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2013.08.06
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清須会議

清須会議 三谷幸喜






さすがは官兵衛である。オレが試しているのを見抜いたから言うのではない。なぜなら、オレは試してなどいないからだ。オレは本気で聞いたのだ。並みの軍師なら、ここですぐさま自分の考えを述べるところだが、官兵衛は違う。決して己の知恵をひけらかすことをしない。それどころか「殿もお人が悪い」などと、オレを持ち上げてみせた。知恵が回り過ぎる軍師は、却って主人に恐れを抱かせるもの。恐れはやがて不信感となることを官兵衛は知っている。それをオレはさすがだと思ったのだ。

時代劇や時代小説というのは、いかに「当時のムードをクラッシック言語で作り上げるか」に力を注ぐというのが常道。ところが、本作では、真逆の方法で、戦国ピープルの外見から性格から、腹の底まで描いてみせる。これは時代小説史上の「事件」といってもいいでしょう。

目の付け所という意味では、そもそも「清須会議」という小説の舞台も独特です。戦国時代は、山や谷で海上で、アウトドアに目を向ければ、派手な戦があちこちで続いているというのに、あえて甲冑なし刀なしのインドア指向。しかし、会議の中で、圧倒的に有利だと思われていた柴田・信孝路線が、羽柴秀吉によってドラマチックに突き崩されていく。思えば、日本史上初めて戦ではなく会議で後継が決められたといわれる「清須会議」は、戦国史上、もっとも演劇的な場面といえるのかもしれません。作家の目は、その瞬間を見逃さなかった。





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最終更新日  2013.08.06 20:45:30
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