鍋・フライパンあれこれ美味
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コヤシダマー!ウテー!モンスターハンター系攻略所 相変わらずオフ専だけどな!!
何かをするために・a
その森は平坦な大地に何処までも続いているかと思えるほどの広大さ。
多種類の木が鬱蒼と、混然とした森だった。
道が一本あった。
森を分けるようにまっすぐと繋がっている。
その道の脇―森に―一軒の家があった。
その家の窓の一つが勢い良く開いた。
次々と窓が開けられ、中から出た手がつっかえ棒をさしていく。
最後に玄関が開き、少女が一人でてきた。
十代前半と思われる少女で、やや背は高く、漆黒の髪は肩より長く
後ろで一つにまとめている。
少女は一枚のシーツを脇に抱えていた。
それを玄関脇のテラスに掛かっている紐にかけて、木製の洗濯バサミで
挟みで止める。
干されたシーツが風で揺れた。
それから少女は大きく伸び、森の間に見える青空を見上げる。
枝葉の間に見える空は雲一つ見えない、どもまでも澄んでいた。
「うん。今日はいい天気」
少女は笑顔でそういった。
少女は家に戻り、今度は一台のバイク(飛ばない物だけを指す)
を押して、出てきた。
バイクの後輪の上はキャリアになっていて、両脇には黒い箱がつけられていた。
テラスに出てきた少女は一息つき、
「起きろー!!朝だよー!」
と、バイクのシートをばふばふと叩いた。
「あぁ…はい。うん。朝ね」
バイクが言った。
少女が気付き、叩くのを止める。
「もうちょっと丁寧に起こしてくれないかな。そろそろ――」
「いい天気だよ!」
「聞いてる?」
「うん。聞いてるよ。だって呼んでも全然起きないじゃない」
少女は楽しそうに
「おはよう、エルメス」
「おはよう、キノ」
バイクと挨拶を交わした。
キノと呼ばれた少女は玄関へ顔を向け、
「おはようございます。ししょう」
「おはようございます。いい天気ですね」
笑顔で師匠と呼ばれた老婆と挨拶を交わした。
華奢だが背筋の伸びた体に、銀色の長い髪を垂らしている。
白いシャツの上にカーディガンを羽織っているが、腰に巻いたベルト
に皮製のポーチがついていた。
しかし、それはポーチではなく、カバー付のガンホルスターだった。
右手で抜けるように収まっているのは小型だが大口径の
グリップがむき出しになっているリヴォルヴァータイプの拳銃だった。
シーツを干した老婆が少女に聞く。
「晴れた場合の今日の予定はなんでした?」
「森の木を一本切り倒すこと。火薬屋さんが来るので準備しておくこと。
後はないです」
少女が答えて老婆が頷いた。
「そうでしたね。ではあなたの射撃練習をしてから木を切りましょう」
少女が分かりました。と頷いてたずねる。
「朝ごはん、また作りましょうか?」
その質問に老婆は引きつった笑顔で
「いいえ。私がやりますよ。楽しみの一つですからね」
「ししょうって本当にお料理が好きなんですね!」
少女が楽しそうに言った。
玄関のテラスに先ほどまではなかった長机が置いてあった。
その上には黒光りする大口径のリヴォルヴァーで細身だがバレルは長い。
その脇に弾丸を入れた箱や、緑色の液体火薬を入れたビン、その他の
小物等が無造作に置いてある。
道の反対側の日本の木に糸が渡され、その中央付近にフライパンが
ぶら下がっている。
テーブルの前に少女がリヴォルヴァーろ手に取る。
若干重そうに、しかし、しっかりと持ちながら横を覗き弾が入っていない
事を確認する。
その後、ハンマーを上げて、引き金を引き、動作の確認をする。
「弾を込めます」
少女が言った。
「どうぞ」
老婆が後ろから返事をする。
少女は右手の親指でハンマーを半分上げ、シリンダーを回し液体火薬
を注射器の様なもので少しずつ入れていく。
六発いれ終わり、次にフェルトのパッチを詰めて、続いて四十四口径
の弾丸を入れる。
バレル下にあるレバーが下に折れて、連動するロッドが弾丸を奥へ押し込める。
次にグリースを指で取り、穴に蓋をする様に塗る。
指を拭いた後、小さな雷管をシリンダーの背、ハンマーが叩く部分へ
一つずつはめた。
この火が火薬に引火し、弾丸を撃ち出す。
少女が銃を机に置き
「撃っていいですか?」
と振り向かずに聞いた。
どうぞ。と返答が来た後、両手で持ち上げ、フライパンに狙いをつける。
右手の人差し指はしっかり伸ばし、左手を右手に巻くように添えて、
両腕を伸ばす。
右手をまっすぐ、左手を少し曲げ、右足を少し引き、斜めにする。
ハンマーを親指で上げきり、人差し指が引き金の前へ
ずどん。
重く鈍い音が回りの枝葉を振るわせる。
同時に少女の腕が上へ跳ね上がり、火花が散る。
フライパンは右回りし、その回転が打ち消された。
今度は中央に当たり、フライパンを後ろへと跳ね上げる。
ブランコのように戻ってきて四発めがその動きを止めた。
五発目がまた後ろへ押し、今度は後ろへ行く途中に弾が当たって
三百六十度回転。
一回転してしまったフライパンを元に戻そうと、少女が跳んで押し上げては
戻ってきて、また同じ事を繰り返す。
「むー」
少女はしかめっ面でフライパンを見上げ、もう一度押し上げて。
また、戻ってきた。
「畑と森の間に伸びてる一本の大きい木があるでしょう?
今日はあれを切りましょう」
「ノコギリで二人で押したり引いたりですか?
それとも斧できこりさんですか?」
老婆は軽く首を振って答えた。
「いいえ、あれだけ太くなるとそうはいきませんよ。
倒れる方向も考えなければならないですしね。
普通は電動ノコギリを使います」
「それ、あるんですか?」
「いいえ。ありません」
ぶううううううううううううううううううううう
森の中に破裂音がとどろいた。
それは銃の発砲音だったが、余りに早く撃ち出しているので一つの長い音
に聞こえる。
まっすぐ伸びる木の、根元の部分から木屑が舞い始めた。
端からじりじりと抉られていく。
ぶうう、ぶうううううううううううううううううう
少し止まって、今度は反対側から同じように抉られていく。
テラスの前には三脚が一つ立っていて、その上に全自動連射式の
長銃が乗っかっている。
ぶうううう!ぶぶ!
最後の音が止むのと殆ど同時に木が傾いだ。
残っていた幹が少しずつゆがみ、やがて葉を撒き散らしながら倒れた。
「ししょう。あの木はどうするんですか?」
「あの木はあのまま乾燥させて後で使いましょう。
だからあの木はもう撃ってはいけませんよ」
「キノ。―キノ?」
玄関から老婆が呼びかけた。
しかし、少女は空を見上げ続けていた。
「呼ばれてるよ」
エルメスが、やや大きめの声を出した。
少女が驚いて視線を下げた。
「え?…私?」
「えぇ、そうですよ。キノ」
目の前に来た老婆が優しく言った。
「あ、えっと、そうですよね…。まだなんだか自分じゃない感じがして…。
呼ばれても自分じゃないと思っちゃうんです」
どこか恥ずかしそうに、そして切なそうに笑いながら
「それで"キノ"の事を…考えて…いて…」
「そのうちになれるでしょう。私はキノって名前は好きですよ。
今の私にとってはあなたがキノですよ。―あなたがキノ」
「私はキノ…。でも、私はキノよりボクはキノの方がいいと思うんです。
最初そう聞いたからかもしれませんが、そのほうがさっぱり来ると思うんです」
エルメスが、二人の脇から聞く。
「"しっくり"くる?」
「そうそれ!」
キノが即答した。
「それも慣れるまで待ちましょう。あの木を待つのと同じです」
「ところで、"ししょう"って不思議な響きですね。
とっても珍しいと思ってたんです。それとも外国では普通なんですか?」
「……」
「……」
老婆とエルメスが黙って、二人と一台の間に涼しい風が吹いた。
老婆は手にしたタオルをたたみながら。
「キノ……。ちょっとテーブルに座って、色々教える事にしましょう」
「はい?―はい!」
そして二人は家の中に消えた。
少しごにょごにょと話が聞こえて
「えーー!」
少女の驚いた声がハッキリ届く。
「"ししょう"って名前じゃなかったんですか?!」
太陽が西に傾いた頃
「おきろーー!」
テラスの上で熟睡中のエルメスをばふばふとキノが叩いた。
「はいはい、朝ね」
「違うよ。火薬屋さんが来るからそこはどいてもらうんだよ」
「キノ。来ましたよ」
「あ、はい。ほら、行くよ」
商売が終わった後
「さて、暗くならないうちに。ありがとうございました」
男がそういって、老婆と少女が見送りに出る。
男が立ち止まった。視線の先には丁寧に茶色いロングコートが
つるされている。
「あ、これ。先日全く同じものを来た人を見かけましたよ。
どこかで見たと思ったんです」
「どこですか!」
突如、少女が大声で叫んだ。
「うわっ!」
「どこですか!それ、どこなんですか!」
男は、老婆と少女を交互に見る。
「……」
老婆は何も言わない。
少女は男に食らいつくように叫んだ
「教えてください!それどこですか!」
「それで、その国に行くの?」
エルメスが聞いた。そしてすぐに
「まぁ行くからこんな事してるんだろうけど」
少女はテラスの上でエルメスの燃料タンクに燃料を入れていた。
「もういい!やめて!」
エルメスが大声を出して
「…っ!」
少女はあわてて燃料缶を戻した。
ぎりぎりまで入ったエルメスの燃料タンクのキャップを閉めて
「行くよ」
「キノ」
と、老婆が少女に声を掛けた。
「ならば、私は手助けをしましょう。きなさい」
家に入り、
「これを持って行きなさい。必要になる可能性があります。
…使わないほうが良いですがね」
翌日の朝
「いってきます…師匠」
森の中の真っ直ぐな道を一台のバイクが走る。
「ちょっと、スピード出しすぎ」
エルメスが言って
「そう?」
運転中の少女が短く答える。
「あせらなくても日没前にはつけるって」
「うん。でも…」
「はぁ、ところで、その国に言ってどうするのさ?
肝心のそこをまだ聞いてなかった」
「…キノを知ってる人…家族とかにあって。謝る」
第二回更新終了。
ここで前編終了と成ります。
ここからは
新・キノが旧・キノの故郷の国に入って…
と言う話。
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