実コストが算出 されなかったのも同じことだ。
だから放っておけ。
都市計画の世界では、当 初予算はただの頭金に過ぎない。
実際のコストを最初から市民に知らせでもしたら、
何も 永久に承認されないだろう。
彼らの望みはただ1つ、プロジェクトを始動させる ことだった。
「なぜ見積もりはつねに低めなのかと、彼らに聞いたことがある。ただこう言っていたよ、
「本当の見積もりを出したら、何も建てられやしない」と」
「フィージビリティ・スタディ (実現可能性調査)」は、
公正な分析というよりは、プロジェクトの実行会社に都合のよい、
隠れみののような役割を果たしているという。
「自分は違う」「今回は違う」と思ってしまう
第一に、RCF法がバイアスを排除することを、メリットではなくデメリットとみなす組織や人が多いからだ。
プロジェクトに承認や資金を与える側に、コストや工期の実態を知らせたくないという思惑があるから、
(たとえば最近よくあるように、予測を歪曲したことの法的責任を問われるなどして)
修正を余儀なくされるまでは、当初の予測を押し通そうとする。
第二の理由は、強力な独自性バイアスを克服するのが難しいからだ。
「今回は違う」は、独自性バイアスの決まり文句である。
バイアスにとらわれやすいのも無理はない。この罠を避けるために、 怠らないようにしなくてはならない。
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