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Feb 9, 2005
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世界は実はシンプルで美しい。均衡美にこそ西洋的美学の根元にあるとすれば、伝統的な日本の美意識に「不均衡の美」というものがある点は興味深い。

「不均衡の美」として良く挙げられる例には、生け花や焼き物がある。茶の湯でも語られる。日本庭園もそうだろう。左右対称にあらず、しかも形が崩れかけていても、何故か全体としての均衡が取れている。わざと音程を微妙にはずして余情を残す歌い方や笛の吹き方も同じかも知れない。それが「不均衡の美」だ。「不均衡の均衡」とも言える。

日本の美意識になぜ「不均衡の美」があるのだろうか。不均衡で均衡させるためには、よほどの平衡感覚がないといけない。ほんのかすかなずれで均衡は崩れる。そこには日本人が古来から抱いてきた美意識のルーツとして、儚さ、移ろい、無常を見いだすことができる。

13年前にヨーロッパから久しぶりに日本に戻った。生活に必要なものを買いに秋葉原のとあるお店に入った。そこに見慣れない電化製品があるではないか。新種のラジオか。何気なく押した箇所がボタンで、突然蓋が開き、初めてそれが電気炊飯器だと分かった。

振り返れば笑い話であるが、帰国当時は電気炊飯器と言えば、昔むかしのガス炊飯器の形とその後販売された象印ジャーの形しか知らなかったのだ。全部が丸みを帯びている電気炊飯器兼ジャーなど、思いもよらなかった代物だ。

電化製品の多くは昔むかしの形状からデフォルメされ、おしなべて丸みを帯びている。しかし、変わらないことがある。均衡美だ。一部の例外を除けば電化製品はみな「均衡の均衡美」を持っている。それがモダンな電化製品の証であるかのように。

そこで考えた。日本の伝統美をエレクトロニクス製品にもっと生かせないだろうか。モダンなステレオ・コンポやパソコンのプリンタが「不均衡の美」を見せたらどんなに日本的だろう。モダンな遊びとしてではなく、純粋な機能美を追求するというのでもなくで。

「不均衡の美」は決して古くさいものではないと思う。






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最終更新日  Feb 11, 2005 02:57:50 PM
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