専業トレーダー DaTsU

米商いは踏み出し大切、米の高下は天然


又商い進み急ぐべからず、急ぐ時は踏み出し悪しきと同じ。売買共、今日より
外、商い場なしと進み立ち候時、三日待つべし。是伝なり。米の通いを考え、
天井底の位を考え売買すべし。是三位の伝なり。天井値段底値段出ざる内は幾
月も見合わせ、図に当たる時を考え、売買すべし。商い急ぐべからずとは天井
値段底値段をみることなり。天井底を知る時、利運にして損なきの理なり。」

 「相場は最初の仕掛けのタイミングが大切である。仕掛けのタイミングが悪
ければほとんど失敗するものである。また、相場は決してあせってはだめであ
せるときと言うのは仕掛けのタイミングが悪かったときと同じである。売りで
も買いでも今日しか相場はやっていないかのごとく思うようなときは三日待つ
べきである。これは秘伝である。相場の方向や勢いを考え、天井や底の値段を
考えながら売り買いしなければならない。これを「三位の伝」という。天井や
底の値段が出ないときは何ヶ月も売買を見合わせ、タイミングがピッタリと合
うときを考えて売り買いしなさい。売り買いをあせってはいけないと言うのは、
しっかりと天井や底値を見極めると言うことである。天井や底をしっかりと見
極めれば利益が上がり損をしないと言うことである。」

 と言う意味ですがこれは本間宗久の考えている相場の基本になるもので「三
位の伝」というものです。つまり、相場は仕掛けのタイミングが重要で売り、
買いに加え、「休む」ということも重要であると言い、常に天井や底の値段を
考えて相場の方向性を考えて売買しなさいと言っているのです。また、牛田権
三郎と同じように本間宗久も冒頭の部分で「決してあせるな」と言うことを言
っています。相場は仕掛けのタイミングと手仕舞いのタイミング、そしてその
タイミングを図る上で「決してあせらない」事が大切なのです。また、天井、
底を見なさいといっていますが、これも牛田権三郎が言っていたのと同じよう
に「相場を良く見、相場を良く感じ、相場に相場の事を聞けばいい」という事
だと思います。ここでもやはり「相場は相場に聞け」という事になるのです。

 米の高下は天性自然の理にて高下するものなれば、きわめて上がる下がると
定め難きものなり。この道不案内の人は迂闊にこの商いすべからず。

 「米相場の上げ下げは自然の摂理で動くものなので、必ず上がる、必ず下が
ると断定的に言う事は出来ないものである。そう言った事をわきまえないで相
場の事も良く知らずに相場に手を出してはいけない。」という意味です。

 相場というのは人間心理の凝縮したものですが、人為的に動かすものではな
く、目に見えない力によって自然な流れの中で動くものです。この銘柄は「絶
対に上がる」とか「今がそこである事は間違いない」というようなことは分か
らないものです。だからこそ、相場の事を分かろうと思えば相場を良く見極め
るしかないのです。つまり、「相場は相場に聞」かなければならないのです。
本間宗久はこの事を踏まえて、こういった事が分からない人は相場に携わらな
い方がいいとまで言い切っています。我々も相場を見ずに相場に入っていくと
はないと思いますが良く相場を見てから参加した方がいいと思います。そのタ
イミングを測る事がまた、売買は仕掛けのタイミングが大切だという事にも通
じるのではないでしょうか。


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