自然の狩人

自然の狩人

『真理子』(7)



引っ越す事が出来た 二階は二部屋。兄と、真理子が占拠することになつた、勿論二階には洗面の付いた洋式トイレも付いている

階下は洋間と和室それに台所 庭は細長い3坪ほどの小さな

庭だ。でも 前の住人が作った庭は其のまま、残されていた

小さな庭だけど、何故か緑があると風も爽やかに感じられた。

真理子は決意していた、何が何でも志望校に受かろうと

それが、自分の希望を叶えてくれた両親への感謝の印しに

なるのだろうと

兄は16才になるとゲンチャ(原付バイク)の免許を取っていた

免許を取ると 父にゲンチャの購入をせがんだ

父は「買うのはいいが、事故にあつたらどうする」

「この辺はお年寄りも多い」 「すぐ近くには小学校もある」

「人様に事故で怪我でもさせたら」と

兄(武>たけし)は 聞き入れなかった 「父さん、それなら。」 「いいょバイトして自分で買うから」

「いいだろう」「父さんや母さんに迷惑かけないから」

「それに任意保険にも自分のバイト代で加入するから」

武は反対されるのを予め想定して 実はバイト先も

決めていた バイクに乗りたい、そしてバイト代も稼げる

宅配すし、のバイトを

父の反対は徒労に終わった父は自分も若い頃バイクにはまつた経験も実はあつたから

執拗に反対する事は出来なかった、でもバイクの事故を

恐れていた。そして武の学業を

武もそろそろ本格的に大学受験を考えてほしいと思うのだった。

そう、今真理子が振り返って見ると真理子と家族の平和で

最高の時期だつたのかも、知れない

人の幸、不幸なんて皆が登る登山道見たい 安全に登っているから

自分たちも安全に登れると、でも一歩足を滑らせると

滑り落ちる人を助けようと手を差し伸べる人まで

ややもすると不幸の谷底に落ちていつてしまうのかも知れない

自身の行為や思考が自らを不幸にし 仮に幸福な家庭を

築いていたとしても 他者の行為によつて不幸にさせられて

しまうかも知れないのだ

真理子と真理子の家族にも 自らが作り出す災難と

他者からの行為による不幸が 忍びょつて来ている

事に、この時はきずいていなかつた。

著自然の狩人


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