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掲示板のはるぎぃさんの書き込みに触発されて、今日はこの話題を。

皆さん、お買い求めになりましたか?「バカの壁」。
そして、最後までお読みになりましたか?「バカの壁」。
私、実はまだ途中です。
本のつもりで読みはじめたら、そうではなくて、まるで養老先生が暖炉の前でお話しされているのを聞くような雰囲気。話題があっちへ飛び、こっちへ飛ぶ。

「これは私の話を、新潮社の編集部の人たちが文章化してくれた本です。対談や講演を文章化するのは、よくやることです。でも独白を続けて、それを文章にしてもらったのは、じつはこれがはじめてです。(中略)それを他人に文章化してもらうと、こうなるのか、とあらためて思いました。自分の文章ともいえるし、他人の文章のようでもある。これが奇妙な効果を生じているように感じます。いってみれば、この本は私にとって一種の実験なのです。」
(「バカの壁」まえがき より抜粋)

話し言葉の文章化。これは、反訳を生業としているものとしては、一度触れないわけにはいきません。
ところが、平易な話し言葉で書かれているはずのこの本が、すうっと読めなかったのは、なぜでしょう。私の「バカの壁」があまりに厚く立ちはだかっていたから?

しかし、これは「実験」です。テーマは一応あるものの、養老先生の頭の回路は、あっちこっちに飛んでいきます。飛んでいくままに口にされます。それが活字になっていきます。桃太郎のおじいさんおばあさんが頭に浮かんだその次にプラトンが出てきます。ケニアの話の次にモーツァルトが登場します。養老先生と一緒に暖炉の前に座っていれば、その場の空気でつかめるかもしれないイメージの飛躍が活字からではつかめない。
先生の頭の中ではつながっていて、脈拍のようにピョンと飛び出した部分だけが言葉になっている印象を受けます。
それが私はとてももどかしかったのですが、皆さんは、どうかな。

飛び出す部分は様々だから、読んだ人によって面白いと感じるところが違ってくる。通読して「面白かった!」という感じ方とは全然違う。これでは中谷彰宏の本と切り口としてはあまり変わらない。「どこかでなるほどと思わせればよい」という。
加えて「です・ます」調と「である」調の混在。これは小学生の作文だったら、先生に直されてしまう。「文体は統一しましょう」。これも一種の実験なのでしょうか。
ただ、自分自身、日記を書いていても混在します。ですから、これはメールやパソコンでつくる文章の特徴かもしれません。それが書物になって活字になると、まだ、あんなに違和感があるのですね。

皆さんは、どう思われましたか?『バカの壁』。

「バカの壁」がつくられる過程について、編集者にインタビューした記事がこちらにあります。

http://media.excite.co.jp/book/news/topics/056/

そして、「バカの壁」を含む話し言葉での書物についてまとめた文章がこちらにあります。

http://www.yomiuri.co.jp/bookstand/news/20031003_01.htm

私自身、もう少しいろいろ知りたい。この本ができあがるまでのいろいろな経緯。10時間ほどのインタビュー、全部編集の方が反訳なさったのか、外注に出したのか、どういう点が面白く、どういう点がご苦労だったか、反訳の過程で話し言葉と書き言葉の間で悩めることはなかったのか。・・・内容自体に触れないで、どうもすみません。仕事柄、そういうことが気になります。

この「バカの壁」の実験は、商業的には大成功だったでしょう。

そして、この実験が、文体として成功し、受け入れられていくのか、とても楽しみでもあります。

話し言葉を文章化するなら、反訳の需要は増えるんじゃないかなと、ちょっと期待もあります。反面、昔の文語体の文章が消えていったように、今の書き言葉も大きく変化していくのではないかと心配でもあります。もう口にされない、けれども書き言葉では残っている美しい言葉はたくさんあります。

もう少し、この本をきっかけとして、話し言葉と書き言葉について掘り下げてみたかったのだけど、1日に書く分量としては私には限界。

今日はこの辺で。







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Last updated  2003年12月22日 11時14分19秒
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