何から書いてよいか迷いましたがまずはこの試飲会からです。
毎年9月の最後の週末には競売会が行われているのですが、今年はその金曜日のモーゼルの競売会の前日に例年は初夏に行われている新酒試飲会が同じトリアーで行われました。
モーゼル在住の人にはいつ開催しても関係ないでしょうが他の地域、ましてや他の国から来る人間にとっては二日連続でのイベント開催はとてもうれしいかぎりです。
場所はこの宮殿です。

中はこんなかんじです。

思っていたより人が多くてびっくりしました。
VDPに加盟している(ワインに鷲のマークがついてます)モーゼル、ザール、ルーヴァー地域の醸造所30ヶ所がブースをだしていてそれぞれのブースで試飲することができてだいたいのところは辛口から甘口までバリエーション豊かに8種類のワインを用意していました。
その状況を知って幸せだと思うのと同時に、全部飲むのは不可能だと悟りました。200種類以上を3時間で飲まなくてはいけないのですから。
ということで気になるところから飲んでいきました。それでも8種類飲んでいると時間がなくてなるので気になるものだけ飲んでいきました。全種類飲んだところもありますが。
感想をちゃんと書いていくと膨大な量になるので気になったところだけ書いていきます。
出品していたワインのほとんどがすばらしくとても好印象だった醸造所は2つありました。この二つのところはほぼ全種類飲みました。
そのひとつはザールの オーテグラーヴェン(Von Othegraven)
です。
ここのは日本にはレギュラー商品としては輸入されていませんが何種類かは飲んだことがあったのですが、自分の好みにはあまりあわないところだなーという印象だだったのですが、2009年産のはとても質が高いと思いました。
この試飲会の前にザールに行ったときにレストランでここの09年のAyler Kuppのカビネットを飲んだのですが、心地よい甘みでよいバランスできれいなワインでした。
そのワインだけでなくそれと同様好印象なワインが多かったのです。
ですが面白いことに系統がふたつに分かれていて、ボリュームがあってザール独特の風味があるものと、先に書いたようなきれいなワインとタイプが二分されていました。それが面白いことに畑ごとの特徴ではなく、畑、等級、甘口辛口ばらばらにその特徴があったことでした。たとえばカンツェムのアルテンベルクAltenbergのカビネットは風味が強かったのにシュペートレーゼはきれいで高貴という言葉があてはまるようなワインで対照的で、同じシュペートレーゼでもオックフェンのボックシュタインのはにおいが強かったのです。
甘口が中心のラインナップだったのですが辛口でもアルテンベルクのグローセスゲヴェックスもやわらかくて僕の好みでした。
ザールのレストランでは08年の辛口仕立てのMAXも飲んだのですがこれも良かったので、2009年が特別良かったというよりは今勢いのある醸造所、という捉え方のほうがあっている気がしました。
その日の夜にマニアの方々と市内のワインバーに行くことになったのですが、そこではワインも買えることができるのですが、好印象だったアルテンベルクのGGとシュペートレーゼが置いてあったので購入しました。次の日には同様に試飲会で好印象だったシュロスリーザーの2006年のベーレンアウスレーゼも購入したのですが、これらは試飲メモで二重丸をつけていたもので、この試飲会で二重丸をつけたのは10個もなかったのですがその中で3つもショップで発見できたのはとてもラッキーでした。
試飲会の話に戻りまして、好印象だった醸造所のもうひとつは ブッシュClemens-Busch
です。高品質なのはもちろんなのですが自分の好み、という意味合いも強いです。わりとすっきりとした飲み口のワインが多いので。人によってはこういう系統は物足りない、と感じるもしくは評価が低いと思います。
辛口から甘口まで満遍なく質のよいワインがありました。
下のほうのクラスであるVom roten Schieferでさえびっくりするものでした。ぶどうの香りがすごくて口の中でも同じニュアンスが強く広がります(すみません、もしかしたらこれはGrauen Schieferの感想かもしれません。好印象だったのはRotenのほうで間違いはないのですが。)。ぶどうといっても他のワインで同じようなニュアンスのものはほとんどなくてとても独特なものです。
ベーレンアウスレーゼもすごく良かったのですが100ユーロを超えるのでなかなか手は出せない高級品です。
ここだけでなく他の醸造所にもいくつかあったのですが、同じ畑でもその中の一部分の畑の葡萄だけで別にワインを造っているところがあります。特に辛口に力を入れているところに多くグローセゲヴェックスでそういうワインがいくつかあったのですが、そういうものは別名のもののほうが個性的でなおかつ質が高いような気がしました。個人的な感覚かもしれませんが。テロワールの特性を生かせる部分、もしくは特異、特別な部分だから区別して醸造しているだけはある、と思ったのでした。ここのもMarienburgでもRothenpfadと付けられたGGのほうが先のようなぶどうのかおりもして個性的で好印象でした。
他にはMilzのファインヘルプ2種類やラインハールトの甘口などもよかったです。
以前から好きだったり期待していたところのではすばらしいワインにあまり出会えませんでした。
といってもVDPに加盟している醸造所なのでほとんどのワインは一定のレベルには達している高品質なワインなのですが。
あと興味深かったのはJ.J.Prumです。最近のは前と少し傾向が変わってきているのかなーと感じていたのですが、今回の試飲で自分なりに解釈はできたような気がします。
08と09のヴェーレンのゾンネンウーアのカビネットの飲み比べができたのですが(08はドイツワインフェストの時に飲んでいます)、08はクリアーだったのですが09は昔からの僕が知っているプリュムっぽいこの土壌独特の風味がして少し複雑みがありました。
ゾンネンウーアのシュペートレーゼは上の二つの要素を両方とも感じたのです。(微妙なニュアンスなので具体的に表現しなくてすみません。)
そのことから土壌の個性は大事にしつつスタイリッシュなスタイルに少しチェンジしているのかなーと僕は感じました。変化というよりは進化なのかなと。ただ軽くてプリュムとしては物足りないワインが多くなったのも事実な気がしました。
全く飲んでない醸造所がいくつもあるほど量が多かったです。PrumはJ.J.Prumしか飲んでいませんしザールも少ないです。このラインナップの中では優先順位が低い醸造所でも飲んでおけばよかったというワインがリストをみたらいくつもあって後悔しています。たとえばホスピチェンのピースポートのSchubertslay(単独畑です)のGG。この畑のはけっこう好きなのとErst Lageに認定されていたのでこれをその時にみつけていれば必ず飲んでいたのでした。
最後に急いで甘口だけ飲んだところもあるし、メモに飲んだことは書いてあるけど味の記憶は全くない、といワインもいくつかああって量が多すぎるのも困り者だと思いました。
有名な醸造所のが飲み放題で、みたことのある造り手がそこらじゅうにうろうろしていてドイツワイン好きにはパラダイスな環境なのですが、実際には飲みたくても多すぎて飲めないワインがある、という生き地獄だったのでした。
そのブースに30分以上時間を費やすことになって飲みたいのに時間が足りないという上の生き地獄の要素を強めることになったのでした。
それは前のヴィンテージのワインを各醸造所が提供していてそれを集めたコーナーでした。2007年から1986年までのもので(90年代が一番多かったです)、シュペートレーゼ(少しだけ辛口あり)から極甘口までありました。今数えたら48種類でした。

これは会終了後のそのコーナーの残骸です。ゴールドカプセル(アウスレーゼ)が多いのがおわかりいただけると思います。
このブースだけでも試飲会が成立してしまう量とラインナップでした。
気になったのだけ飲んだのですが(30種類くらい)、その中にはもう完全に飲み頃をすぎているものもあってリストを見たときの期待よりは満足度は少なかったです。
その中でもブッシュの05ベーレンアウスレーゼ、フィッシャーの99三ツ星アウスレーゼ、グランスファシアンの86シュペートレーゼは光っていました。86のは古酒すぎず軽めなのなけど熟成した苦みもあって古酒でないと存在しないすばらしいワインでした。
というようにタイプや系統の違うワインが膨大な量あった試飲会だったので筋立てた比較はなかなか難しかったです。そのワインを分析するだけで精一杯だったので。(お披露目、アンテナ的な社交性を重視したイベントなので全部を飲んで勉強してもらうという意図はこのイベントには全くないと思いました。)
好きなワインを探すにはこういう試飲会は最高なのですが、知識とするための勉強のための経験にするには、ちゃんとテーマを決めてターゲットを狭めながら飲まなくてはだめだなーと思いました。それには犠牲(飲みたいけど飲めないワインが増える)をともなうので勇気が必要なのですが。
といっても古酒ワインをいろいろ経験できたし、地域ごとの09の傾向もなんとなく把握できたので楽しかっただけでなく勉強としても経験値をあげることはできました。
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