トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2017/09/13
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カテゴリ: ひよっこ
■佐久間由衣にとっては最も緊張した撮影だったと思う。女性たちだけの前でそこにいる女性たち全員から羨望のまなざしで見つめられる存在として自分は見えるのだろうか。ましてや、そこにいる身内の出演者だけでなく全国の女性視聴者からも同様の感想をもたれるだけの被写体として自分は映るのだろうか。

■ピンクのミニのワンピースを着てウォーキングの専門家から歩き方を教わり、最も効果的と思われるスピーチ原稿を渡され、ひるまず誇り高くそのフレーズを高らかに宣言する。(非実力派宣言?!)自分でいいのかと思いながら、でもこの自分は自分だけの力でそうなった自分ではなく、周りのみんなの協力と援護があって作られた自分なのだという感謝みたいな気持ちも含めて。

■衆議院議員選挙じゃあるまいし、私についてきてと言われても、彼女がどんな世の中にしてくれるかは不明だが、なにやら新しい世界がやってくるような感じもしないではない選挙演説だった。支持者たちは当選確実と浮かれ、本戦の勝利を信じて疑わない。なんせ、応援団はいとしのマックス合唱隊で参謀は天下の大女優だ。

■リハーサルを男子禁制で行った理由はいまひとつ理解できないが、おそらく当時の時代背景によるところが大きいのではないか。つまり何らかのイベントが女性だけの力で女性だけのために行われるということに大きな意味があった色んなものが解放される途上の時代だったということではないか。(おそらく、この回の演出も女性ディレクターの手によるものだったのではないか)

■外で聞こえるそんな新しい風と音を部屋の中で聞いている富さんの気持ちを想う。地方のお土産と女の人たちの笑い声が大好きな彼女は今、黙ってその声を聴いている。時代が変わる音、女が変わる音。彼女と由香の何やら親密な会話が心に残る。きっとこのふたりには血のつながりがある。

■男たちはひとつの場所に閉じ込められる。男同士の会話は女同士のそれのように激しくポンポンとは弾まない。自分がこの物語に占める分量をみんなそれぞれ上乗せしたいと考えてはいるが、誰もが女性たちのそれにはかなわない。

■ヤスハルの髪型のモデルはやっぱり荒木一郎だった。いとしのマックスのゴーゴー感がフィットしているのはあの中では光石研と三宅裕司だ。その時それを体験したものとそうではない者との違い。真っ赤なドレスを君に作ってあげたいと男が思っている時、女はもうピンクのミニのワンピースを着たがっていた時代の話だ。





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Last updated  2017/09/13 10:57:08 PM
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Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…
Mr.Zoku@ Re:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) 今年出た[Deluxe Edition]は聴かれました…

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