『真理子」(17)
人がいないのを確かめから、彼の顔が近づいて
真理子の唇に彼の唇が押し当てられた
想像と憧れのキス、ベンチに座ったままの 彼に頭を肩に
寄せた時 彼は察してくれた、少し間を置いて
あたりに、人のいないのを確認してから
繋いだ手が離れ、肩に手触れると唇が
押し当てられた唇は (生刺しのレバー)が唇に触れた感触
それは、『甘いキスなど』と』表現されるものとは違って
気持ちの高鳴りと 身体の体温が顔に集中する恥じらいと
男の唇が真理子の口に押し当てられる
未知の感触の体験だつた。そう、決して不愉快なものでなく
うれしい、行為だ
『可愛い』『好きだよ』と小さく呟いた彼の言葉が
唇に残る彼の唇の感触を更に強めるのだつた
手を繋いで得る彼の感触、そして内臓に直結する
口への接触で 好き、好きであると言う感情が
触れ合い、接触するという事で 具体的な感覚で
確認されるよう
身体に触れることで、男と女は 好きと言う感情が
増大するのだろう
そう、そして好きだから お互いの身体を
求め合うのだと 誰でも信じてしまうのかも?
真理子はベンチから、立ち上がれない初めての経験の
余韻が 心と身体に残って 公園の廻りの景色も目に入らない。
『もう、帰るね』と言う』と立ち上がった彼は
後から続いて立ち上がる真理子に振向きざまに
前から真理子を抱くと、今度は
真理子の唇を彼の唇が挟むように 優しく吸われた
先ほどの感触よりも もつと強く彼の唇を今度は
身体全体に 電流が流れるように伝えた
何度も何度も吸われて 、離れた唇を真理子の唇が
追うょうに 『好き』『好き』と 小さい言葉になつた
公園はもう少しで 日が落ちて暗闇が押し寄せる
バイクが公園の前を走り抜けた 夢心地から、我に帰る
真理子の身体はもう、彼の身体すべてを
受け入れたいと能動的になりつつ
唇は次の愛の行為の序曲なのだろう
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