自然の狩人

自然の狩人

白衣の下顔半分の微笑み「創作物語8-12



外界の世界、自身を囲む世界に真っ直ぐに向かう

後ろを振向きもしなければ、脇見もせず只

ヨチヨチと、危なげに

そんな幼児は、それでも歩いている喜びに溢れ

微笑んで。

真理子は、手に入れた寝床と愛車を駆使し

足柄や松田、秦野周辺に頻繁に出かけていた。

拓也の言う「検査漬けの毎日だから

見舞いは来なくていいよ」と言う言葉を守って

勿論逢いたい。そして抱きしめられたい

真理子の方から、抱いてあげたい、。。。「そうも思った.」

真利子の過去は他人から見たら悲哀を感じさせるかも知れない

物語のように、真理子の過去を話し聞かせたら

十年間に渡る、懸命の働きと節約生活、

其れが出来たのは、希望、いいや、目的を持ち続けたからかも知れない。

それも、自分自身の為だけではなく。

希望や目的を持たない努力は 自身の為だけのもの

であつたら、

自己満足の限界が襲い、持続が不可能であつたかも

しれないのだ。

ヨチヨチ歩く、後ろに慈愛に満ちた眼差しを感じ、つかみ

取つた瞬間。

想えばそれは

友達のアパートに転がり込んで

自立の生活を体験した時,辺り

なのだろうと思えるのだつた。おぼろげだけど

鮮明に。




父親が姿を消し、真理子は母親の実家から

高校に通い

母親は、実家近くの四畳半と台所の安アパートに移り住んでいた

近くのスパーの バックヤードで働き口を見つけて

レジの仕事よりも長時間働く事が出来たからだ。

高校の成績は学年3位で、学校側から大学の推薦入学

の話もあつた。

卒業したら直 働くつもりでいたから 聞き流した。

卒業後、母親に男と同棲すると連絡すると

父が死んでいた。と知らされた。

身元不明の死体として

蒸発して直に。警察に捜索願いを出していたから

警察から、確認の知らせがきたのだつた。

ある程度の予測 (又生きて逢えないかも知れない)

があつたから少しはその言葉を受け入れる余裕はあつたのだが


重くて暗い哀しい「死んだ」と

言う響きに

想いだすのは



ビールのロング缶をゆつくり飲み干しながら

母の作り置きの夕飯を摂る父親の姿

だつた。

ファツシヨンで腕に入れる、刺青

とは違って

命と言えば過剰な 心に入れ込んだ刺青

のよう、、、、、


今日は足柄に真理子は来ていた、

自然の多い地域、心にあせりはなかつた。

贅沢をしなけれは、この先何年も

働か無くても良いお金があるからだ。


玄関横の駐車スペースにバツクで車を入れると

エンジンを切り、降りた。嬉しさに心が晴れやかだ。

車のキーホルダーに付けた拓也の玄関の鍵を廻して、二階に向かった

シヤツターの雨戸を一揆に開けると、浜風が流れ込んでくる

ベランダだから見える午後の海は、暖かで晴れていたが、遠くから波が

岸に向かって押し寄せていた。

拓也が午後に病院から帰宅すると聞いて、一足早く来ていた。

10日間の検査治療

書棚には本がびっしりと詰まっている ベツドの横に机 机の上には

パソコンが置かれていた。

拓也の個室をじつくりと見たのは今日が始めてだつた。

2階に三部屋 階下は台所と応接間と居間 全ての部屋の雨戸を開けて

空気を入れ替えた。

掃除機を使わなくても良いほどに清潔に保たれていた。

2階の拓也の個室だけでも掃除機をかけようと思っていると

丁度其の時

表で車の止まる、音が耳に飛び込んで来た。

真理子は足早に玄関に向かった

玄関のドアーが開くと「ただいま」と

拓也が言って真理子に微笑みかけて来た。「ただいま」と

二度目は真理子を抱き寄せながら耳元とで小さく

抱きしめられる感触は以前と何も変化していなかつた。

拓也は立ったまま、軽く真理子の唇を吸つた。

「真理子お昼は済ませたのかい?」

「拓也さんは昼ご飯すませているの?」と真理子は拓也の腕に

真理子の腕を絡ませて訪ねた。

「食べてないけど、今は食欲が湧かないょ」

「夕食は外で食べよう、僕がご馳走するょ」

「退院祝いは別に、真理子と約束したよね」

「ええ、憶えていますょ 私の部屋で退院祝いをするつて事、でしょう」

「憶えていますよ」と微笑んで答えた

2階に向かう階段で先に拓也が向かう後ろ姿に

真理子は少し、違和感を感じた そう拓也が身体をかばうような

仕草をしたのを見逃さなかつた。

拓也の身体の具合を真理子は 真理子の肉体で確かめたかつた。

拓也はベツドに腰を下ろすと

「ヤツパリ自分の家が一番良いよ」「貧しいながらも我が家だね」

と小さく笑い、 ベランダ越しに見える海を眺め

目を細めた。


「拓也さんコーヒーでも飲む」「うん、ありがとう」と

拓也はベツドに座ったまま真理子に言つた。

拓也は立ち上がって、家電の留守電の伝言を解除すると

音声が流れて来た「00保険の担当の広木です、この度の事故のお見舞いを

申し上げます、お帰りになりましたらご連絡をお待ちしております。」

事故日から三日後の日付、続いて

「伊集院拓也様のお宅でしょうか。事故の相手の(あべ、まさお)です

この度は、こちらの不注意でとんでもない事になつてしまいました。

お詫びを申し上げます。お見舞いに伺おうと思っていましたが

入院先も解からずお電話したしだいです」

事故日から五日も過ぎた日付の声だつた

真理子が階段を上がる足音が聞こえて、トレイにコーヒーカツプを二つ載せて

入ってきた。

保険屋と加害者の留守電の伝言が入っていた事を告げると

真理子は「聞いてもいい、」と言いつつ再生した。

保険屋の事務的な声を聞き終わって、加害者の(あべ、まさお)と名乗った

時 真理子は何故か 少し動揺した様子が

拓也には見て取れた 「拓也さん、この(あべ、まさお)つて人何処に

住んでいる人」

「まだ、何処の人だかも解からないんだ、事故以後始めて声だけきいたんだから」

「そうだつたの?」真理子は拓也に煎れたてのコーヒーのカツプを渡した。

「美味いよ、真理子」拓也はそういいながら真理子に微笑んだ

真理子は飲みかけのカツプを取ると、自身のカツプもサイドテイブルに置いて

拓也の横に座った。

真理子は、拓也を押し倒すと 真理子は拓也の唇を塞いで

ゆつくりと舌を差し込んだ 拓也は優しく舌先を口で包み込んだ

其のまま、拓也の上に重なる態勢になると「拓也は、小さく痛い」

と叫んだ そのまま拓也は胸に手を当てる

真理子は拓也の寝そべった横に、座り直した。

「検査の結果、肋骨の下の内臓が圧迫されて そう頚椎も痛んでいるんだよ」

「腰も強打して少し治るのに時間がいるらしい」

「真理子ごめんね、黙っていて」「ううん、いいのょ」

と言うしか 真理子にはなかつた。

ベツドに起き上がった拓也に、真理子は拓也の正面に座り込むように

ディープなキスを何度もした。

熱く燃える真理子の身体をゆつくり静かに沈静させる為にも

時間をかけて

真理子はベランタに足を運んで 振向きながら

「加害者の(あべ)つて人随分非常識なのね、事故の見舞いも来ないし

第一事故の時も 飛び出してきて、ぶっけておいて救助もしない

おまけに、自身は救急車で現場からいなくなる、もしかして

お酒でも飲んで運転でもしてたのかも知れないわょね」

「電話も事故から五日も過ぎているし」

「そんな人どんな人か逢ってみたいわ」

「拓也さん逢う時 教えて私もあって見たいわ」

拓也は「 別に、いいよ」と答えた。

「拓也さん、今日の外食は何処にするの」

「もう決め手あるんだよ」「真理子に喜んでもらえる処さ」

「場所は葉山」

「ふふ。そのかわり車の運転は真理子だよ」

「今車が無いからね」

「今日も病院からタクシーできたんだよ」

「OKまかせておいて運転は」

笑いながら答えた。 でも真理子の心の中に(あべ。まさお)の

名前が強く残っていた。






離乳食が発達していない頃、母親は食物を口の中で噛み砕き

口移しで食べ物を与えていた。

キスに愛情、愛を感じるのは そんな食べ物の口移しの母親

の愛から発生したと言われる。



真理子は、風俗と呼ばれる職業を手っ取り早い、お金稼ぎの職業として

選び働き。 男の性欲の補助をしたが 客としてくる男達にデープなキス

を許さなかった。身体の部分を触られ弄ばれても。


今までに、心から好きになつて自ら積極的に唇を重ねた男は、高校の時の初恋の彼と

拓也だけだ。

真理子は自活の生活と 様々な職業の男達と衣を剥ぎ取った

姿で接する事で 其の先の男の性についても実像として掴みとる事が出来た。

結婚や恋愛に男の性の無知から来る失敗が或る事も感じ取れたのも

男の身体は常に精液が作られている

容積より多く蓄積された液体は外部に放出されなければならないのだ

夢精以外に蓄積された液体を放出するのには、局部に何らかの快感を伴う刺激を与えなければならない

結構厄介物なのかも知れない(だがしかし次世代の人類を残す為には大切な

代物でもある)

勿論、男の希望は 容姿が、好みの

女性の秘部の膣の中に放出させる事が理想なのだ。例えば

社会的地位が高い教授や国会議員、医師であろうが、飲んだくれの暴力男で

あろうとも

男根を突き出す姿に差などないのだ。,,,,,,,,,,,
イナムラガサキ


真理子は拓也を隣に乗せて、拓也の指示する所に向けて

車を走らせていた。

暮れなずむ、海岸のあちこちに、ボードを抱え込んだ男女が波に向かう

姿が見える

車にジョエルの曲を流した

拓也はそれを無言で聞いている

椰子の木が立ち並ぶ南国風の場所を通り過ごして

暫らく行くと 

ヨツトハーバーに拓也が 「あそこ」と

指す方向に 小型の船が係留していた。




拓也は真理子に、黙って ナイトクルージィングを予約しておいたのだつた。

真理子は前に拓也から聞いたことがある。

海の上から、私達の住む陸地を眺め、夕暮れ時の海辺を走る車のライトや

岸辺の家々の景色と 日の沈む瞬間を海上で迎える素晴らしさを

そう。拓也は言つた。「実際に体験してみないと、言葉では表現できないさ」と

拓也が先に乗船すると、真理子に手を差し伸べて。真理子の顔の表情を覗き見して

悪戯っぽく微笑んだ。

船室に入るとオナー夫婦と挨拶をした。拓也とオナー夫婦は知り合いのように

真理子は感じた。

海は凪っている、二時間の内海の遊覧である、

点検済みのクルザーにエンジンがかけられ少しだけ

応接間風のキヤビンに優しい振動が伝えられている。

「真理子夕食は相模湾の海の幸の料理だよ」「オナーの奥さんの手料理、無国籍

料理かな?」「ううん家庭料理かも」

でも「そこいらのレストランのメニューには負けないし、美味いんだよ」

真理子は「うん」と子どものように答えた。

いつの間に拓也は、こんな計画を思いついたのだろう

真理子は自身の部屋から眺める海、その海の海上に連れ出してくれた

拓也。うれしかった、誰もい無ければ抱きしめたかつた。

キヤビンの中央に置かれたテイブル、其の上で最初に出された。ワイングラス

を支える拓也の手を、喜びと感謝を込めて握った。
テイブル

握った手の奥に、もつと深く思いがあつた。

さり気なく優しく、凛とした男としての自信、寡黙でいてしかも

的を射るような、言葉の説得力 

真理子に対する態度、

女性を性欲の対象のように接してくるような男と違う

真理子にとつて、傍にいて心地よい男

言いきってしまつたら、本当の大人の男と言つてしまえば

よいのかも知れない、、、、、


真理子がマンション探しにこの地に来て不動産屋から物件を紹介され。

場所の確認と室内の見学に来た時に

マンション近くで車を降りて、歩き始めたときに

突然後ろから声がした。

振向くとそれが今目の前に居る。拓也と始めての出会いだ。

まだ憶えている拓也の最初の言葉

「ダメダヨそこに車を駐車して車から離れると.駐車違反で捕まるから」

見知ら30代くらいの男が。

怒っているのかなと最初は思つたが、そうではなく

教えてくれているのだと様子で解かった

「30分以上駐車するんだったら。あそこの建物の駐車場に止めたほうがいいですよ」

其の建物に向かって歩いて行く、

拓也が駐車していた、スペースに真理子を手招きして、拓也は車に乗ると

此処に何時間でも置いて良いよと。言い残すとそのまま走り去った。

それが拓也との初対面なのだつた。

人との出会いは運命のように不思議だ。そうそして人間同士の出会いは

良い人に出会うことが大切で或る事は

真理子の今までの人生で痛いほど、実感出来て来ている。

この周辺は、地元以外の横浜や東京からくるサファーが違法

駐車をして付近の住民が見つけると、警察に通報するのだつた。

少し先の道路端に駐禁の看板が立てられていることも知った。


著自然の狩人

著作は破棄していません。






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