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2008.02.20
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カテゴリ: 医療
 治療の選択について、単純なモデルを考えてみよう。ある重大な病態で、選択可能な治療法が二つあるとする。危険性はどちらも同じで、5%の確率で死亡する恐れがあるが、片方の方がずっと苦痛が少ないものとする。苦痛の少ない方をA、苦痛の多い方をBとしよう。

 患者Cが、放置すれば死亡する病態となり、AかBを選択することになった。重症度を無視すれば、治療前の段階で、Cの死亡する確率はどちらの治療を受けるにしても5%である。通常苦痛の少ないAを選ぶだろう。

 Aを選択した結果、不幸にも亡くなってしまった。結果が出てからであれば、Aを選択した結果の死亡率は100%である。もしBを選択していたら、重症度は無視するのであるから、死亡する確率は5%のままだ。100%と5%の死亡率を考えたら、5%の死亡率の方を選択するに決まっている。これを 結果論 または後出し ジャンケン という。

手術後死亡の遺族と和解 解決金200万円 大津市民病院



 大津市民病院(大津市本宮)は18日、狭心症の手術をした後に亡くなった女性患者(当時78歳)の遺族から損害賠償請求訴訟を起こされ、200万円の解決金を払って和解すると発表した。関連議案を2月議会に提案する。

 市や同病院によると、この患者は03年5月23日に手術を受けたが、循環器内科の医師は事前に、血管を風船と合金製の器具で広げる手術と血管バイパス手術の2種類を家族に説明。結局、前者の手術をしたが、血管が破れ、女性は3日後に死亡した。遺族の長男と長女が04年4月、医療ミスがあったとして総額5200万円の損害賠償訴訟を大阪地裁に起こしたが、地裁は「病院側に対応ミスは無かった」との判決を下した。遺族の控訴を受け、大阪高裁は「もう一つの手術の可能性について、より詳しく説明する余地があった」と病院の一部責任を認め、和解を勧告していた。【鈴木健太郎】

 危険性については架空の数字だが、侵襲度は明らかに「血管を風船と合金製の器具で広げる手術」(A)の方が、「血管バイパス手術」(B)よりも低い。どちらでも良い症例であれば、 通常Aを選ぶ 。前述のモデルでは、Aで死亡した症例でもBの死亡率は同じとしたが、実際には、Aで死亡するような症例では、心臓の血管(冠動脈)が脆くなっていると考えられ、Bでも死亡率は高くなる。

 この事例では、侵襲の少ない治療を選択し、ミスはなかったが結果として患者は亡くなった。亡くなってから、もう一つの治療を選択したら良かったのではないかと 裁判官 が言いだした。敗訴でないだけマシだけど、こんな理屈がまかり通る世の中で、 国際的に見たら極めて安価 統制価格 で、この先も医療をやっていけるのだろうか。





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Last updated  2008.02.20 06:29:08
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