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「グロソブの島」と言えば、香川県の小豆島である。これは、有名な話ではないだろうか。人口32,000人の島に、98年頃、島に唯一支店のある証券会社が売り込み始めたのが、そもそもの始まりだった。今や、島民の30人に一人がグロソブを保有し、投資総額はざっと100億円にのぼるという。 高齢者が年金の足しにと、その分配金を当てにしたのだったが、今朝の朝日新聞によれば、それが裏目にでて、20億円ほど目減りしているという。急激な円高が、その主因だ。あっ、「グロソブ」とは、5兆円を越える残高を誇る、国際投信投資顧問が運用する「グローバル・ソブリン・オープン」という投資信託の略称である。念のため。OECDに加盟する世界主要先進国から、原則として「A格以上」の高い信用力を持つソブリン債(各国政府や政府機関が発行する債券)に投資している。投資対象の安全性を重視する観点から、高格付けの15カ国の国債に分散投資をしてきた。しかし、いかに格付けが高くても、外国のものである以上、為替の影響を抜きに語れない。円高の今だから、外貨預金を始めるのがいいとか、為替で収益を狙う人もいるが、為替は水物である。プロにも為替は読めないと言われているのだが、レバレッジを利かせて、FXで収益を上げようとする人もいる。やること自体は、もちろん構わないが、突っ込み過ぎると大変だ。為替取引きは、元来、難しい取引である。グロソブは為替で収益を狙うものではないが、外債運用で得られる収益など、為替の変動ですぐに帳消しになってしまう。70歳を過ぎた高齢者に、その恐さがどこまで理解できていただろうか。急激な円高局面は、彼らにとって、大きな誤算であることに変わりはない。
2008年10月30日
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「コロちゃん」という食品会社が、岐阜県の恵那市にある。春日井からは、JR中央線で45分ぐらいのところだ。ここは「コロちゃんのコロッケ屋!」というわずか6平米の小さなお店で、1個50円の揚げたてのコロッケを1日20万個売り、直営を含めて650店舗を全国展開しているフランチャイズ本部だ。その売りは「昔食べた懐かしい味」である。その海外進出の記事が、昨日の朝日夕刊に紹介されていた。題して「ケニア コロッケの夢」である。社長の小竹守氏は、やせ細ったアフリカの子どもたちの映像がテレビで紹介され気にかけていたそうだ。また、「人間は命を支える必要最低限のカロリーを取れないと夢を見られなくなる」という医師の話をラジオで聞き、アフリカ進出を決心したという。コロッケで世の中に貢献したい、という思いからだ。2004年春、ケニアの首都ナイロビに開いた、小さな直営店がその第1号だ。当初は指導役の日本人社員を派遣したが、今では9人のスタッフが全員ケニア人。日本から冷凍コロッケを輸出し、現地で揚げて販売していた方法も、今や地元産のジャガイモを使って、現地調理に切り替えているという。まさに、ケニア人自らによる自立した形になりつつある。円換算で1個40円のコロッケは庶民の生活水準からは高めだが、1日平均400個が売れるようになり、1個30円程度まで値下げできる見込みもできたという。さらに年内にもウガンダ、タンザニア、エチオピアなだにも進出計画があるそうだ。ますます小竹社長の夢は、大きく広がっていくようである。お金を配るだけの海外支援より、こうして現地の人たちが「自立」していける支援こそ大事だ。実に素晴らしいと思う。コロッケという日本発のファーストフードができたのだから、きっと、やきとりなど他のファーストフードでも出来そうではないか。もちろん、経営者の強い信念が必要だろう。是非、本来の企業価値である「社会貢献」という理念をもった経営者に続いてもらいたいと思う。
2007年03月14日
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