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2020.03.19
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元来が医療というものは、人が人の命を左右するという無茶な使命を負わされている。かかる乱暴な礎石の上に、理不尽と不条理と矛盾の三本柱を立て、権威という大きな屋根をかけたのが大学病院だ。もとより基礎も柱もゆがんでいるのに、屋根だけは格別巨大であるから、様々なところにひずみが生じて、まことにいびつな建造物と化しているのである。

「世の中は難しいことが多い。だがだからといって、君が難しくなっていいわけではない。どんな理由を述べたところで、噓と卑怯と小細工は恥ずかしいことだ。君の好きな将棋もフェアプレイが基本ではないか」 

難病と闘いながらも比較的マイペースに過ごしている岡さんが、今日は確かに顔色が悪い。貧血のせいもあるが、なにより明らかな不安が見える。 

 こういうとき、必要なのは理屈ではない。 

 急がぬこと、慌てぬこと、そして少しだけはったりを利かすこと。

「あんまり自分を責めるもんじゃないさ。ひとりの医者が何もかも全部知っているんなら、大学医局もカンファレンスも必要ない。世の中には、珍しい病気、わからない病気ってのが山ほどある。そういうややこしい疾患を、それぞれの分野のオタクみたいに詳しいドクターたちが頭を突き合わせて答えを出していくのが大学って場所だ。その意味じゃ、大学も、ちゃんと仕事をしているってことだよ」 

 要するに、

 〝まだまだ未熟〟 

複雑怪奇な医療現場の中で、ガイドラインが必要であることは間違いない。ルールや規則も、それがなければよりいっそうの混乱をきたすことは疑いない。けれどもそれらはあくまで道具である。ただの道具が、いつのまにやら我が物顔で病院中を闊歩している。積み上げた道具があまりに多すぎて、道具の向こう側が見えなくなっているのではなかろうか。






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最終更新日  2020.03.19 22:57:19
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