自分探しの旅 

自分探しの旅 

September 14, 2006
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ごんげん松~10

そんで、ごんげん松の前で、帰ってこんかった友だちの事や、子供の頃の辛かった事や、あの頃のかあさんの思いが溢れて

きて、とめどもなく涙があふれてきたんじゃ。

なんじゃかのう、心の中のゴミがぜんぶあふれ出て来て、生まれ変わったみたいじゃった。そしたら、かあさんはわし以上

に辛かったんじゃなかろうかちゅう思いが湧いてきたんじゃ。そんで、かあさんのとこへとんでいったんじゃ。今までこの

足の事で、ずっとずっと責めていたっちゅうことをあやまりにな。

そんで、かあさんに言ったんじゃ。

“かあさん、わしはずっと一人ぼっちで生きとるって思うとったけど、かあさんがいつもいつも見守ってくれとった事に、

やっと気づいたんじゃ”



をだきしめてくれたんじゃ。

かあさんもわしも、ぼろぼろ、ぼろぼろないた、きがすむまでな。

ええか、ハゲであろうが、足が曲がっておろうが、やくたたずと言われようが、他人がかってにいいよるだけじゃ。

人間と言う者は時として、いいかげんなもんなんじゃ。 

見た目だけでその人の事をわかったふうにいいよる事が有る。

そんなもん、どうでもええことじゃ。

ええかしょう吉、自分を大切にするっちゅ事は、自分に素直になるっちゅうことじゃ」

そう言うとおじいさんは、しょう吉のハゲあたまを まじまじと見て、“しかしりっぱなハゲじゃのう”って言って大笑いし始

めたのです。

そしたらしょう吉もこらえきれなくなり。

“プッ”って、ふきだしてしまったのです



“は・は・は・は・はっはっはっは- わっはっはっは-”

そして、ふたりの笑い声は、空の彼方へとすいこまれて行ったのでした。

そのとき、しょう吉は思いました。

おじいちゃんの足は今でもまがっていて、ずっとずっと辛い思いをしてきたんだ。

だけど、僕のこの頭は先生がいってたけど、あと少しでよくなるらしい。



そしてしょう吉は、空を見上げながら心の中で叫びました。

「おかあさん、ごめんなさい!」

今までちじこまっていたしょう吉の体が、あの頃のりっぱなごんげん松の様に、どうどうと天に向かって胸をはっていまし
た。

そして、心にちかったのです。

「おかあさんが帰って来たら、素直に何でも話そう」って。

その時ちょうど、空に浮かんでいる大きな雲の隙間から、おひさまの日ざしが、しょう吉に降り注いできました。

しょう吉を優しいつぶらな瞳でみていたおじいちゃんは、そのまぶしさに、しわしわの顔が、もっとしわしわになって、目

がしょぼしょぼになって、微笑んでいたのでした。

そして、しょう吉はおじいちゃんの方に振り返って、思いっきりの笑顔で言いました。

「おじいちゃん、ぼく明日から帽子なんかかぶらないで、みんなのとこへ遊びに行くよ」

するとおじいちゃんは、大きくひとつうなずきました。

自信を取り戻したしょう吉の瞳は、夕暮れ時の、あのあかとんぼの羽のように、キラキラとかがやいていたのでした。


おわり





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Last updated  September 14, 2006 09:27:55 PM
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