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オキナワの中年
又吉栄喜「海の微まど睡ろみ」
新報文芸/大野隆之/又吉栄喜「海の微まど睡ろみ」/島の女の異様な魅力/深層にある沖縄の論理
芥川受賞後の又吉栄喜の作品は、基本的に近代的な教育を受けた沖縄青年と、伝統的な共同体との葛藤(かっとう)・和解を軸に展開してきた。その縦糸に強い生命力をもった女性、もしくは母性的な存在がからんでいく。女性は多くの場合共同体の力が人格化したような存在であり、ひとたび共同体の論理から離れた青年をもう一度共同体へ回帰させる重要な機能を持っている。しかし本来そこに出自を持つ沖縄青年達だからこそ回帰しうるのであって、外部から訪れた男性であれば、どうなるのか。
書き下ろし作品として発表された『海の微睡み』(光文社)は、その問いに対する一つの答えであり、したがってここ数年の又吉作品とは大きく異なった構造を持つと言える。
作品では宮崎出身の「健太」というクレーンのオペレーターが、開発のために訪れた周辺離島で、「美華」という女性と出会う。健太は急速に彼女に引きつけられるのだが、同時に徐々にその背後にある了解不能な論理に直面することになる。美華の異様な魅力と、理解しがたい一面、その葛藤が作品の大部分をしめることになる。
実をいえばこのような設定は、日本近代文学においてはそう珍しいものではない。近代の論理が世界を覆い尽くす直前の明治期後半、このタイプの作品が多く書かれた時期がある。幸田露伴「対髑髏」、泉鏡花「高野聖」などをあげればよいだろうか。近代合理主義を身につけた「男性」が、「山」で、全く別な世界を生き、得体の知れない魅力をもった「女性」と出会う。本題からはずれるためこれ以上は述べないが、近代の論理が世界を覆い尽くしたかに見える大正以後も、男=近代合理主義、女=原初的世界といった対立を軸とした作品は想像以上に多く書かれているのである。そしてその背後には伝統的な「都」と「地方」の対立を前提とした多くの伝承がある。
しかしこういった構造についての分析には注意が必要であり、過去に数多く描かれたタイプの作品だからといって、その作品がありふれているというわけではない。同一の型を持ちながら、どれだけの固有性を持ち得たか、という点が重要なのである。
たとえば表現主体の問題。作家又吉栄喜はいうまでもなくウチナーンチュである。そして現在も沖縄に在住している。したがって、まず観念的に「ヤマト」の感性的立場に立ち、ついでそこから沖縄をとらえる、という二重化が行われているのだ。
また視点人物の「健太」がいわゆる大都市部のインテリではなく、地方都市出身のある種中途半端な存在であり、那覇の「垢抜けた女」にある種の劣等感を持っている点にも注意が必要である。作品中の「沖縄」は既に那覇と島とに二重化しているのであって、最初に美華が登場したとき「観光客」なのか「島の女」なのかよく解らない、という点はその意味で象徴的だと言えよう。美華は外見的には「垢抜けて」おり、一方では理解の困難な島の時空間を内側に持つという、両義的な存在なのだ。このように大枠自体は伝統的であっても、その中に複雑な対立をはらむのが『海の微睡み』の世界なのである。
作品前半では、健太は沖縄を対象化する役割を持っている。ジュース一本入手するのすら困難な島の状況に始まり、沖縄の人は「差別」の話をすぐする、決まって「沖縄戦」の話を始める、といった具合に、ステロタイプな沖縄が描かれる。やがて健太には理解不能な、より深層にある沖縄の論理が徐々に浮上していく。最終的には「美華の首から下は斑紋のあるハブだった」という夢のイメージに至るわけだが、そこまでの成り行きは絶妙だと言えよう。
しばしば指摘されていることだが、又吉文学の本質は会話の妙にある。会話する二人の背後には全く異なった世界観が存在しているのだが、それがすぐさま対立することはなく、ほんの小さな「ズレ」として表現される。わずかなズレの積み重ねが、結果として別の世界を成立させてしまうのだ。健太は健太なりに美華のスナックを観光客用に事業拡大させよう、といった具体的な構想を持っているのだが、気付かぬ内に美華の父、あるいは祖父の跡を継ぐ漁師として、「島から出ちゃいけないというのが条件」である漁協に入ることが必然となっていく。
この対立は、美華の不在のある夜に、全く想像も付かない展開で崩壊していくのだが、この急展開については、各読者の評価に任せたい。「序破急」という言葉があるように、それまでゆったりと展開していた物語が唐突に結末を迎えるというのは伝統的な型であり、また健太と美華の物語が事実上ハブの化身のイメージで飽和しているのは確かであるが、このような急展開が又吉文学になじむものであったのかどうか。
さらにそれまで美華一人によって体現されていた島の女のイメージが、涼子、そして副次的にユリエと分裂していく点も微妙である。涼子については作品冒頭から伏線が張られており、最終的な判断を主体的に行えないという健太の造形上、こうならざるを得なかった、という事かと思うが、美華の存在感があまりにも大きくなりすぎたため、他の女性の登場がすんなり納得しにくいのである。
以上のように評価の難しい部分を持つのは、ひとつはこの種の作品がこれまでそれ程多く書かれていないという点にあるように思う。確かにこれまでもヤマトヨメや、本土青年の沖縄体験をテーマとする作品は無いわけではなかった。しかしどちらかといえば孤立的、散発的であったという点は否めない。今後異文化接触が、沖縄文学の大きなテーマに成長するとするなら、『海の微睡み』という作品は、そのメルクマールとなる可能性を持つと言えるだろう。
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