トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2007/05/20
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テーマ: お勧めの本(7889)
カテゴリ: 読書
machiyama(1)
第2章 「俺たちに明日はない」「卒業」「イージーライダー」 ニューシネマという反乱
第3章 「猿の惑星」 猿が猿を殺すまで
第4章 「フレンチ・コネクション」「ダーティハリー」 アウトロー刑事の誕生
第5章 「時計じかけのオレンジ」 レイプとウルトラ暴力とベートーベンがオレの生きがい
第6章 「地獄の黙示録」 戦場は本当に「地獄」なのか?
第7章 「タクシードライバー」 孤独のメッセージ
第8章 「ロッキー」 70年代をノックアウトした男
第9章 「未知との遭遇」 星に願いを



■黒い石のおかげで猿が道具を発見してね、骨は宇宙船になって、コンピュータが人間を支配しそこなって、人間は木星を目指すんだ、するとそこには新しい人類が現れるってわけ。

■喫茶店で彼女にそんなことを話した後で途方に暮れたことがある人なら是非一読を勧めたい。実はあの宇宙船は核ミサイルを登載した軍事衛星で、キューブリックのシナリオの初稿にはナレーションがついていて、モノリスにはそういう意味があり、スターチャイルドはボーマンの生まれ変わりで、ツァラトゥストラこそこの映画のテーマだったなんてことはこの本を読むまでは知らなかった。

■著者は町山智浩氏、ひとつの作品に対して膨大な文献をあたり、それがスクリーンに映し出されるまでのエピソードを丹念に紹介してくれる。作品ができるまでには脚本家の努力があり、監督の決断があり、プロデューサーとの出会いがある。本書に紹介される名作たちも様々な紆余曲折があって名画たらしめたのだ、という解説が面白く、ひとつひとつ読み応えがある。

■たとえば歌舞伎や能を鑑賞する際に音声ガイドなるイヤホーンを装着してそれに見入ることはある意味興ざめな部分がある。でも、正しく鑑賞することがその作者に対する礼儀でもある映画も存在することはたしかであると思う。

■12本の映画は全部見ているが、全てにおいて、なるほど、なるほどと、腑に落ちる解説だった。特に「時計じかけ」と「タクシードライバー」の記述には目から鱗。氏の続編である80年代編「ブレードランナーの未来世紀」もあわせて購入したが、これから読むのが楽しみである。

■本書を読んでから映画を見るか、映画を見てから本書を読むかは、それぞれが決めれば良い。でも明らかに分からず終いにしておくには惜しい名画ばかりである。これはまさに「Don't Think, Feel」ではなく、「感じるな、考えろ」と語りかけてくるような本であると思う。





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Last updated  2007/05/20 09:33:05 PM コメント(6) | コメントを書く


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Comments

ミリオン@ Re:「北の国から」を友達にすすめてみる(01/02) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…
Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…

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