物語です。

えっ？？
関係ないって？？

トンでもございません。

この物語は
私が幼少の砌に
紙芝居で見て、オイオイ泣いたお話です。

はい。
お気づきの方もあると思いますが、
原作のタイトルは
「泣いた赤鬼」
御存じですよね。

節分と言えば鬼
鬼の話と言えば
泣いた赤鬼です。

ご存じない方は
○○○以下を読みましょう。

ご存じの方は跳ばしましょう。

○○○
泣いた赤鬼
山の中に、一人の赤鬼が住んでいました。赤鬼は、人間たちとも仲良くしたいと考えて、自分の家の前に、「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。」
と書いた、立て札を立てました。
（中略）

青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば、人間たちにも、赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう、と言うのでした。しかし、それでは青鬼にすまない、としぶる赤鬼を、青鬼は、無理やり引っ張って、村へ出かけて行きました。
（中略）

ある日、赤鬼は、青鬼の家を訪ねてみました。青鬼の家は、戸が、かたく、しまっていました。ふと、気がつくと、戸のわきには、貼り紙がしてありました。そして、それに、何か、字が書かれていました。

「赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。どこまでも君の友達、青鬼。」
（またまた略）

○○○○

なかなか性格が曲がっていた私。
しかし
この話はたぶん私が人生で、最初に泣いたお話です。

泣いた他界のお話でした。

そして最後に

○続　泣いたブチャイク

二人で幸せに暮らしていたブチャイクくん。
ある日。彼女が言います。
「私、あなたの子供が産めないの。」
それを聞いたブチャイク君。
「なんでだよ。僕がブチャイクだからか？子供がこんな顔になるといやだからか？」
「そんなことないわ。私はあなたのことが全部好き。顔だって大好きよ。」

「そんなこと言ったって・・。」
ブチャイク君は、思い出していました。彼女はけっして自分が気に入ってつき合ってくれたわけではない。
イケメン君がきっと自分の知らないところで、努力してくれたんだと・・。
「君は、イケメン君に頼まれて、僕とつき合ったんだろ？」

ずっと言うまいと思っていた言葉をついに
言ってしまいました。

「違うわ。私はブチャイクさんが好き。ずっと好きだった。子どもの頃から。」
彼女の目から大粒の涙が流れてきました。
少し化粧が落ちた彼女の横顔を見ていたブチャイク君はあることに気が付きました。

「きっ、君は・・・・。・・・・。イケメン君？」
「・・・。そう。いつかばれるとは思っていたけど、私、イケメンなの？あなたのことが好きで、女になったのよ。」

それを聞いたブチャイク君も大粒の涙を流して
彼女を強く強く抱きしめましたとさ。
法要ではなく包容みたいな抱擁