白衣の下顔半分の微笑み「創作物語」2
手に注視針が通され其の先に袋がぶら下がっている
カタカタと担架が移送され、女性の看護士の声が時折
事務的でいて、透き通るような声が固定された担架の上の
拓也の耳に届く
「地下に検査の為に行きます」。。続いて
「エレベーターに乗ります」 「ハイ,着きました。」
キャタキャタと通路の床と担架の車の擦れる音の中に
割り込んだ 透き通る女性の声
着いた所で男性二人と担架から検査台に移され
又覗き込むようにして、声をかけてくる
「検査の為に身体に薬を流します」「暫らくの間身体が
熱くなりますけど心配は要りません」
「そう。何か持病がありますか?」「喘息」
「アレルギー」は? と 胸に大きな痛みと固定された顔から
大きな声が出るはずも無く 拓也は 小さく「ありません」
と答えた。
返事を待つ、看護士の腰から上の姿を始めて
目にすることになつた。
顔はマスクで覆われ、髪は短めで後ろでキッチリト結ばれ
目はそう大きくも無い切れ長 白い白衣の胸は
下から突き上げる乳房の大きさは感じられない
そう男性のように「スーット」していた
拓也に触れる、手は優しく薄く指も細い 全体に大きくも
ない細身の身体だと、そう長くも無い時間に認識できた。
マンホールの筒のような処に全身が入り込むと
身体全体が熱くなつた。看護士の言つた通りに。
そんな状況のなか、よぎるのは
身体が無事である事と 隣に同乗していた真理子は
今頃どうしているのだろうと、ぼんやりと
考えた。
人間は非日常の予測無しの身の変化と災難や
不安に襲われたとき 頭の思考回路は正常な思考や
判断を持ち続けられのだろうか
事故で担架に乗せられた時から、いいや突然襲われるように
車がわき道から飛び出した瞬間から
拓也の意思とは無関係に 肉体の部分は他者に委ねられた。
そう、白い城、病院で ひとくくりのカルテに収まってしま
うのだろう。
著自然の狩人
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